大人でも子どもでもなかった、あのころ
地味で暗かった高校時代。
この本にでてくる加代子のように、「終わらなきゃいい」なんて思ったことはなかった。
「檸檬のころ」 豊島ミホ
登場するのは、地味に普通な毎日を送っている高校生(と元高校生)たち。
「大人」になっていく不安とありあまる自意識の間で右往左往しながら、
他愛ないことで笑ったり泣いたりしていた自分を思い出しながら読んだ。
閉ざされた小さな世界のなかで、
卒業すれば、うっとうしい校則も女子特有の微妙な人間関係もなくなって
自由になれると思っていたあのころ。
でも、今ならわかる。
閉ざされた小さな学校という世界が、実はどれだけ安全だったのか。
わかってくれないと思っていた大人に、実はどれだけ護られていたのか。
失ってからはじめてわかる「檸檬のころ」の特別な時間。
もどれるわけはないし、もどりたいと思ったこともないけれど、
高校時代をせつなく思い起こさせる力が、この本にはある。
(瀬戸のスタッフ うぱこ)
