漢和辞典

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 本を一度読みだすともっといろんな本を読みたくなります。興味にかられて沢山読んでいるうちに、自分の知的能力にあわせて書籍の難易度も少しづつ上がってきます。そうすると困ったことに出くわします。漢字がなかなか読めません。

 漢字が苦手だとそれだけで読むのに一苦労。次から次に出てくる漢字に手こずっていては内容についていけなくなりますね。そこで辞典が必要になってくる。しかしここでは国語辞典ではなく漢和辞典をすすめたいと思います。国語辞典で、ある程度の漢字はカバーできるわけですが、それでも数は限られているので漢字の多い文章には漢和辞典が必要になります。

 漢字を読むために重要なのは熟語を調べることではなく、親字(単字)を知ること。そして漢和辞典は五十音引きであるほうが使い勝手が良いんです。『知的トレーニングの技術』という本のなかで知ったことなのでちょっと引用してみましょう。これとても面白い本です。これほど知的好奇心を刺激してくれる実用本はなかなかありません。


  親字の配列が、部首別ではなく、字音による五〇音順配列である点で、これはたいへん便利だ。というのも、漢字の八〇%は「形声文字」で、音符を見つければ字音はほとんど予想がつくからだ。たとえば「」なんていう字にでくわしても、音符「比」から「ヒ」と読むんだなと見当がつくし、意符「」に注目すれば、猛獣の一種だろうという予測はつく。この漢和なら国語辞典と同様、ハ行の「ヒ」の項目をめくっていれば「比」の並びにでてくる。部首引きとくらべ音引きは、ワンタッチ分は確実に早い。(「知的トレーニングの技術」花村太郎)


 なるほど、漢和辞典をうまく使いこなす技法ですね、五十音引きのこのようなメリットがあるとは知りませんでした。ところで、形声文字というのは気になりますね。どういうことでしょうか。Wikipediaを見てみましょう。


  事物の類型を表す記号(意符)と発音を表す記号(音符)を組み合わせて新しい字を作る。形声によって作られた漢字を形声文字という。

例えば「江」(コウ)、「河」(カ)は、左側の「氵」(さんずい)が意符で、水を表し、右側の「工」や「可」が音符で、各字の音を表す。字典で部首とされているものが、意符となることが多い。

音符は音を表すものであり、例えば「銅」は「ドウ」という音の金属という意味であり、音符である「同」には意味は無い。

しかしながらまったくの表音文字とは異なり、ある程度は意味に関連がある場合もある。例えば「晴」は「青」を音符とし、「日」を意符とするが、「青」は晴れた空の青さを意味する。「清」は「氵」を意符とするが、「青」は清い海の青さを意味する。


 漢字の仕組みというのはとてもよく出来ているなと感心いたしますが、このような仕組みを知っているだけでも、厖大な数ある漢字に少しは対処しやすくなりますね。「漢字」のような表意文字をつかっている民族は世界の中でもたいへん少数派です。漢字というのは字それ自体に力を持っていて、呪術性があるんですよね。そこがアルファベットなどの表音文字と違うところで、欧米人と、日本人中国人では同じ文字を読む行為でも脳の処理の仕方なんかが違ってくる。しかも日本の場合、表意文字と表音文字のハイブリッド言語だから、非常に特殊な言語であるわけです。ですからわれわれ日本人はその特殊性を理解しつつ、漢字を深く学び、つかっていかなくてはなりません。漢字はおもしろいですね、そしてときに怖いものでもあるんです。

 三省堂から五十音引きのものが出ていますので、図書館で書物と格闘するときなどに便利です。それと辞典というのはただわからないときに引くのだけではなく、純粋な読み物でもあります。辞典を広げるたびに必ず発見がある。われわれがいかに無知であるかを最も知らしめてくれるのが辞典であります。

『三省堂五十音引き漢和辞典』


 

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図書館SA あっきー

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