オススメ本: 2023年4月アーカイブ
こんにちは豆太です。
『グルメぎらい』
昨今のグルメブームに苦言を呈した一冊、
「そうそう」とうなずく部分が多いけどそこまで言わなくてもと思う部分も。
著者の本業は歯科医師なのだと思って読んでみたら結構おもしろいかも知れません。
マスコミに対抗してできた口コミは大宅壮一氏の造語なんだと本筋とはあまり関係のない
ところに感心しつつ読了。
人の感想をうのみにせず、自分が実際に食べて美味しいと思ったお店に行けばいいんだな。
と思いつつも、つい情報をインプットしている自分がいることが滑稽で仕方がない。
私は高いお金をだせば美味しいのは当たり前、
リーズナブルな価格でうまい店が本物だと思っています。
しかし、高額料理でも美味しくないお店もたくさんあります。
それはSNS、ブロガー、メディアがいたずらに騒ぐからかもしれません。
例えば、節分の恵方巻が、さも昔からの伝統行事のような扱いで
メディアで全国各地に広められていますが、
もとは大阪商人の芸妓遊びから単を発しているそうです。
それがコンビニなどの商業ベースに乗り、現在に至っています。
要は儲かれば、売れればなんでもあり、の社会になり、
基本が忘れられているのが問題なわけです。
このような流れが料理界にも広まっているように感じます。
でも、地道に努力している料理人もたくさんいます。
美味しい高級料理店もたくさんあります。
私は家庭料理、田舎料理が好きです。ひとの気持ちがこもっている料理が好きです。
冒頭にも書きましたが、自分が食べて美味しいと思う料理がおいしいのです。
こんなことを思いながら読んで見てください。
(名古屋図書館スタッフ:豆太)
奴隷解放に命をかけたハリエット・タブマンの物語を読みました。
児童書ですが、ショッキングな内容でした。
南北戦争より少し前、まだ自由州と奴隷州と別れていたアメリカでの話です。
そんな時代に生まれたハリエットは、6歳で働きに出されます。
上手に働けなくて、ひどい扱いを受けて、戻されること数回、それでもなんとか仕事ができるようにはなりましたが、彼女の心には自由州へ行きたいという思いがどんどん大きくなっていきます。そんな中、奴隷制度に反対する人との出会いを通して、自由州、北への道が開けます。多くの人の助けを得ながら、ついに北にたどり着いた彼女ですが、残してきた家族のこと、同じ黒人たちのことが気になります。やがて、彼女は、奴隷たちを助ける秘密組織『地下鉄道』の方々と協力してたくさんの奴隷たちを北へ導くことになります。そのことから、彼女は黒人たちのモーセと呼ばれるようになりました。南北戦争の時には、北軍の助けもしました。
※モーセ:ユダヤ民族をエジプトの地から救い出した人物の名前 (参:『聖書』出エジプト記)
南北戦争が終わって奴隷開放宣言がなされても、それですべてが解決というわけではありません。現代にも続いている問題も山積みです。
彼女の物語を通して、今も残る問題についても知ることができると思います。
★『自由への道-奴隷解放に命をかけた黒人女性 ハリエット・タブマンの物語 』
の所蔵館(県内)は『愛知県図書館 横断検索 愛蔵くん』で調べることができます。
★しろとり図書館にもハリエットの関連図書あります。
以下2冊、探してみました。
最近読んでる、『海嶺』や『音吉伝』とほぼ同じ時代の実話です。それぞれの生涯を思うと胸が痛みます。
人はどこから来てどこに行くのか、今、そんなメッセージを発しているような物語ですね。
(図書館スタッフ:小豆)
皆様こんにちは、勝山道です。
この記事が更新されている今は「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます」の時期でしょうか?
実際、それより少し遅れているくらいの時期かなと思っています。
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。改めて。
そんな皆様も新入生でない皆様も、大学ってどうですか?
大学というものに対してだけでなく、物事の内側を外側から理解するのって難しいことです。
そのうえ、大学とはちゃんと難しい。
そう、大学には勉強と部活だけでは済まない、高校まででは今一つ培えない部分の難しさがあります。なにせ、いきなり知らないシステムに晒されるわけですから。
理解したころにはもう遅い、が頻発するワケです。
私なんぞは大学一年生前期の講義を適当に組んでしまい、そこそこ時間を持て余していました。なにがしかで時間をつぶせるならまだしも、友達もいなけりゃ家に帰るほどでもない。
1限と3限の講義を取ったら、2限も取ったほうがいいですよ......。
授業の形式も高校までと勝手が違ったりするかもしれませんね。そういうちょっとした難しさが結構出てきます、大学。
例えば、今のカリキュラムだと高校までの授業内で議論を交わすことは珍しくないかもしれませんが、私は大学で初めてちゃんとした議論じみたことをやったので、結構面喰いました。
複数人の中で意見するのは難しい。黙っていても議論が進行していれば尚更。そんな姿を含めて評価されたりされなかったりするワケです。難しい!
そんなこんなで「理解」と「議論」、大学で急に出てくる難しさって色々ありますけどこの辺りがベターかなと。
......というところで、「理解」と「議論」について成程!となった小説を最近読みましたのでご紹介させていただきましょう。
著者は品田遊。別名義にダ・ヴィンチ・恐山などがあり、主にライターとして多方面に活躍されている方です。
作品の概要ですが、題にある通り「反出生主義」という考え方についての議論が主です。
そもそも、皆様は反出生主義をご存じでしょうか。私は本著を読んで初めて知りました。
説明すると長くなるのですが、「生まれてこなけりゃ苦しむこともなかろうに、生まれてきちゃったのがいけないんだよな!じゃあもう産むなよな!最終的には人類滅びてよし!」という感じ。めちゃくちゃ乱暴な言い方ですが。
へ~こういう考え方もあるんですねえ知らなかったです、という調子で読み進めていたのですが、そんな適当でも読み進められるくらい難しくないところが、本著の良いところ。
考え方自体はかなり難しいんです。なのに、読むのは難しくないんです。すごいです。
本著はひたすら議論、つまり会話の形式で進んでいくため、まず地の文というものがほとんどありません。
その会話も専門用語はほとんど用いられず、反出生主義を主張する一人に対して複数人が持論を述べていく形で掘り下げられていくため、自然と段階を踏んで議論が展開されていきます。
反出生主義に属さない各々の持論はそれぞれ異なりますがそれぞれ普遍的なものであり、読者としては共感しやすいのはこちら側でしょう。
ただ、反出生主義を否定する話づくりでもないのが本著の面白いところ。
これ以上は、実際にお読みになっていただければと思います。
あえて付け加えるなら、面白いので非常におススメです。
そんな『ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語』はしろとり図書館3階に所蔵されています。ご興味あります方は是非お立ち寄りください。
それでは失礼いたします。
(しろとり図書館スタッフ:勝山道)
新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます!
とりあえずいっぱい遊んで勉強して、悔いのないキャンパスライフを送ってくださいネ♪
そして在校生の皆さんは、それぞれのキャンパスライフを楽しんでいらっしゃるでしょうか?
1年生でも2年生でも、それ以上であっても、皆さん数年後には社会人になりますよね。
小学校~大学まではその難易度は違っても「学びの場」だったのが、社会に出ると働かなくてはなりません★
どんな仕事に就いたらいいのか、不安で悩んでしまう人もいるでしょう...
そんな時に是非読んでほしいのが、こちらの図書!
『なぜ僕らは働くのか:君が幸せになるために考えてほしい大切なこと』
こちらは中高生用向けに書かれていますが、大学生でも、また社会に出てから働き方について考えている方なら年齢関係なく「なるほど」と思える本なのではないかと思います。
冒頭、「世界は仕事でつながっている」として、1杯のラーメンが出てくるのに、麺やスープ、具材それぞれの生産者や運送業の人全てに支えられていることが例に挙げられています。
このようにわかりやすく説明されていますが、既に社会に出て30年近く経つ私でも、読み終えた後には何か始めてみたくなってしまう不思議な感覚になりました。
また、仕事がうまくいく人の特徴として、「好奇心がある」「持続性がある」「柔軟性がある」「楽観性がある」「冒険心がある」のだそうです。
自分に足りないものがあれば、それは今のうちに意識して身に着けておくのもいいかもしれません。
これから就職活動をして社会に出る皆さんに、少しでも参考にしていただけたら嬉しいです。
(名古屋の図書館スタッフ あかトマト)
こんにちは、スタッフゆまたろうです。
今回は、読むと心がモヤモヤする物語を紹介します。
第167回芥川賞受賞作
『おいしいごはんが食べられますように』
職場でよく体調不良で早退や欠勤をしては、
翌日手の込んだ手作りのお菓子やケーキを持参する女子社員。
その女性の仕事を肩代わりすることになる2名の社員が
結託して「いじわる」を企てる物語。
怖いもの見たさでついついページをめくってしまうお話です。
たまには不穏な物語を読んでみませんか?
(なごやの図書館スタッフ ゆまたろう)
コロナ感染症の流行から3年。今年はそろそろ旅に出たいものと考えていました。そん
な折、バックパッカー (低予算・自由旅行者) のバイブルの書ともいわれる「深夜特急便」
シリーズの作者、沢木耕太郎 氏の新作へのインタビューTV番組を1月初旬に見ました。
新作のタイトルは「天路の旅人」。第二次世界大戦の末期、敵国中国の奥深く、日本軍の
密偵(スパイ)として諜報活動のため潜入し、終戦後は、僧として中央アジアの各地を旅し、
5年後、インドで捕えられ帰国するまでを描いています。
この日本人の名前は西川一三。1918年生まれ。日本帰国後、自らの記録を「秘境
西域8年の潜行」として著わしたことにより、沢木氏はこの人物に興味を持ち、直接本人
に面会。途中西川氏が亡くなるも25年の間、今回の著作に至る構想を温め続けました。
何ゆえにそれ程、興味をもったのだろうか。秘境と呼ばれる山岳、砂漠地帯を、身一つ命
懸けの旅。この苛烈なる非日常に対し、帰国後の西川氏は、東北の小さな商店の主として
正月以外の364日働く淡々とした日常を送ります。この大きなギャップのある人生その
もの、特に達観した後半生の境地への共感が本編には込められたものと考えます。
(図書館スタッフ 東空)