<06>図書館スタッフ: 2011年7月アーカイブ
『流しのしたの骨』江國 香織 著
小さい頃から、食べものの登場する本がすきだった。 『ぐりとぐら』のおっきなカステラ、 『エルマーのぼうけん』でワニのしっぽにくくりつけたたペロペロキャンディー、 『ふしぎなかぎばあさん』がカギっ子に作ってあげるフライパンいっぱいのハンバーグ・・・etc 食いしん坊のわたしは、ストーリーよりもおいしそうなご馳走のシーンがいつまでも心に残っている。 さて『流しのしたの骨』のお話。 ちょっと怖いようなタイトルだけど、ホラーでもなんでもない。 3姉妹と1人の弟がでてくる風変わりな家族の物語だ。 でもどこの家族も他人から見たら、ちょっとくらいおかしなところはあるわけで。 だから、こんな家族もあるんだろうなあと、少しだけ他の家庭を覗き見しているような気分になる。 個人的には、主人公の三女 こと子の恋人 深町直人がとても好きだ。 そしてこの小説には、なんといっても美味しそうな食べ物たちがたくさん登場する。 小川軒のレーズンウィッチ、洋菓子舗ウエストのドライケーキ、さゝまの最中、精養軒のマドレーヌ。 実在するお店のお菓子やメニューがでてくるので、 ますますどんなお店なのか、どんな味なのかが気になってしまう。 そこで東京旅行の際に、銀座の老舗フルーツパーラー千疋屋に行ってみた。 物語の中では、こと子と恋人と弟の律くんの3人で千疋屋に訪れる場面がでてくる。 3人は、それぞれ、3色ババロア、メロンパフェ、グレープゼリーを頼んでいた。 わたしが頼んだのはフルーツパフェ。 ああ、ここにあの小説の中の3人も来たんだなあと思うと感慨深くて(実際は来てはいないのだけど)、パフェの美味しさもひとしおだった。
(名古屋のスタッフ 春)
最近、歳のせいか細かい字が一段とみえにくくなり本を読むことがすくなくなりましたが、久しぶりで読み応えのある本に出会いました。
一人の高校生の一夏の物語
主人公「ファーガス」がボグ(泥炭湿地)の中から発見した少女の遺体は
誰なのか?????
1980年代の北アイルランのIRAによる独立運動 という歴史的史事実を背景に
家族、友情そして死・・・・・盛りだくさんで重たいようですがロマンスもあり
この先どうなるのだろうかと、 一気に読み進みました。
ミステリー小説のようで、アイルランド紛争のことを知らなくても面白く読めますよ!
(瀬戸のスタッフ スージー)
みなさま こんにちは
すでにご存知のかたもいらっしゃるでしょうが
ミュージカル「ウィキッド」が名古屋にやってきます。
東京へは何度も足を運んで感動をもらっていましたが、
やっと交通費を気にしなくても観劇できる日がきます!!
もう楽しみで楽しみで♪
ミュージカルのストーリーは、「オズの魔法使い」の物語の前に善い魔女と悪い魔女が出会っていた事を前提として、二人の交流を描いたもので、最初は反発しあっていた二人がお互いを認めるようになり、同じ人を好きになり、衝撃的な事実を知り・・・。
二人が歩んだ道はどんなものだったのでしょうか?
素敵な衣装や音楽を楽しむことはもちろん、
小学生にはお姫さまについて
中学生・高校生には友達との関係やいじめ、恋愛
大学生にはもうちょっと社会的に、マイノリティーや正義について
いろんな世代の人がそれぞれの立場から見ることができ、考えることのできるお話でもあります。
きっと観劇後には話しに花が咲くことでしょう。
そのとき話をもっと盛り上げるのに役立つのが下の2冊(3冊?)。
一つは
「オズの魔法使い」 フランク・ボーム作
ミュージカルには、魔女以外にも「オズの魔法使い」のキャラクターたちが登場します。
カカシ、ライオン、ブリキは何が欲しくてドロシーについていったのでしょう?
ドロシーの履いている靴はどんなもの?
これだけ知っているだけでもミュージカルをみると「なるほど~」と感心してしまい、楽しさ2倍です。
そしてもうひとつは
「ウィキッド 誰も知らない、もう一つのオズの物語」(上)(下)
著:グレゴリー・マグワイア
ミュージカルとはストーリーがちょっと違いますが、ミュージカルで描ききれなかったキャラクター達の生い立ちや気持ちがわかります。
また、民族間紛争、格差、差別、宗教などより社会問題を含んだお話になっています。
オズの国の問題としてとらえるもよし、現代社会に置き換えてとらえるもよし、です。
私ももう一度読んでからミュージカルを見に出かけることにします。
その前にチケットを手にいれなくては!!
(瀬戸のスタッフ はち)
みなさん、こんにちは。
さて、今回はネタがなーい!! と悩んで、やっとこさ絞り出した話題は
「芥川龍之介」
なんで、いきなり芥川?って感じかもしれませんが (^^;)
夏に始まるドラマの情報を見てたら
イケメンがらみのものが話題になってるみたいなんですね。
で、最近の若手俳優のイケメンもいいですが、
芥川龍之介も、けっこーなイケメンだったんですよ~笑
と強引に繋げて、取り上げてみました。
高校時代の現国の先生が、すごくイラスト上手で、
芥川のイラストを描いて、生い立ち紹介みたいなのをやってくれたんです。
「イラスト、美化しすぎでしょ!?」ってくらい、先生の描く芥川は美しかったんですが、
写真で見てもカッコよかったんですよ、これがまた。(*^^)v
そんなイケメン芥川の作品には、エゴイストがたーくさん出てきます。
有名なのは『羅生門』とか『蜘蛛の糸』かな(教科書にも載ってたし)
私の好きな作品は『藪の中』です。
主要な人物3人(夫・妻・盗人)のエゴイストっぷりが、まぁスゴイ!笑
それと、『地獄変』
これ読んだときは衝撃でした・・・。
殿様に地獄絵を描くように命じられた絵師が、最後にどのように絵を完成させたか?
どれも短編なので、読みやすいものばかりだと思います。
小説版でも複数種類ありますし、漫画化されてるものもあるので、
お気軽に読んでみてくださいね~ ヽ(^。^)ノ
「羅生門」 (まんがで読破シリーズ)
「薮の中 ; 羅生門」 (Manga bungoシリーズ)
「芥川龍之介」 (ちくま日本文学)
(瀬戸のスタッフ : かりんとう)
人が、人を救うことはできるのでしょうか?
彼女が求めていたものは、
自分の全部を受け入れ、何をしても決して見捨てず、
ただ愛しつづけ、赦しつづけてくれる存在でした。
直木賞候補作にもなっている、島本理生の「アンダスタンド・メイビー」
上下巻の長編でしたが、一気読みしました。
人が人を救うことはできない。
自分を救えるのは自分だけ、と私は思います。
でも、自分を無条件に、絶対的に肯定してもらった経験や実感のない人は、
誰かに救いを求めつづけずにはいられないのではないでしょうか。
この本の主人公・藤枝黒江も、そんな「自分だけの神様」を求めつづけています。
機能不全の家庭で育ち、たくさんの傷を負ってきた彼女の、中学生から20代までの物語。
なぜ彼女の家庭が壊れたのか、
なぜ彼女は自分も周りも傷つけながらしか生きられないのか、
読み進むうちにどんどんわかってきます。
好き嫌いがはっきり分かれる本かもしれません。
もちろん、私にとっては好きな本の1冊になりました。
「私だけの神様」を一度でも追い求めたことのある人に。
( 瀬戸のスタッフ うぱこ )
図書館では学術雑誌のバックナンバーを製本して保管しています。
<瀬戸図書館の書庫。外国雑誌の書架です。>
どうして製本するのかと聞かれることがあります。
またはもっとはっきりと、扱いづらいから製本しないで欲しいと言われたこともあります。
確かに、重いし、分厚いし、持ち運ぶにも、コピーを取るのも結構大変。
和雑誌などは背表紙に特集の内容が書いてあるものもあって、それを参考にして
探したりできたのに、製本すると見られなくなっちゃうし。
それに、製本中は利用できないから困るし。
あれ?なんだかいいことないみたい?図書館側の都合(管理しやすいからとか)だけ?
もちろん、そんなことはありません。
製本する理由、
①散逸しない。
利用が多い雑誌は何度直しても順番がめちゃめちゃになりやすいです。
全然違うところに戻っていたり、どこかにまぎれて見つけられなくなってしまうことも
あります。
<きれいに並んでるけど、よく見ると、順番バラバラ・・・>
②探しやすい。
この雑誌の○号が見たい!と思った時、どちらが探しやすいでしょうか?
③傷みにくい。
新しいうちはいいですが、置いてあるだけで反ってしまったり、出し入れする時に
破れたり、どんどん劣化してきます。
<自立できないので、ブックエンドで押さえていても、ズルズルと>
やはり製本は必要だと思うのですが、なんとか納得していただけましたでしょうか。
さて、そんなわけで、今年もこの1ヶ月ほどをかけて、製本の準備をしてきました。
こんな感じで、製本単位ごとにゴムでくくって業者さんに引き渡します。
今回は洋雑誌の一部です。
5~6週間後にきれいに製本されて戻って来ます。
それまで、利用できずご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力をお願いします。
<準備完了!しばしのお別れ、製本工場へ行ってきます!>
(瀬戸のスタッフ くり)
こんにちは! 'りゃま' です。
唐突ですが、みなさん、 'りゃま' ってなにか知っていますか?
そう、それはかわいい 南米アンデスのラクダ科動物なんです!
ラクダ科の動物って、とってもかわいいんですよ!
(何を隠そう、わたしは大のラクダ科ファン)
最近人気の「アルパカ」も、なんと ラクダのお仲間なんです。
← (アルパカ 白×茶)
さて、そんな ラクダ科 本家本元のラクダさん。
実は、太古の昔から
図書館にとって、とても重要な役割を果たしていたのはご存知でしょうか?
今日は、その驚くべき事実の分かる本をご紹介したいと思います。
『本と図書館の歴史 : ラクダの移動図書館から電子書籍まで』
10世紀のペルシャでは、役人が収集した何万冊もの書物を運ぶのに、
500頭ものラクダが使われたのだとか。
『図書館ラクダがやってくる : 子どもたちに本をとどける世界の活動』
現代でも、ラクダ達は大活躍。
同行する図書館員とともに、
交通や教育機会に恵まれない砂漠地帯など僻地のこどもたちへ
本を届けます。
こうした活動は、世界のすみずみのこどもたちにまで夢を与え、
識字率向上にも役立っています。
また この本では、ラクダのみならず、
国や地域によって異なるさまざまな「移動図書館」についても
紹介されています。
ロバ、ゾウ、船、雪上のソリ などなど
この時代においても、
これらは重要な移動手段として活躍しています。
" 図書館 = 夢へのかけ橋 "
この2冊を通して、図書館とは、
『世界中のあらゆる人々の可能性を生み出し、飛躍させることのできる大切な場所』
なのだと、改めて認識させられました。
たとえ過酷な条件の中に生きようとも、
人々が平等に夢を持てる社会でなくてはいけないのです。
それを胸に刻み、
毎日の図書館業務に励んでいきたいと思います。
みなさん、
図書館を大いに利用し、発見にあふれた毎日を過ごしましょう!
(瀬戸のスタッフ 'りゃま')