スタッフ: 2023年5月アーカイブ
日本人の気質的に、周りと同じだと安心する。
周りと違うことを認めるのは意外と難しい。
周りと違っていいんだよ、みんな違っていいんだよというメッセージが込められた絵本。
「わたしはあかねこ。とうさん、かあさん、きょうだいたちとぜんぜんにてないけのいろだけど、わたしはこのいろきれいでかわいくってすきだったの。でも...。」
子どもも大人も楽しめて、多様性の考え方にも触れられる。
終わり方もとっても素敵。
(瀬戸のスタッフ:emirin)
ごきげんよう、スタッフのかえるまんじゅうです。
ミステリー作品における探偵役は、しばしば作品内の謎に関する知識について語りがち、
というのはジャンルにおける「あるある」ネタの一つだと思いますが、
今回ご紹介する作品の探偵役もまさにそのタイプです。
小栗虫太郎『黒死館殺人事件』
ストーリーとしては、黒死館と呼ばれる屋敷で起こる連続殺人事件と、
屋敷に住む謎めいた一族や住人の謎を解くミステリ小説なのですが、
何よりもこの作品を異質な存在たらしめているのは、作中にふんだんに盛り込まれている蘊蓄の量です。
探偵役の法水が屋敷の建築やら美術品やら調度品やら蔵書やらに関する知識をこれでもかという程ひけらかしまくっているのです。
おまけに容疑者たちとのやり取りにも英語やドイツ語などの詩歌の引用をしつつ、鎌をかけたり真意を探ったりします。
「もう少しシンプルな会話が出来ないのか?!」と思いつつもなんとか最後まで読んだのですが、肝心のストーリーが蘊蓄の量に埋もれてしまっている気がしました。
それでも面白い作品であることは間違いないので、オカルトチックな雰囲気のミステリ小説に興味がある方、溺れるほどの蘊蓄を浴びたい方におすすめします!!
※小栗虫太郎『黒死館殺人事件』は青空文庫からすぐに読めます。タイトルをクリックしてください。
(なごやの図書館スタッフ かえるまんじゅう)
みなさん、こんにちは!
本日ご紹介する作品はこちら↓
『ダウントン・アビー』原題:Downton Abbey
1912年~1925年のイギリス、ヨークシャーの架空のカントリー・ハウスである「ダウントン・アビー(Downton Abbey)」を舞台に、エドワード朝以降の貴族であるグランサム伯爵クローリー家と、執事や従者、侍女やメイドなどの使用人たちの生活が当時の史実や社会情勢を背景にして描かれています。
様々な人間模様が興味深いし、時には事件も起きたりして物語がドラマチックに展開します。
NHKで日曜23:00からドラマが放送されていたのでご存じの方もおありかと。
ドラマ版はシーズン1からシーズン6まで、映画版は2作あり、うち第1作目は瀬戸にあります。
ご興味のある方は是非...
図書館スタッフ:signet
『応天の門』
時は平安、藤原家が宮廷の権力を掌握せんと目論んでいたその頃。検非違使を務める在原業平は、月夜に一人の青年と出逢う。その青年の名は―菅原道真(単行本16巻「STORY」より)。そう、あの菅原道真。
大学寮の学生・道真と女性大好き・在原業平―身分も生まれも違う、およそ20歳差のふたりが京で起こる怪異を解決するクライム・サスペンス作品。
舞台は平安時代だけど、事件が起こってそれを解決するという構図はどの時代でも同じこと。業平の依頼や、まわりの人々のせいで道真がいやいや関わって解決する。本人は家にこもって好きな本を読んでいたいという引きこもり気味の人。唐に憧れていて、遣唐使になりたいと秘かに思っている。そのために唐由来のモノにつられて事件と関わってゆくことも。
本作の監修を東京大学史料編纂所の本郷和人氏が担当していて、単行本には平安時代の文化・風俗に関する解説文も載っている。平易な文章で読みやすく、わかりやすい。
(図書館スタッフ:飛梅)
今日はまるでドラマか映画を観ているように読むことができた本を紹介いたします。
タイトルとイラストからは
とてもかわいいお話を想像するのですが
崖っぷちニート、島暮らしを始めます。
というシリアスな問題を抱えたちょっと重いテーマのお話です。
とはいえ、本当にテレビをみているような感じの書き方で頭の中には映像がどんどん広がってきて、とても読みやすかったです。
親に捨てられたというニートさんの語りで始まりますが、
ゲームの話が出てきて、私にはちんぷんかんぷんで
ん?この話は私には無理かな?
と思ったところで、
読者に対して
「いきなりうんざりされてるかも」というような書き方されて、
あれ?わかりました?
と思わずツッコミを入れながら読み進めることにした私です。
ゲームの話は、やっぱり私にはわかりませんが、このゲームが意外と重要なカギを握っています。
親に捨てられたり、訳ありで自分からニートになったり、登場人物はとてもユニークですが、意外な展開で、話はどんどん進みます。
読み終えた今でも私の頭の中には
それが現実の場所かのように二百十番館とその島の様子が映像として残っています。
交通の便も悪い、お店もほとんどない、小さな島で悪戦苦闘する青年たちの二百十番館の世界を読んでみませんか。
★『二百十番館にようこそ』は瀬戸図書館にあります。
(図書館スタッフ:小豆)
こんにちは、スタッフゆまたろうです。
この図書館では『君の名は。』が大ヒットする前の2009年から
新海誠監督の作品を揃え続けています。
メディアコーナーで視聴可能で、ピアノ楽譜もありますよ!
ぜひ図書館(学術情報センター4F)にお越しください。
<DVD>
『ほしのこえ』
『秒速5センチメートル』
『雲のむこう、約束の場所』
『星を追う子ども』
『言の葉の庭』
『君の名は。』
『天気の子』
<本>
『小説すずめの戸締まり』
『小説君の名は。』
『小説・秒速5センチメートル』
『彼女と彼女の猫』
『ほしのこえ : あいのことば/ほしをこえる』
<楽譜>
『君の名は。 : ピアノソロ』
(なごやの図書館スタッフ ゆまたろう)
ヘレンケラーが物には名前があることを初めて知った時、『ウォーター!!!』と叫んだシーンは、とても有名ですが、
同じような瞬間を体験された母子の物語
『さとしわかるか』を紹介したいと思います。
東京大学先端科学技術研究センターの教授である福島智さんのお母様が「指点字」を思いつかれるまでを記した母子の闘病&成長記録です。
子供の頃に視力を失い、後に聴力まで失った息子との会話をあきらめなかったお母様が、とっさに思いついた「指点字」、その時、打った言葉が
この本のタイトル『さとしわかるか』です。それまでの闘病の様子、学校での苦労など読み進めながら、この瞬間には、感動で涙が出ました。
第三者の私がこれほど感動したのですから、お母様の感動はいかほどでしょう。
YouTubeで、この指点字での通訳シーンを少しだけ見ましたが、ものすごいスピードで指を打っておられました。
この本を読んで、少しだけ点字を覚えてみようと調べてみました。あいうえおなど五十音の表を見ながらなんとなく、文字のルールをつかんで実際の点字を読んでみようとしましたが、小さすぎて指で触っただけで読み取るのはとても難しいです。目で見て、点の配置を確認してやっと一文字読める、そんな状態です。文章を伝えるには相当な訓練、練習が必要だったことでしょう。
息子とコミュニケーションをとるために?息子の将来のために?
このお母さんはどれほどの労力をささげられたことでしょう。
『さとしわかるか』の所蔵館(県内)は『愛知県図書館 横断検索 愛蔵くん』で調べることができます。
福島智教授の著書のうち下記の2冊は瀬戸図書館にあります。
★『盲ろう者として生きて : 指点字によるコミュニケーションの復活と再生』
★『盲ろう者とノーマライゼーション : 癒しと共生の社会をもとめて』
目が見えなければ、手話も使えません。
この「指点字」は、多くの方に希望を与えたことと思います。
『さとしわかるか』は手話仲間から紹介されて読みました。私の知らなかった世界を教えてくださったことを感謝して、私もここでお勧めしたいと思います。
(図書館スタッフ:小豆)
皆様こんにちは!
新学期が始まって、一度は大学の図書館に足を運んでいますでしょうか?
名古屋学院大学には図書館が全部で4つあります
■瀬戸キャンパスの『瀬戸図書館』
■ひびのキャンパスの『ひびのライブラリー』
■名古屋キャンパス曙館の『学術情報センター(図書館)』
■名古屋キャンパス翼館の『法学部資料室』
それぞれに特徴のある図書館ですが、全部行ったことがある!という方は
ひょっとしたらあまり多くないのかもしれません
各図書館をこのブログでも少しずつ紹介していきたいと思っていますが
「百聞は一見に如かず」です
ぜひ自分の足で図書館を訪れてみてくださいね
面白い展示を見つけたり、のんびりできる居場所を見つけられるかも♪
そうそう!図書館に行くときは
忘れずに『学生証』を持ってきてください
入退館ゲートを通ったり、本の貸出に必要になります
また、館内では「ふたがしっかり閉まるタイプの飲み物」以外の
飲食はできませんのでご協力くださいね
大学の施設もいろいろあります
せっかくの大学生活、全部の施設に足を運んで覗いてみて、活用したいですね
(図書館スタッフ:るん)
こんにちは! あかトマトです。
今日は私の好きな作家の一人でもある、湊かなえさんの『未来』をご紹介します。
「イヤミス」(読後にいやな気分になるミステリー)の女王といわれる湊かなえですが、こちらの作品は少し違う...
いや、違わないけど、なんだか現代の家庭、教育問題をえぐるような湊かなえデビュー10周年にふさわしい湊ワールド全開の作品です。
ちょっと驚いたのは、某大学の憲法(社会問題)の論文課題図書一覧の中にこの図書があったことです。
ミステリーとしてではなく、そういった視点で読むのもありなのかと...
物語は10歳の少女に未来の自分から手紙が届くところから始まります。
登場人物(主に子供たち)を取り巻く環境が実に問題山積み、とにかくずっしり重くて読み進めるのも辛い1冊ではありますが、子どもたちの「未来」が明るいものであることを願わずにはいられません。
「親ガチャ」なんて俗語もありますが、親に恵まれず、悲惨な思いをしている子供たちは我々のすぐ近くにもいるかもしれません。
この本はハッピーエンドではないけれど、最後に何か救いのようなものを少しでも感じ取って、タイトルの『未来』につなげていけたら...
と願って締めくくりたいと思います。
(名古屋の図書館スタッフ あかトマト)