言葉の海を渡る舟

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小学生のころ、初めて辞書で調べた単語はなんだったんだろう、忘れてしまったけれど、
確か宿題だったので次の日みんなで答えを出し合ったのですが、
その中で、私が調べていった意味を先生が気に入ってくれたことを今でも覚えています。
「お、それがいいね。」と言ってくれた。
たまたま私が持っていた辞書にだけ、載っていたフレーズだったのでしょうかね。
あたり前なんだけど、辞書によってそれぞれ書いてあることが違うんだなぁと
その時思ったのです。

辞書って、どうやって作ってるんだろう。どんな人が書いてるの?
考えたこともなかったんだけれど、そうですよね、誰かが書いてるんですよ。それは当然。

 

三浦しをん著 『舟を編む』

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出版社の辞書編集部を舞台に、国語辞典編纂に情熱を傾ける人々の、汗と涙の日々を描く
職業モノ小説です。
(日々、というより年月といった方がいいのかな、だって企画から完成までなんと15年程
かかってるんですよ!)

帯にはこうあります。
 【辞書】言葉という大海原を航海するための船。(素敵!)
 【辞書編集部】言葉の海を照らす灯台の明かり。(素敵!)
 【辞書編集者】普通の人間。食べて、泣いて、笑って、恋をして。
              ただ少し人より言葉の海で遊ぶのがすきなだけ。(絶対少しどころじゃないし)

とにかく熱い、半端じゃなく熱い人たちです→辞書編集者。
熱意をもって真剣に仕事に打ち込むことの素晴らしさを実感しました。
意外にも格好いいんじゃないの、などと思ったりもして。
(それに比べて自分、もっと本気だそうよと思わず反省...。)

そして、辞書完成までの気の遠くなるような作業量に、これは絶対好きな人じゃないと
やっていけないなと思いつつ、「仕事とはいえそこまでするか?」「無理。自分には
向いてない。」と最初は引いていたメンバーも、いつの間にかその熱の中に引きこまれて
いくところがまたいいんですよね。

 

堅苦しいイメージで、道具みたいに思っていた辞書が、こんな風に作られていると思うと、
見る目が変わってきます。なんだかいとおしい感じ。

最近はなんでもパソコンで検索してしまうので、滅多に辞書を引かなくなっていましたが、
(図書館にいるのに。そばにあるのに。)いろいろな辞書を引き比べてみたくなりました。
試しにどんな単語にしようかな。(やっぱりアレですか。アレですね。)

きっと誰もが紙の辞書を引いてみたくなるはずです。
もちろん、国語辞典を何種類も持っている人は少ないと思いますので、是非図書館で。
ウワサの「新解さん」こと『新明解国語辞典』の最新版も、もちろんありますよ。

紙の手触りまで、お確かめください。

 

(瀬戸のスタッフ くり)

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