<06>図書館スタッフ: 2012年5月アーカイブ
土日を使って、伊良湖に行ってきました。
行きは師崎から伊良湖への船の旅です。
同じ県内でも名古屋に住んでいると、
先っちょまで行くのに時間がかかるせいで
なかなか行けない伊良湖。
でも、今年は2回も足を延ばすことができました。
一度目は、イチゴ狩りと菜の花を目当てに。
今回は、のんびり海の幸を楽しむために。
伊良湖の先端、恋路が浜沿いに一軒のお宿があります。
そのサロンでは宿泊客が自由に楽しめる本やDVDが並べてありました。
そこで見つけた一冊がこれ。
「山の上ホテル物語」 常盤新平 白水社
宿の女将さんが言うには、以前お客さんが
「こんな本があるんだよ」と置いていってくれた本だそうです。
一晩で全てを読むことはできませんでしたが、
創業者の吉田俊男と、いくら叱られても辛くても彼についていった従業員たち、
そして、彼らの創る「山の上ホテル」を愛した多くの作家たちの言葉から、
どれほど居心地がよく、素晴らしいホテルなのかが伝わってきました。
残念ながら、本学の図書館にこの本は所蔵されていませんが、
こんな一冊がありました。
森裕治 河出書房新社
ぜひ、これから探しに行こうと思います。
池波正太郎、山田瞳、高見順、三島由紀夫など
昭和の文壇を彩った作家たちが愛した「山の上ホテル」。
東京の神田駿河台で今でも営業を続けています。
ぜひ一度、泊まってみたいホテルです。
(栞)
こんにちは、りゃまです。
今日は、DVDのお話をしたいと思います。
りゃまの仲間、らくだのお話です。
モンゴルはゴビ砂漠の遊牧民にスポットライトを当てた
ドキュメンタリー映画です。
初産を果たした母らくだが、難産のショックから精神的バランスを崩して
子らくだへの授乳を許否。
飼い主があの手この手で授乳を試みますが、うまくいきません。
このままではせっかく生まれた命が奪われてしまうと、
飼い主は、古くから遊牧民に伝わる儀式を行います。
母らくだに向けて、馬頭琴を奏でるのです。
呪術的能力を持った馬頭琴奏者を遠方より招いて、
その調べの横で飼い主の若妻が歌います。
まるで風のような歌声と馬頭琴の調べ。
しばらくすると、母らくだは神妙な顔つきに。
そして、その瞳には、、、涙
さて、このらくだ親子は一体どうなったのでしょうか?
気になる方は、ぜひご覧ください!
シンプルな構成ではありますが、
ちょっとしたこころの傷、親子や家族の愛情など
自分の身にも置き換えて見ることができ、奥深いですよ。
※ただし、残念ながら学内所蔵はありませんし、
レンタルショップの店頭にもないかと思います。
ネット注文でのレンタルをご利用頂ければ手元に届くかと思います!
(瀬戸のスタッフ りゃま)
今年の春巣立っていった、学生サポーターののだめちゃんの"伊坂幸太郎特集"、
まだまだ続く...!? となったままだったので、勝手に引き継ぎ。
『砂漠』 伊坂幸太郎
大学の法学部に入学して出会った、男女5人の大学生活を描いた青春小説―
であるのだが、恋愛のときめきも、学業の苦労も、就活の試練も全くと言っていいほど
書かれていない。
それなのに、ものすごく学生生活の匂いがする。
新歓コンパから始まり、合コン、麻雀、ボウリング、犯罪に巻き込まれそうになったり、
超能力があったりなかったり。
あとから思えば、限りなくアホらしい、無益なことに一生懸命になる熱。
何の足しにもならないしょーもないことほど、面白くてむきになれる時代。
そして、その時間を一緒に積み重ねていく仲間がいるということ。
これこそ、学生時代のキモだと思う。
正しい道だけをまっすぐに効率よく進むより、一見無意味に思える寄り道をした方が
見えてくるものがきっとある。
社会という砂漠に踏み出す前のつかの間のオアシス―学生時代。
小説の最後、卒業式で学長が言ったセリフにはっとさせられる。
「懐かしがるのはいいが、あの頃はよかったなどと逃げるようなことは絶対考えるな。
そんな人生を送るな。」
ああ、すでに何度か思ってしまってるかも。学生の皆さんはこれからだから頑張って。
自分の学生時代はずいぶん遠くに過ぎ去ってしまったけれど、まさに真っ只中の学生さん達に接する毎日を過ごしていると、いろいろと感慨深い。
平日の真昼間に友人と延々おしゃべりしていられる、なんてことも学生時代だからこそ、
会話OKのラーニングコモンズとはいえ勉強しないんだったら他でお願いしたいんだけど、
なんてイライラせずに、少しは大目に見てあげようかな、などと思わず心が広くなったり...
なんてことはまるでない。
(瀬戸のスタッフ くり)
本山(名古屋)にあるシマウマ書房に、時々でかけます。
先日も ふらっと立ち寄り、入口すぐに置いてあった本に
目が留まりました。
その本には、シマウマ書房で作られたオリジナルのブック
カバーがかけられ、カバー裏面には 本の一節が 印刷
されていました。
その本は、
ベルンハルト・シュリンクの 『朗読者』
読みすすむうちに、わかったのですが、
今、名古屋キャンパスで開催している「アウシュヴィッツ展」
と深く関わりのある本でした。
何気なく手にとった本が、今おきている身近な出来事につながる
・・・ おもしろいことです。
これも、シマウマ書房のオリジナルカバーのおかげです。
はずかしながら、世界中を感動させた大ベストセラーであった
ことも あとで知りました。
映画化もされ 「愛を読むひと」(2008年) として公開されています。
こちらの方も よく知られていますね。
(名古屋のスタッフ そら)
『口紅のとき』 角田光代/著 上田義彦 求龍堂
図書館の新着図書コーナーでとても目立っていた1冊の本。
真っ赤で、格子状に入った腺がとってもレトロで
祖母や母の鏡台を思い出しました。
(決して真っ赤な鏡台なわけではないのですが。)
角田光代さんも本書の最後で述べていますが、
口紅って、数あるお化粧品のなかでも
とっても特別なものだと思います。
子どもの頃、化粧をしている母の様子を見ていて、
一番印象に残っているのは口紅を引く部分です。
(他の部分はあんまり印象に残っていません。)
それに、初めて口紅を母に塗ってもらった七五三の時のことは
こそばゆくてなんだか誇らしい感覚と一緒に今でもよく覚えています。
この本では、6歳から79歳までの1人の女性の人生が
1本づつの短編でつづられています。
あいにく、今の私の年齢の作品はありませんでしたが、
障子の影から口紅を引く母の様子を伺う少女の気持ちに
「 あぁ、そんな気持ち、幼い私も感じてた 」と思ったり、
病床に伏せる愛する夫のために毎日色々な色の口紅を引いて、
明日も今日と同じように一緒に過ごすのだと伝え続ける
熟年の女性の気持ちに心打たれたりしました。
途中に掲載されている、様々な年齢の女達が口紅を引く写真。
彼女たちの秘密の時間を覗き込んだみたいで、目が離せません。
1つ1つが短く、文字も大きいので一気に読めちゃいます。
ぜひ、女性の方に手にとってほしい。
そんな1冊です。
もちろん男性の方も、女性の秘密を覗いてるみたいで
十分楽しめると思いますよ!
(栞)
2012本屋大賞 ノミネート作品
『誰かが足りない』 宮下奈都 双葉社
昨日、図書館に新着図書で届いたこの本を始めて見たとき、
「ホラー??」
と思った。
アガサクリスティのみたいだったから。
夕焼けのピンク色の光が射す、誰も座っていない食卓の表紙も
原因の一つだったかもしれない。
でも、読んでみたら怖い本じゃなかった。
むしろ、忘れていた大切な人を、大切な思い出を呼び起こされるような、
そんな一冊だった。
ある年の10月31日午後6時。
洋食レストラン「ハライ」に集まってきた6組の予約客。
彼らそれぞれの物語が6つ語られる。
恋人、夫婦、家族、友人・・・
彼らは大切な人と、ただ美味しい食事を共にする。
そんな素朴で、でもとても大切なことに気付かされる。
6つの予約。
7つめは私自身が予約を入れてみたい。
その時は誰と一緒に食事を楽しもう??
たくさんの顔が思い浮かんだ。
とても幸せな気分になった。
(栞)