オススメ本: 2023年3月アーカイブ
皆さんはマララ・ユスフザイについて、どれくらいご存知でしょうか?
私は以前はニュースでかじった程度...「女子の教育の権利を訴え、タリバンに撃たれたが奇跡的に生還し、17歳でノーベル平和賞を受賞した女性」ぐらいの知識でした。
『わたしはマララ』を読むまでは...
ベストセラーにもなった本ですので、きっともうお読みになられた方も多いことでしょう。
私は中高生の子供たちの読書感想文用の図書として、購入しました。
最初はそんな程度で読み始めましたが、読み進めるうちマララの純粋な、でも熱い教育への思いに感銘を受けました。
彼女から発せられるいくつもの名言は、まだ十代の少女の言葉とは思えない不思議な力を持っています。
そのうちの幾つかをご紹介したいと思います。
・「銃で撃てるのは体だけ、私の夢は銃では撃てない」
・「たとえタリバンが学校の門を閉ざしても、学びたいという私たちの心の門までは閉ざせない」
・「『ペンは剣よりも強し』ということわざがあります。これは事実です」
・「本を取り、ペンを手に取りましょう。それが私たちの最も強力な武器です」
・「1人の子ども、1人の教師、1冊の本、そして1本のペン、それで世界を変えられます」
今これを文字に起こして感じました...私の下手な感想なんかいらないですね。
この言葉の中にマララの教育への熱い思いは込められていて、きっと世界中の誰の心にも響くはずです。
マララの想いが今戦闘が起こっている国々にも届きますように...そして、世界中のすべての子どもたちが教育を受けられますように...
(名古屋の図書館スタッフ あかトマト)
数年前、学生時代の恩師が亡くなり、先生を偲ぶ会が催されたときのことです。
亡き恩師と親しかったという年配の方がこんな話をされました。
それは亡くなった人のことを偲んでその思い出話をすると、その人のところに「慈雨が降り注ぐ」という言い方をキリスト教ではするということ。
それまでに聞いたことがなかったため、なんだか優しい考え方だなと思い、とても心に残りました。
しろとり図書館3Fで開催中の「本屋さんツアー展」コーナーで、ふと目に留まった『慈雨』という本、ことばに惹かれて手に取ってみました。
定年退職後の刑事が妻と共に四国遍路の旅に出て、過去に携わった事件に手口が酷似する幼女誘拐殺人事件の報に接するー。
過去の事件に冤罪の可能性があり、苦悩のうちに退職を迎えた刑事が後輩に力を貸して事件の解決に至ります。犯人逮捕も手放しでは喜べない状況ではあるものの、それまでの心残りは終結を迎えます。そこに慈雨が...。
学生さんがこの本を選んだことに少し驚きました。かなり渋めの小説のように感じたからです。
足利事件を元にしてるのでは?という書評もあったため、冤罪事件に興味があったのでしょうか?それとも巡礼に興味が...?
など、選書についてもあれこれ思いを巡らせ、楽しい読書となりました。
※足利事件を扱った『冤罪足利事件』も法学部資料室にあります。あわせていかがですか?
【図書館スタッフ:フエルトうさぎ】
ハーベストタイムの中川牧師のおすすめ図書
『リアルカミングアウト』を読んでみました。
紹介文にあったように一気に読めました。
同性愛者としてカミングアウトの過程、その間の葛藤、苦しみ、恋愛の体験談は、理解するのが難しい点もありますが、素直に詳しく書いてくださっています。
理解するのが難しいと言って知らないでいては、間違った接し方をしてしまったり、傷つけてしまうこともあるでしょう。
彼は、確かなアイデンティティを求め続けて、このリアルカミングアウトを書くに至ったのだと思います。それは、紹介者も少し触れていますが、そこには彼の愛があふれていると思います。最後の方に、彼らやそのご家族に対してのアドバイスの仕方を彼なりに付け加えておられるのも愛だなと思いました。
前半部分では教会、クリスチャンに対する世間の方々の誤解について書かれていました。クリスチャンは罪を犯さないとか、清く正しい人だとか、大きな誤解です。教会は罪赦された罪人の集まりだということ聞いたことがあるでしょうか。まさにその通り! 自分を罪人だと自覚した者たちの集まりです。
そのことをベケットさんはご自分の体験を通してこの本で証ししておられます。
そして、自分は世界で一番幸せ者だとも記されています。
まさにその通り、クリスチャンはみなそう思っていると思います。それはなぜでしょう?
是非、彼の体験を通してその答えを探してみてくださいませ。
著者ベケット・クックさんのプロフィール:ベケット・クックは、テキサス州ダラスで生まれ育つ。大学卒業後、脚本と演技のキャリアを積むためにロサンゼルスに移り住む。現在はファッション界でプロダクションデザイナーとして働いている。2017年にバイオラ大学タルボット神学校で神学修士号を取得。現在は宣教に多くの時間を費やし、教会や大学、カンファレンスでの同性愛の問題について講演している。
★ハーベスト・タイムの『リアルカミングアウト』のページでは、目次や、牧師の紹介文が掲載されています。
(図書館スタッフ:小豆)
こんにちは豆太です。
この本は法学資料室にあります。
法学というと堅いイメージがあると思いますが、この本は後見契約によって
結びつけられた天涯孤独の女性と司法書士が奏でる、希望の物語です。
成人後見制度とは
あらかじめご本人自らが選んだ人(任意後見人)にひとりで決めることが心配になったときに
代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度です。
家庭裁判所によって成人後見人等が選ばれる(選任される)制度です。
「天空橋を渡って」
2000年 春、東京大森に事務所をもつ彦坂一郎のもとに白鳥和子が現れる。
初対面の彦坂に「わたしの遺言の執行人となってほしい」と依頼する和子に
その理由を尋ねると、「あなたの名前がとても素敵だから」と言う。
特別な名前でないと不思議に思う彦坂だったが・・・・・
その後20年経ってミッション契約も終わり、一通の手紙が残された。
和子の死後に明かされる隠されていた戦争の悲劇と愛が心に響きます。
大変読みやすく、きっと誰かに薦めたくなる本だと思います。
法学部以外の皆さんも是非手に取ってみてください。目頭が熱くなります。名作です。
(名古屋図書館スタッフ:豆太)
2016年公開のアニメ映画『この世界の片隅に』を紹介します。
主人公のすずは絵を描くのが得意な広島の女の子。そのすずが呉に嫁ぎ幸せな毎日を送っていたが、戦争は次第に激しくなる。
すずのささやかな幸せが崩れていくー。
きっととても有名な作品だと思いますが、予備知識が一切なく戦争映画だと知らずに見始め、すずののんびりした声(声優のん)が作品にほんわかしたムードを醸し出していたため引き込まれて、結局最後まで見続けてしまいました。
戦争映画は苦手で、悲しい結末しか待ってないというイメージしかなかったため極力避けてきましたが、この映画を見て戦時下にも普通の生活が営まれ、ささやかな喜びさえあったということが改めてわかり、こういう戦争の描き方をとても新鮮に感じました。
普通の日々が少しずつ変わっていく雰囲気がじわじわと描かれ、遠い出来事だった戦争の中を生きた人々の暮らしが実感を伴って迫ってきました。
物語が日付を追って進んで行きますが、丹念な調査で時系列も実際に起こった出来事に合わせているそうです。
声高な戦争反対を叫ぶより、心にしっかりと戦争は嫌だと刻まれた気がしました。この映画を作り上げた人達の思いが伝わる映画でした。
【図書館スタッフ:フエルトうさぎ】
何年も前にビデオで観た
あの映画がDVD化されました!!!
最近は古い映画もDVDに作り替えることができるんですね。
古い映画好きにはありがたいことです。
この映画のDVD化はクラウドファンディングで実現したとのこと。
早速、購入しました。
届いた日に2度も観てしまいました。
ラストはやはり涙、涙です。
長い漂流後、アメリカの商船モリソン号に乗せてもらって
やっとのことで自分の国に帰ったのに鎖国中の日本は、砲撃で出迎えます。
泣く泣く引き返すことになったモリソン号事件、実話をもとに三浦綾子さんが書き上げられました。
「国っていったい何なんや!」
「国がわれらを捨てても、捨てない方がいるんや!」このセリフに泣けます。
途中マカオで、世界初の日本語聖書の翻訳に携わるシーンもあります。
以前にもこのブログで紹介したことあると思いますが
DVD化を機にもう一度紹介させてくださいませ。
『海嶺 上』
『海嶺 中』
『海嶺 下』
海嶺は瀬戸図書館にあります。
DVD販売者のページ『いのちのことば社』から詳しい情報を読むことができます。
原作:三浦綾子 監督:貞永方久 脚本:脚本:貞永方久/緒川浩一
音楽:佐藤隆 (1984年日本アカデミー賞音楽賞受賞)
出演:西郷輝彦/竹下景子/井上純一/松本秀人/あおい輝彦/米倉斉加年/田村高廣 他
特別出演:ジョニー・キャッシュ(第45回グラミー賞受賞)
★愛知県知多郡美浜町の『音吉記念館』では、
三浦綾子さんの『海嶺』に関する展示がご覧になれます。
予約制とのことですが、一度、行ってみたいなと思います。
(図書館スタッフ:小豆)