重い想いも思い思い

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皆様こんにちは、図書館スタッフの勝山道です。

早々の梅雨入り、そして夏の雰囲気に突入してきた、という雰囲気を日々感じております。

とはいえ今年の梅雨はこれまでほど不快感を感じませんでした。意識の変化でしょうか?しかし雨で家から出られない、といった事態は発生します。

そんな時はベタですが、お家で本でもどうでしょうか。

というわけで本日はしろとり図書館の蔵書よりミステリ小説の紹介です。

 

 

追想五断章

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作品紹介(Amazonより引用)
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大学を休学し、伯父の古書店に居候する菅生芳光は、ある女性から、死んだ父親が書いた五つの「結末のない物語(リドルストーリー)」を探して欲しい、という依頼を受ける。調査を進めるうちに、故人が20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者だったことがわかり―。五つの物語に秘められた真実とは?青春去りし後の人間の光と陰を描き出す、米澤穂信の新境地。精緻きわまる大人の本格ミステリ。

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著者は米澤穂信。著作としては映像化した『インシテミル』『氷菓』などが有名でしょうか。

本作はそうしたメディアミックスの機会を得てはいませんが、読み応えのある作品に仕上がっています。

  

本作を読んで最も印象深いのは、「思ったより読みやすい」と感じたこと。

個人的に、ミステリ小説とはマニアックなジャンルで、内容が難解だったり深淵であることが肝要とされている印象もありましたが、それはいち読者である私の思い込み。

少なくとも本作は読みやすく入りやすく、そして面白い作品でした。

 

内容についてですが、話の主題の流れがとても掴みやすくなっています。

要点である謎解きに五つの物語を探すという物質的な目標が設定されているため、いま話はどれくらい進んでいるのか?どれくらい重要な局面にあるのか?といったところが分かりやすく、一息に読み進めていく楽しさがあります。

現実離れしすぎない程度に非日常的な展開も丁度よく、登場人物のどこかにいそうな感じも含め、物語への没入感があります。

その登場人物も人数が絞られているため、再度登場したこの人は、いつどこで出てきて何をした人だったっけ?と頭を悩ませられることもありませんでした。これも読みやすさの一端でしょうか。

 

また、作品全体の雰囲気が明るくないことも、特徴として挙げられるでしょう。

バブル経済が弾けた平成5年ごろの日本を舞台とし、主人公含む登場人物も併せて、どこか退廃的な空気が漂い続けます。

そういった部分では読み手を選ぶ作品になっているかもしれませんが、そんなほろ苦さや渋みにも味を感じられるのであれば、ぜひとも読んでいただきたい一冊になっております。

という事で『追想五断章』はしろとりキャンパス曙館3階図書館にてご利用いただけます。
ご興味があれば是非ともご利用ください。

 

それでは失礼いたします。

  

  

(しろとり図書館スタッフ:勝山道)

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