『スタンフォードの自分を変える教室』
「決めたことは必ずやり遂げる」
「自分は自分を完璧にコントロールできる」
と言える人は、世の中にどのくらいるだろう。多くの人にとって、いや私の場合、毎日の生活は、
「やらなければならないのに、やり遂げられない」
あるいは、
「今日やらなければならないのに、明日に先延ばしにしてしまう」
そんなことのくりかえしだった。追い込まれないとやる気が起きないのは、学生時代の試験勉強から変わっていないようだ。そんな人のために、世の中には啓発本が多く出されている。そこには、こんな文字が散りばめられている――。
「朝1時間早くおきて勉強にあてる」
「1日30分のジョギングでダイエットする」
「スケジュール管理ソフトでてきぱき仕事する」
ケリー・マクゴニガル『スタンフォードの自分を変える教室』(大和書房、2012)は、従来の自己啓発本とは趣を異にする。彼女は、瞑想すれば自己コントロールの能力が向上すると書くだけでなく、その背景となった研究成果も紹介している。「ある研究では、瞑想の練習をたった3時間行っただけで、注意力と自制心が向上するとう結果が見られました。(中略)8週間毎日続けたところ、(中略)脳で自己認識をつかさどる部分の灰白質の量が増えているのがわかりました」とつづける。
私たちの意志力、つまり著者の言うやる力(毎日ジョギングをつづけ)、やらない力(甘い物の誘惑をしりぞけ)、そして望む力(スリムな体型をとりもどそうと思い出す力)は、目に見えない。これを科学的に目に見えるようにして自分を変えていこうというのが本書が紹介する方法。頭の中には、「意志」という"水"が蓄えられている。睡眠時間が6時間未満になると、グルコースが細胞に吸収されづらくなり、自己コントロールが難しくなる。つまり、意志の水は減ってしまう。この水を絶やさないようにするために、自分自身を知ることが意志力を維持する方法であるらしい。
新学期を迎えたらもう一度、生活を振り返ってみよう。意志の力を磨けば、あなたも、――もちろん私も変わる。
(瀬戸のスタッフ りんたろう)
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