2022年5月アーカイブ
2017年ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの作品のうち私の中では一番心に響いた作品です。
長崎県に生まれ両親の仕事のため英国に渡り、その後英国に帰化した作者。原文は英語で書かれて翻訳されています。
主人公は31歳のキャシー・H。介護人を勤めているキャシーが幸せだったヘールシャムでの生活を回想するー。
何気ない日々が淡々と描かれ、どこにでもある普通の学校生活の中で小さな出来事が続く毎日。
変化のない静かな物語だと思っていると、次第にその世界が普通ではないことに気づき始めるー。
予備知識なく読み進めたので中半まで静かな作品だと思い、衝撃の物語であることに気づきませんでした。
そのため読後感が余計に強烈だったと感じています。
自分がこの立場だったらー
この世界の先にはー
あくまでも冷静な視点で貫かれる作者の思いや、様々な問いが自分の中に残りました。
(図書館スタッフ:フエルトうさぎ)
こんにちは豆太です。
皆さんはシャトレーゼのお菓子を食べたことありますか。私も以前(大昔)アイスを買った記憶があります。
その当時はさほどおいしくもないし、ただ価格だけが安いという印象でした。
ところが最近テレビ等でシャトレーゼの話題を取り上げている番組もあり、気になる存在になっています。
今回はなぜイメージがが変わったのかをこの本で紹介します。
シャトレーゼの経営基本は社是にあり、判断するときの物差しになっている点です。
社是・三喜経営に徹しよう
一、お客様に喜ばれる経営
一、お取引様に喜ばれる経営
一、社員に喜ばれる経営
とにかく、いいものを安く、お客様に提供するという経営理念、だからCMも一切やらない、株式も上場しない、
無駄を排除して三喜ファーストで大きく概念を変えた。
また、フランチャイズの立地条件にもとことんこだわったところでしか契約しない徹底ぶり。
この本を読んで皆さんも参考になるところが随所に散見されると思います。
和菓子・洋菓子を食べてみたいという気になって来ること請け合いです。
(名古屋図書館スタッフ:豆太)
こんにちは、スタッフゆまたろうです。
とある層に大人気、麻枝准さんの本を紹介します。
『猫狩り族の長』
麻枝准さんといえば、泣ける物語の作者であり、
麻枝節とも呼ばれる独特なリズムや転調が癖になる名曲を生み出す
多彩な才能を持ったクリエイターです。
この本は、麻枝さん初の小説作品になります。
タイトルを見て、未開の地に住む原住民族の物語かと思いましたが、
現代日本が舞台でした。
生きる意味を持たず、次の世界へ行くため自殺を望む作曲家の女性と、
彼女をこの世に繋ぎ止めるために、生きることの楽しさを伝え、共に生きようとする女子大生の物語です。
麻枝さんの作品を見ている人ならおなじみのストーリー展開で、まるでアニメを見ているようでした。
ファン必見の一冊です。
(なごやの図書館スタッフ ゆまたろう)
現在、曙館3F図書館カウンター前にて
こどもスポーツ教育学科4年生の、小出翔汰さんの個展、
「手作り絵本個展」を開催しています。
昨年12月に瀬戸図書館にて開催させていただいた個展が
しろとり図書館でも実現しました!!
昨年9月に行った実習で子供たちに披露し、好評を博した小出さん自作の絵本で、
瀬戸弁に焦点を当てたものや幼児向けの言葉遊び系、ナンセンス系の絵本たち。
読後、ほっとするような心温まる作品です。
ぜひ手に取ってご覧ください。
また、小出さんはこの活動をもっと広げようと、11月に教育文化サークル「ココダカラ」を
立ち上げました。絵本作りはもちろんのこと、後々、施設や幼稚園、小学校に出向いて、
絵本の読み聞かせや人形劇なども披露していきたいと計画中とのこと。
もしご賛同いただける学生さんがいましたら、展示のQRコードから
小出さんにコンタクトをとってみてください。
個展は5月末日までの開催です。
名古屋キャンパスに通う皆様、ぜひ見に来てください!
こんにちは! あかトマトです♪
皆さんは「ミステリーの女王」と言えば誰を思い浮かべるでしょうか?
私は断然アガサ・クリスティーです!
中学生の時にNHKの年始の特集番組でその作品に触れて以降、学生時代はかなりの数アガサ・クリスティーの作品を読んだものです。
アガサ・クリスティーの作品の魅力は、人物描写が細かく、静かなストーリー展開の中にも巧みなトリックが隠されていて、どこか先を追いたくなる不思議な感覚を味わえることではないでしょうか。
また、名探偵エルキュール・ポワロや、ミス・マープルの推理は、まさに「灰色の脳細胞」の名にふさわしい活躍ぶりで、最後には思わず声が出てしまうほどでした。
あれから⁇十年の時が経過し、全ての作品を覚えているわけではありませんが、海外では映画化もされている有名な作品が、本学4Fメディアコーナーに多数あります!(館内利用限定ですので、4Fでご視聴ください。)
図書としての所蔵があるものもございますので、一部ご紹介いたしますね♪
そしていきなり視聴しようにも、どれがいいかわからない!という方には、こちらの本がおススメです☆
この1冊の中にアガサ・クリスティー作品の魅力がぎっしり詰まっていますので、初めての方でもきっとお気に入りの1冊が見つかるはずです。
是非この中から気になる作品を手に取って読んでみてくださいネ♪
(なごやの図書館スタッフ:あかトマト)
自分がナニ人であるかを
意識したことってありますか
日本語で書かれたこのブログを読んでいる
アナタは日本人?それとも?
日常生活の中で、自分が〇〇人であること、を
強く意識したことがない、
あるいは何の疑いを持ったこともない
そんな人も中にはいるのではないでしょうか
生まれた国がアメリカだからアメリカ人?
両親が韓国人だから韓国人?
話している言葉や、住んでいる場所、顔つき、食べているものや文化、選挙権の有無...
自分のパスポートの国籍は〇〇だから、〇〇人じゃないの?
その国籍ってどうやって取得したのでしょう
実際、国籍だってそんなに簡単な話じゃないのです
今までそこまで意識したことがない人や
なかなか海外の情報に接する事のない人にも
視野を広げる機会になりそうなこの一冊を読んでほしいと思います
「国籍の?がわかる本─日本人ってだれのこと? 外国人ってだれのこと?」
(名古屋のスタッフ:るん)
ごきげんよう、スタッフのかえるまんじゅうです。
皆さんは、本や映画、ドラマなどで主題とは全然関係ないところが気になってしまったり、記憶に残っていたりすることはありませんか?
肝心のストーリーはさっぱり覚えていないのに、一つの台詞だけやけにはっきり覚えていたり、登場人物の些細な仕草が気になったり。
私にとっては、太宰治の『人間失格』の中のある言葉遊びがそうです。
こちらにそのルールを引用します。
「名詞には、すべて男性名詞、女性名詞、中性名詞などの別があるけれども、それと同時に、喜劇名詞、悲劇名詞の区別があって然るべきだ、たとえば、汽船と汽車はいずれも悲劇名詞で、市電とバスは、いずれも喜劇名詞、なぜそうなのか、それのわからぬ者は芸術を談ずるに足らん、喜劇に一個でも悲劇名詞をさしはさんでいる劇作家は、既にそれだけで落第、悲劇の場合もまた然り、といったようなわけなのでした。」(以上、作品本文より引用)
このあまりにも有名な作品を初めて読んで以来、主人公が友人と、この悲劇名詞・喜劇名詞のあてっこをする場面だけが妙に記憶に残っているのです。
あらすじさえもう一度読み返さないと紹介できないのに、この言葉遊びのルールだけは覚えています。
あらすじの紹介も無く、ごく一部分についての思い出語りだけで、作品の紹介としてはかなり邪道なものかもしれません。
もちろん学問や研究を目的とした時にはふさわしくない読み方ですが、
私自身は、これもひとつの読書体験として結構気に入っています。
読書とは、本と自分との一対一のやりとりを醍醐味とする行為です。
みなさんが、様々な作品との出会いを通じて自分だけの読書体験を得ることができますように。
※太宰治『人間失格』は青空文庫からすぐに読めます。タイトルをクリックしてください。
(なごやの図書館スタッフ かえるまんじゅう)
今頃ですが、
ベートーヴェンの作品に感動している小豆です。
古い映画『若草物語』の中に
ベア教授がピアノを弾きながら歌っているのを
ジョーが静かに聴いているシーンがあります。
その曲は、ゲーテの詩にベートーヴェンが曲をつけたのだと
ベア教授が説明します。
その詩は
ただ憧れを知るもののみが。。。
で始まる詩で他の作曲家も曲をつけているようです。
その映画から、ゲーテとベートーヴェンの繋がりについて知りたくなって
見つけたのが
『ゲーテとベートーヴェン』そのままのタイトルです。
それぞれのおいたちから、出会いのきっかけ、
互いにどのような感情を抱いていたのか
などなど興味深かったです。
ゲーテがベートーヴェンの
(今では有名な曲ですが)
『運命』を聴いた時の感動のことばがすごいです。
「感動なんてもんじゃない」
「これはすごい!」
「大変な大作だ」
「とてつもない!」
などなど。
私は、ここ数年、終活の一環としてどんどん物を処分していて
CDもたくさん処分しました。
そんな中、一枚だけベートーヴェンのCDを残していました。
それが、『運命』
久しぶりに聴きなおしてみて、
私もすごく感動しました。
力強い反面、なぜかとても切なさも感じます。
歳をとったせいでしょうか。
今はお気に入りのCDとなりました。
終活中なのに、ベートーヴェンの全曲集なるものを買ってしまうほど
ファンになりました。
ゲーテの詩集も読み返しています。
『ゲーテ詩集』もいかがでしょうか。
(図書館スタッフ:小豆)
こんにちは!あかトマトです。
今日は先日、第166回直木賞を受賞された米澤穂信さんの作品を紹介したいと思います。
米澤穂信さんは地元岐阜県のご出身で、金沢大学文学部卒なんだそうです。
なんだかそれだけでも、ちょっと身近な気がしてくるのは私だけでしょうか?
米澤穂信さんといえば、今回の直木賞受賞前にも日本推理作家協会賞や、山本周五郎賞を受賞しており、既に有名な作家ではありましたよね。
デビュー作は人気の古典部シリーズ『氷菓』です。
古典部シリーズは、日常に潜む謎と苦悩を描いた青春ミステリーで、刊行以来人気のシリーズとなっており、若い世代からも支持されています。
そして今回直木賞受賞作となったのは、『黒牢城』です☆
実は残念なことに私はまだこちらを読んではいないのですが、直木賞を受賞されるぐらいですから、きっと素晴らしい作品なのでしょう!
近々本屋に足を運んで、購入したいと思っています。楽しみです♪
でも今回私がおススメしたいのは、こちら!!『満願』です。
こちらは『満願』をはじめとする6作品の短編集で、短時間でも読みやすくなっています。
それでも1つ1つの作品には読みごたえがあり、読んだ後に思わず唸ってしまうような感覚に襲われる作品ばかりです。
本学の図書館には、米澤穂信作品が多数揃っていますので、是非お好みの1冊を見つけて読んでみてください。きっと後悔はしませんよ~(^o^;)/
(図書館スタッフ あかトマト)