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「2040年問題」というキーワードを聞かれたことはありますでしょうか。
2040年になると第三次ベビーブームに生まれた「団塊ジュニア世代」が65歳以上の高齢者となり、高齢者の人口はピーク。少子高齢化が進み、これを極めることとなる。これが「2040年問題」です。具体的な問題は
①一人の高齢者を15人で支えることとなる。
➁年金、医療、介護などに使われる社会保障給付が現状の1.6倍となる。
➂単身(おひとりさま)の貧しい高齢者が増加する。等々経済的に社会全体が
圧迫され、苦しくなるということです。
本書では、現実起きている世界での格差による社会の分断、日本においても格差による階層の分断、すなわち社会的弱者の一層の貧困が生じ、コロナ禍を通じてよりそれが鮮明になってきていると述べられています。
筆者は、若い人にも身近なところで起きている、社会的弱者である子どもの貧困、増加するであろう老人の貧困、こういった現象をリアルに気づいてもらうことに期待しています。
(図書館スタッフ 東空)
こんにちは、ポテトまるです。
最近なかなか本を読む時間がとれず、長編の物語を読むのは難しい...
ならば短編ものを読もう!と思い立ち、短編小説を探す中で見つけたのが、
北山猛邦さんの『私たちが星座を盗んだ理由』です!
こちらの本は、5つのお話が収録されている短編集です。
短編集と言いつつも、1つ1つのお話がつながっている作品も多くありますが、
今回紹介している作品は、1つ1つの物語は完全に独立しているので、
時間を見つけてサクッと読むことができます!
5つの物語全て予想外の結末で、読み終わった後の何ともいえない感覚が印象的でした。
結末を知ってからもう一度読み直すと物語に散りばめられた伏線に気づくことができ、二度、三度と楽しめる作品だなと感じました。
中でも私は一番最初に収録されているお話「恋煩い」がゾッとする終わり方でお気に入りです。
特に最後の1行を読んだ時の衝撃はなかなか忘れられませんでした...
今回紹介した『私たちが星座を盗んだ理由』はしろとり図書館に所蔵があります。
気になった方は、是非読んでみてくださいね。
(名古屋の図書館スタッフ ポテトまる)
こんにちは、もくもくです。
今回ご紹介するのは、「ジャック・フィニィ」のファンタジー作品です。
彼はSF作家、ミステリー作家でもあり、この作品で書かれている
憧れの時代と同じ道路、場所または部屋など、すべての条件が一致すると
現代を離れることができるというアイデアは
過去の世界への入り口として、彼の長編SFでも使われています。
並行世界を行き来できるコインや
時を越えて手紙を届ける古い机の隠し抽斗。
出会ってはいないけれど、世界のどこかにきっとあると思わせる
不思議でノスタルジックな短編集。
古き良き時代が持つ不思議な力
その中で生きている人々の日常や人生を優しく描いていて
読んでいる自分も、あたたかい気持ちになりました。
書影(カバー画像)についても、
この絵で本書を買ってしまったという評もあったくらい
緻密で美しい絵を描く、内田善美という方によるもので
優しい不思議なお話達をさらに素敵にして感じさせてしまう
素晴らしい相乗効果をあげています。
機会があれば、手に取ってみて下さい。
この近辺では、愛知県図書館、鶴舞図書館で所蔵されています。
(名古屋の図書館スタッフ:もくもく)
「ズーマー」という名前から想像するのは男の子?女の子?
保育園で「きみは男の子?女の子?」と尋ねられた2歳のズーマーは「ズーマーは人間だよ。」と答えました。
この子の両親は、どんな代名詞(he/sheなど)で自分を呼んでほしいかをズーマーが自分で伝えられるようになるまで、ズーマーと周囲の人にこの子の姓(セックス)について開示せずに育てることにしました。
ジェンダーについて子どもが自主性を持てるような子育てをする。
簡単にはできないことだけど、すごく興味深いと思いませんか?
『ピンクとブルーに分けない育児 ジェンダー・クリエイティブな子育ての記録』
著者のカイル・マイヤーズは社会学者、教育者であり、ジェンダー・クリエイティブな子育ての世界的な提唱者です。
「私は子どもに世界の半分以上を与えたいのです。男女どちらかの売り場ではなく、すべての洋服やおもちゃから選びたいのです。すべての色、すべての遊び、すべての絵本を与え、ズーマーのために、すべての形容詞を使い、すべてのポジティブな経験と機会を与えたいのです。」(本文より)
(瀬戸の図書館スタッフ:とらねこ探偵ミロ)
こんにちは、スタッフゆまたろうです。
今は日本のゲーム機といえば任天堂かSONYですが、
昔はPanasonicやNEC、CASIOといった家電メーカーも
ゲーム機を作っていた事を知っていますか?
(SEGAは知っていると思います)
今回は、ゲームが大好きな方におすすめの本を紹介します。
『ゲームコンソール2.0』
この本は、歴代のゲーム機本体とそれを分解した写真集です。1970年代以降に発売されたゲーム機を120種以上掲載、
時代に合わせ様々に変化を遂げたゲーム機を通じて、
ゲームの歴史を知る事ができます。
著者のEvan Amosさんはアメリカのカメラマンで、
Wikipediaのゲーム機のページに掲載されている写真を
数多く手がけていることでも有名です。
ゲーム機の撮影をはじめたきっかけのページは必見ですよ。
(なごやの図書館スタッフ ゆまたろう)
なぜ、世界では争いが起きてしまうのか?どうすれば、争いを止められるのか?
このテーマを「紛争解決学」の視点からわかりやすく解説されています。
「紛争解決学」とは、暴力による対立をどのように回避するかという問題に向き合う研究分野だそうです。
そのアプローチは国際問題だけにとどまらず、個人間や社会における紛争を解決するためのヒントも与えてくれます。
「テロの暴力とテロをなくす暴力の違いは?」
「どうして宗教がからむ争いはなかなか解決しないのか?」
「報復(しかえし)は本当に有効か?」
などなど、国と国、集団と集団が争うしくみがわかれば、人間関係を円滑にするための手がかりが見つかるかもしれません。
(瀬戸図書館スタッフ:Signet)
9/15公開の「名探偵ポワロ:ベネチアの亡霊」の原作です。
この作品は数あるクリスティ作品の中でも"隠れた名作"と言われているんですって。
今作は独自にアレンジされ、新たな作品となっているとのこと。
しかしこれには、クリスティのひ孫で本シリーズの製作総指揮も務める
ジェームズ・プリチャードも初めは困惑していたらしい。
私個人はケネス・ブラナーのポワロがあまりにも原作と違いすぎて戸惑うけれど、
シリーズ3作目なのでそれなりに人気があるのかも。
シリーズ1作目『オリエント急行殺人事件』はしろとりにあります。
2作目の『ナイル殺人事件』はケネス・ブラナーのシリーズではないけれど、しろとりにあります。
(瀬戸図書館スタッフ:Signet)
かなり前に、若者向けに作られた『アウシュビッツの手紙』(平和博物館を創る会編)という写真集を見ました。64ページの薄い本でした。
切られた髪の束がたくさん集められた写真と、髪の毛から毛布や服地が作られたという説明に衝撃を覚えました。囚人からは私物がすべて奪い取られ分類されて倉庫に納められたそうです。
たくさんの靴、たくさんのブラシ、たくさんの眼鏡...山のように積み上げられたそれらの日用品を見たときに、遺体が山積みになった写真よりも強い恐怖を感じました。
実感としてこれらの持ち主から奪い取られた日常が伝わってきたからでした。
この本では、「ドイツでは高校生達にこの博物館の展示を見せて戦争について考えさせている。日本ではどうなのか」との問いが投げかけられていました。
最近、アウシュビッツでの収容体験のあるヴィクトール・E・フランクルが書いた『夜と霧』を読みました。ホロコーストの本では有名ですね。こちらは1977年に作者が新たに手を加えた新版です。
自身が精神分析学者であった作者が淡々とその体験を語り、とても冷静に人間を見つめています。
戦時下で人間がどれほど残酷になれるか、そしてそんな過酷な状況下でも人間の善意がなくなりはしないことを伝えています。
新版はイスラエル建国後4度の中東戦争を経験した後に書かれているため、作者の思いが垣間見られる内容の異同があるとのことでした。
また、ドイツでは戦後ナチズムについてどのように伝えているのかのレポートもあります。
陶冶するという言葉が難しいのですが、陶器を造ることと鋳物を鋳ることから転じて、生まれついた性質や才能を鍛えて練り上げることだそうです。
ドイツではナチスの残された遺構を博物館にするなど若い世代にナチズムについて伝え続け、ナチス政権下での多くの市民の無抵抗に対する罪も問われるなど、社会全体で検証し教訓を生かそうとしていると感じました。
私が人体実験をしていた731部隊のことを知ったのは大人になってからでした。童話作家の松谷みよ子が戦争経験者から聞き取った『軍隊』には日本人の口から語られた戦時中の実話が集められています。日本は、戦争で原爆を落とされた被害者のような捉え方をしていましたが、そうではないことを知りました。
日本では先の戦争について次世代につないでいるのか疑問に感じています。
ウクライナの街があっという間に廃墟になっていく映像に心が痛んだ昨年。
平和のもろさを感じる今、戦争について少しだけ考えてみませんか?
※『アウシュビッツの手紙』(平和博物館を創る会編)、『軍隊 : 徴兵検査・新兵のころ・歩哨と幽霊・戦争の残酷』(松谷みよ子)は公共図書館で閲覧することができます。
【図書館スタッフ:フエルトうさぎ】
こんにちは!あかトマトです♪
「きりこは、ぶすである」
今日はこの衝撃的な書き出しで始まる図書、『きりこについて』をご紹介します。
この本との出会いは...もう何年前になるでしょうか?
本学の図書館で開催された「ビブリオバトル」である学生さんの紹介された本がコレでした。
その学生さんによるこの本の紹介が巧かったのですが、「きりこは、ぶすである」という冒頭が気になって読んでしまいました♪
当時小学生だった娘も興味を持ち、読ませてしまったのですが、小学生にはまだ早かったかなと思う部分もあり、少し後悔してます...。
ちなみに娘の感想は、「きりこは、何だか私と似ている」でした。
実はきりこぶすなのに、両親に「かわいい」と言われて育ったため、小学5年生で好きな男子に「ぶす」と言われてショックを受けるのです。
娘も女の子が欲しかった私が、幼少期「かわいい」と言って育てたので、小学生になって他の子が「かわいい」と言われているのに自分が言われない中で、自分はかわいくないのだと気付いたんだそうです...
でもきりこの両親ように、親にとっては娘は(息子も)どんな美人よりかわいいものなんですよ(^_^;)
まだ高校生になったばかりの娘は、きりこのように不美人を克服できてはいないけれど、いつか「わたしはわたし」と思えるように、そしてそれを受け入れられる社会になるといいなぁなんて思います。
余談ですが、娘は高校の国語の授業でビブリオバトルをやった際にこの本を紹介して、結構高評価されたと言っていました☆
(名古屋の図書館スタッフ:あかトマト)