シリーズ17年ぶりの新作長編
「圧がすごい・・・」
それぞれ工夫を凝らされた装丁の新刊本が居並ぶ中、この本は抜群に目をひいた。
分厚い。6.6cmもある。うたたねの枕にちょうど良い高さだ。
「おっも⁉」
しかも重さは1.2kgあった。ダンベルかな。
発刊当時、出版社公式Xに「書店員のみなさま、読者のみなさま、腕に大きなご負担をおかけし恐れ入ります」と投稿されたとか。図書館員も仲間に入れてほしかった。
どんな本かと調べてみたら、著者1994年のデビュー作から始まる「百鬼夜行シリーズ」最新刊ということだった。シリーズ開始30年目、そして前作から17年ぶり。ファンはさぞかし待ち望んでいたに違いない。
「面白いんだろうな。デビュー作から続いているなんて著者のライフワークみたいな大事な作品なんだろうな。」
池袋ウェストゲートパークシリーズを愛読している身としてはがぜん興味を覚えた。
よし、前作を全部読んでからこれを読もう。私は決意した。
本学図書館が所蔵している同シリーズは
『姑獲鳥の夏』
『魍魎の匣』
『狂骨の夢』
『鉄鼠の檻』
『絡新婦の理』
『塗仏の宴:宴の支度』
『塗仏の宴:宴の始末』
以上7冊。積み上げてみると高さは驚愕の30cm。新書版だよ?
なるほど、"鈍器"。
しかし読み始めてみると重さなんて気にならない。
個性的な登場人物たちと散りばめられた謎・事件。
古書誌京極堂が語る蘊蓄は味わい深く、伏線となり、ミステリに厚みを加えていく。
あまりに錯綜する状況は「潜水艦の窓からクジラを見ているよう」だ。
事態が大きすぎて読者にも全容は掴みようがない。
しかし物語終盤、それらが一気に収束していくのだ。
見事というほかない。
シリーズ7冊と本書を読み終えた私にも、きっと大量の蘊蓄と確かな筋力が備わったに違いない。
京極夏彦著、百鬼夜行シリーズ最新刊『鵺の礎』はしろとり図書館、そのほかは瀬戸図書館にあります。
どうぞお試しあれ。
※上記以外に未所蔵のシリーズが2冊あります。
瀬戸の図書館スタッフ とらねこ探偵ミロ
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