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チャペルの庭園に植えられているアカメの木の葉に、蝉の抜け殻らがくっついていた。
あたりが早春の強い日差しに照らされて、今しがた蝉が殻から抜け去ったかのような感覚になった。でも、半年いやもっと前に蝉は殻から出て行ったはず。いまはもう、その形を残していないだろう。でも抜け殻は形をしっかり残したまま、まるで、息をしているかのようだ。その抜け殻をじっと見ていたら、蝉たちの声がどこからとなく聞こえてくる気がした。
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そしてなお見ていたら、イエスのことを考えずにはおれなくなった。イエスは、はりつけになった十字架をこの世に形として残している。十字架をじっとみていたら、イエスの声が聞こえてくる気がする。
トナリの上司(仮名)より