資料としてのマイクロフィルム

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 図書館には、マイクロ資料と呼ばれる資料が保管されている。これは、雑誌などを写真撮影しフィルムなどに焼き付けたもので、元の紙の状態と比べると何十倍もスペースを圧縮することができる。本学では、このマイクロ資料を2000件以上所蔵している。

 マイクロ資料を閲覧するためには、マイクロフィルムリーダー(MR)という機器を使う。フィルムをMRに装填し、1コマずつ閲覧していく。図書なら目次を見て特定のページを開くことが可能だが、MRの場合はコマを進めたり、巻き戻したりして、ページを表示させる。画面上でページをめくるように本が読める電子書籍が普及しようとしている現在、このMRの使い勝手は、残念ながらお世辞にも良いとは言えない。

 従来、マイクロフィルムは、100年以上の耐久性があると言われてきた。しかし、近年、その劣化が懸念されるようになってきた。ビネガーシンドロームと呼ばれる現象で、フィルムの表面が酸化し、閲覧が不可能になるというものである。マイクロ資料は、一般に湿度管理した書庫で保管されている。それでも、いずれ媒体変換、つまりフィルムからデジタルデータに保存し直す必要があると考えられる。というのは、フィルムの劣化に加え、MRなどの機器が今後どこまで生産されつづけられるのか不確実だからである。マイクロ資料が保存されていても、MRが故障し部品が入手できなければ、結果的に資料が閲覧できなくなってしまう。

 マイクロ資料は、印刷物などを画像としてフィルムに焼き付けている。この画像をスキャナで読み取りデジタル化すれば、パソコンで処理が可能となる。しかし、事はそう簡単ではない。パソコンに接続できるMRでは、専用ソフトによりMRの画像をPCにデジタル保存できる。つまり、媒体変換が可能となる。しかし、そのためには、1コマずつ変換処理をくり返さなければならない。MRを発売している会社に問い合わせたところでは、自動処理は可能だが、フィルムのコマの中心がずれることがあり、目視での点検が必要とのことだった。最後までスキャンした後にコマのずれや抜けが発見されたら、その修正作業は実にやっかいなものになる。つまり、マイクロ資料の媒体変換は、膨大な時間が必要となることが判明した。

 このような悩みは、歴史資料をあつかう図書館や研究者共通のものであったようだ。最近になって、ようやく有用な方法が現れた。その方法は、マイクロフィルムを一定の間隔でスキャンしデジタル化するリボンスキャニングと呼ばれる技術である。この方法でスキャンすると、画像の途中に切れ目が生じるため、これをソフトウェアでつなげてパソコンに表示する。まさに逆転の発想でマイクロフィルムの自動媒体変換を可能にしたシステムと言える。

 リボンスキャニングはコマ落ちなくマイクロフィルムをスキャンするための技術で、媒体変換後にパソコンで閲覧するためには専用のソフトウェアが必要となる。国際マイクロ写真工業社エコデジ事業部が提供しているVFRというビューアソフト(無償版)では、パソコン上でフィルムを巻き取るようなイメージで画像データを閲覧できる。まだ有償版は公開されていないのでその機能は想像するしかないが、もし電子書籍のように画像を1ページずつめくって読めるようなユーザーインタフェースが実装されればマイクロ資料の利用者にとって大きな朗報となるだろう。エコデジ事業部さん、期待しています。

(瀬戸のスタッフ りんたろう)

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