女性にとって特別なとき

『口紅のとき』 角田光代/著 上田義彦 求龍堂
図書館の新着図書コーナーでとても目立っていた1冊の本。
真っ赤で、格子状に入った腺がとってもレトロで
祖母や母の鏡台を思い出しました。
(決して真っ赤な鏡台なわけではないのですが。)
角田光代さんも本書の最後で述べていますが、
口紅って、数あるお化粧品のなかでも
とっても特別なものだと思います。
子どもの頃、化粧をしている母の様子を見ていて、
一番印象に残っているのは口紅を引く部分です。
(他の部分はあんまり印象に残っていません。)
それに、初めて口紅を母に塗ってもらった七五三の時のことは
こそばゆくてなんだか誇らしい感覚と一緒に今でもよく覚えています。
この本では、6歳から79歳までの1人の女性の人生が
1本づつの短編でつづられています。
あいにく、今の私の年齢の作品はありませんでしたが、
障子の影から口紅を引く母の様子を伺う少女の気持ちに
「 あぁ、そんな気持ち、幼い私も感じてた 」と思ったり、
病床に伏せる愛する夫のために毎日色々な色の口紅を引いて、
明日も今日と同じように一緒に過ごすのだと伝え続ける
熟年の女性の気持ちに心打たれたりしました。
途中に掲載されている、様々な年齢の女達が口紅を引く写真。
彼女たちの秘密の時間を覗き込んだみたいで、目が離せません。
1つ1つが短く、文字も大きいので一気に読めちゃいます。
ぜひ、女性の方に手にとってほしい。
そんな1冊です。
もちろん男性の方も、女性の秘密を覗いてるみたいで
十分楽しめると思いますよ!
(栞)