伝道師のほうです。
ロシア軍によるウクライナ侵攻に心を痛めながら、今年も3月11日が来るのを静かに待っています。
東日本大震災から間もなく11年が経過します。
死者19,747名、行方不明者2,556名、負傷者6,242名。また、11年が経過した今でも、41,241名もの方々が避難生活をされています(※すでに避難先で定住している人たちも多くおられます)。
(http://www.bousai.go.jp/2011daishinsai/pdf/torimatome20210310.pdf)
福島第一原子力発電所の事故により、福島県内では多くの地域で避難指示が出されていましたが、2020年3月時点で「放射線量が高く、住民が住むことができない帰還困難区域は福島第一原発周辺の7市町村(南相馬市、飯舘村、葛尾村、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町)の計337平方キロ」というように、この11年間で避難指示区域が大幅に縮小されてきました。
(https://www.yomiuri.co.jp/national/20210822-OYT1T50187/)
震災によって亡くなられた多くの方々の魂が、神の御もとで永遠の平安の時を過ごされていることを祈り願うとともに、心に傷を負う大勢の方々、避難先で新たな生活をされている方々の慰めと幸いをお祈りしています。
ところで、東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故は、日本だけでなく世界にも大きな影響を及ぼしました。特にヨーロッパ諸国は、あの「チェルノブイリ原発事故」(1986年)の惨事を思い出さずにはいられなかったことでしょう。3・11後、ドイツでは、EU(欧州連合)初となる原発ゼロ政策を打ち出しました。2011年に17基だったドイツの原発は14基が停止され、残る3基も今年末までに停止することが決まっています。更に、オーストリア、スペイン、ルクセンブルクなど幾つかの国々も、脱原発政策を進めているようです。
そんな中、昨今「脱炭素社会」の実現が世界的に目指されるようになってきました。SDGsとも大きく関係している、温暖化による気候危機を食い止めるための大切な取り組みです。すると、EUは今年に入って、原子力(および天然ガス)発電について、環境にやさしい「グリーンエネルギー」として認める方針であることを明らかにしました。
確かに、原子力発電というのは、他の発電システムと比べてCO2の排出量を抑えることができます。けれども、極めて有毒である放射性廃棄物の処理に関する問題は未だ多くの課題が山積しており、更に、チェルノブイリ原発や福島第一原発の事故は自然をひどく傷つけることになりました。ですから、原子力発電が自然に優しい、環境への負担が少ない「グリーンエネルギー」などということは、いわゆる"安全神話"のもとでしか成り立たない幻想なのです。上記の方針に対して、脱原発を推進する一部のEU加盟国からは激しい反発が続いていますが、欧州委員会は2023年の発行を目指しているとのことです。
(https://www.bbc.com/japanese/60239320)
それでも、欧州諸国が原発の稼働に頼ろうとする原因として、一つは、再生可能エネルギーなど代替エネルギーの分野の発展が未だ不十分で、コロナ禍後に急増するエネルギー需要に対して供給量が追い付かないということが挙げられます。
もう一つは「ロシア」との関係です。欧州諸国はロシアからの天然ガスの供給に支えられている部分があり、"脱ロシア"を図るためには、ロシアからの輸入を減らしエネルギーを自給することが必要になってくるのです。
この度のウクライナへの侵略行為に対するEUからの経済制裁について見てみると、「ロシア国営で最大手の『ズベルバンク』や国営の天然ガス会社の傘下にある『ガスプロムバンク』など、エネルギーの取引に欠かせない銀行は除外されている」との指摘もあり、完全にロシアとの関係が切れなかったという事情がうかがえます。
(https://www.fnn.jp/articles/-/324313)
そのような中、ロシアの天然ガスの依存度「55.2%」という問題を抱えるドイツは、すでに完成しているロシアとの新たなパイプライン「ノルド・ストリーム2」の認可停止を決めました。エネルギーの価格高騰に加え、脱原発政策、そして今回のロシアに対する経済制裁。ドイツはこれらにより大きな痛手を負うことになったわけですが、それでもドイツがこのような決断をするに至ったのは、エネルギーの供給が滞るよりも先に、プーチン政権の暴走を止めるのだという強い意志を示すためのものだったと言えるのではないでしょうか。
明日に続きます。
東日本大震災から11年(その1)
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