全てのもてない男のために

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もてない男のための本なら、江戸川乱歩の短編集があります。

人間椅子』江戸川乱歩 角川書店 角川ホラー文庫

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くて、容姿に自身がなく、内省的で、自分を卑下しがちで、すぐ悪いことを思いつくというようなタイプの人がよく出てきます。女性にある種の恐怖感を抱いていたり、特殊な性癖の持ち主であったり、犯罪者的な思考をしていたり‥‥

読んでいると、ゾクゾクしてきて恐ろしくなってくるが、その中でも、その感覚わかるとか、その気分わかるというような共感を覚える人は多いと思います。江戸川乱歩というと探偵ものの印象がありますが、そのほかにも、ホラー、怪奇・幻想系や人間の異常な心理を扱ったものや、男女の偏執的な愛憎を書くものが多く、どれも後世まで伝わる魅力があります。その人間心理の複雑怪奇さを、端正な言葉で読みやすい文章で書いているところがすごい。書いてあることが異常なのに、文章がとても上品で、整っていて、読みやすいので、その対照が際立っていて、戸惑ってしまう。つい引き込まれてしまうのです。

椅子の中に潜むことで、皮一枚越しに女に触れられるということを考えた男について描いた『人間椅子』。狭いところ、暗いところを好み、人には見られたくないが、しかしそれでも快楽は味わいたいという男の胎内回帰願望(そんなものがあるのか?)と性的苦悩を解決せようとした行動というのをうまく書いていると思います。

人間は目の前のものを無意識のうちに真似をしてしまう、という習性を利用した完全犯罪を描いた『目羅博士』

他、妻とその不倫相手の共謀によって殺されてしまう哀れな男の話、妻の一瞬の悪知恵によって死ぬまで閉じ込められてしまうという夫を描いた『お勢登場』。鏡に囲まれた部屋で狂ってしまう男の話、絵の中の人と共に電車に乗って旅をしている不思議な男の話‥‥と異常な、病的な、偏執的な興味深い話が続きます。何かを告白するような書き方で語られるから、それが恐ろしさとを増し、好奇心を誘っているような気がします。

それから乱歩の特徴は、醜男の苦しみとそれをあざ笑うかのように翻弄する女の冷酷さ、冷ややかさ、というのがよく出ています。リアルだなあと思います。

しかしなぜ女というのはこう冷ややかなのでしょうか。それとも男が女に対してある種の冷ややかさを求めているのでしょうか。


図書館サポーター あっきー

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