「いま一番ホットな聖書のお話」と言えば、やはり、新しくアメリカ大統領に就任したジョー・バイデン氏の聖書のお話でしょう。
皆さんご存知のことと思いますが、アメリカの大統領の就任式では、大統領が聖書に手を置いて宣誓をします。このとき手を置く「聖書」がどんな聖書だったのかが、大統領の就任式では毎回かなり注目されるそうなんですね。
おっと!
「え?聖書なんてどれも同じじゃないの?」なんて言わないでください!
名古屋学院大学のチャペルに置かれている聖書(の翻訳)が「新共同訳」から「聖書協会共同訳」に変更されたということは以前お伝えしたとおりですね。
ぼく(伝道師)は、新しい「聖書協会共同訳」を使っていますが、人によっては「新共同訳」、あるいは「口語訳」や「新改訳(2017)」、更には「文語訳」(名前の通り文語体なんですが根強いファンがいます)など、様々な聖書を使っている方がおられます。そのように、聖書には様々な翻訳があり、これまで数多くの翻訳聖書が出版されてきたわけですね。
ただ、大統領就任式で注目されているのは、翻訳ではなくて、「誰が使っていた聖書か」ということのようです。
二代前までの大統領就任式を振り返ってみると、たとえばオバマ氏は、1期目はエイブラハム・リンカーンの聖書を、そして2期目には、キング牧師の聖書を使用しました。奴隷解放宣言をしたリンカーンと公民権運動の指導者だったキング牧師の聖書を使うというところに、初の黒人大統領であるオバマ氏のメッセージが込められていると受け取ることができます。
そして、前任のトランプ氏はどうだったかというと、自身のお母さんから貰った聖書と一緒に、1期目のオバマ氏と同じようにリンカーンの聖書を重ねて使ったのですが、トランプ氏は、リンカーンが具体的に何を行なったのかではなく、あくまでリンカーンの「偉大さ」を強調しました。
このように、大統領就任式の聖書には、新しい大統領に対する人々の(厳しい)期待の目が向けられているということがお分かりいただけたでしょうか。
では、新たにアメリカ大統領に就任したバイデン氏に関してはどうかというと?
彼が用意した、厚さ12.5cmという大きな聖書は、一族に1893年以来伝わるものだそうで、過去に誰かが使っていたというものではなく、彼自身が、デラウェア州選出の上院議員として就任するたびにこの聖書を使って宣誓してきたのだそうです。
ぼくが注目したのは、その翻訳です。
バイデン氏の聖書は、「ドゥアイ・リームズ聖書」と呼ばれ、新約聖書の部分は1582年にフランスのランスで、旧約聖書の部分は1609~10年にフランスのドゥエ大学によって出版されました。長らく英語訳の標準訳して用いられてきた「欽定訳聖書(キング・ジェームズ訳/1611年)」よりも古い英語訳聖書なんですね。
バイデン氏は、カトリックの信者であり、ドゥアイ・リームズ聖書もカトリック教会の聖書です。なので、彼の聖書には、プロテスタントである名古屋学院大学の聖書には無い、いくつかの書(いわゆる第二正典とか旧約聖書続編と呼ばれる)が収録されているはずです。
彼の聖書にはどんな意味があったのか。過去2代にわたって使われてきたリンカーンの聖書を使わなかった理由は?など、様々な捉え方ができそうですが、そればっかりに囚われるのではなく、これからのバイデン大統領の活躍に期待したいですね。
そして何より、アメリカは世界を代表する多民族・多宗教の国家です。キリスト教徒以外にも様々な宗教の人たちが共存しています。これまでよりも幅広く、すべての人たちの平和と幸せが保障されるような国になっていってほしいなと思いますね。
(伝道師のほう)
いま一番ホットな聖書のお話
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このページは、キリスト教センターが2021年1月22日 09:00に書いたブログ記事です。
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