本にまつわる話: 2011年6月アーカイブ
岩波書店は言わずと知れた老舗出版社、学術書から一般書まで幅広く出版している。新潮社、講談社も、日本の大手出版社である。しかし、『図書』『波』『本』と聞いて、これが何のことだかすぐにわかる人は少ないかもしれない。もしすべて知っていたら、もう出版や図書館の世界の住人だ。
これらは、出版社が発行するPR誌とよばれる月刊誌である。PR誌とは、自社の商品を宣伝するために発行される雑誌を意味する。それゆえに、1冊80円から100円で販売されている。年間定期購読しても、送料を含んで900円から1000円と格安だ。
世の中にはフリーペーパーと呼ばれる無料の雑誌が多く出回っている。もちろん、上に挙げたPR誌はタダではない。いや実際のところ、1冊100頁前後の小さな雑誌なのに、一読しただけで相当な時間とコストが投入されていることがわかる。 毎号、質の高いエッセイや書評を連載していて、思わず唸らされるほど。著者へのインタビュー記事を掲載することもあるし、出版の裏話が登場することもある。新聞広告よりも早く、その出版社の新刊を知ることもできる。つまり、これらPR誌は、きわめて安価だが、タダモノではない雑誌と言えようか。
『図書』2011年6月号では、ハーバード大イェンチン図書館のマクヴェイ山田久仁子が、同図書館で鶴見俊輔の書き込みがある個人蔵書を見つけた話(「一冊の書きこみ本から」)を掲載している。本好きなら、いわゆる痕跡本の話としてミステリーのように読めるに違いない。
スポーツライターの二宮清純は、『本』6月号で、「最高のスライダーを投げた投手」を掲載し、ロッテオリオンズの成田文男について書いている。成田のスライダーはどんな"魔球"だったのだろう。
『天と地の守り人』の作者・上橋菜穂子のファンは、『波』6月号の、上橋と荻原規子・佐藤多佳子との鼎談が見逃せない。3.11震災の直後、3人はリアルとファンタジーについて語っている。上橋は、茨城の利根町図書館でカウンタに本を返却した瞬間に地震がきたそうだ。「今、見えているもの以外の『世界』があることをリアルに感じるのを『ファンタジー』だというのかもしれない」と上橋は言う。かつては見えなかった震災というリアルが見えてしまった今、ファンタジーはこの先何を見せてくれるのだろう。
これら出版社のPR誌は、瀬戸キャンパス図書館のブラウジングルームにあります。ぜひ手に取ってみてください。
(瀬戸のスタッフ りんたろう)
1964年、約2万4千冊の蔵書冊数で図書館は開館しました。
先人たちは限られた予算の中で少しでも多くの資料を集めようと、様々な努力をして
きました。
各大学などが発行している「紀要・論集」といった所謂「学術雑誌」は市販されているものが少なく「寄贈・交換」で入手する必要がありました。
そこで、他にも無料で手に入る資料は無いかと・・・・???
・官公庁・企業などの発行する調査報告書、統計類
・地方市史(誌)
・労働組合(運動)史
・会社史・経済団体史 などなど
色々なところに依頼状(資料寄贈のお願い)を出していました。
その後、大学の発展と共に蔵書数も増し、収納スペースも少なくなってきました。
また、インターネットや電子ジャーナルの発達によりオンラインで入手できる資料も多くなり、依頼状を出すことも減ってきましたが、・・・・・
現在も積極的に集めているものの一つが「会社史・経済団体史」で、現在6,300冊ほどが白鳥図書館にあります。
学生の皆さんには会社史なんて興味もないし、必要も無いですよネ!!
図書館の仕事の一部を紹介しました。
(瀬戸のスタッフ:スージー)
5月28・29日に開催された「クラフトフェア まつもと」に行ってきました。
「クラフトフェア まつもと」は、毎年5月に長野県の松本市あがたの森公園に
280名を超えるクラフトマンが集まり、作品が売られる野外イベントです。
一流の作家さんたちが作る器や、ガラス、工芸品などを
芝生の上や緑の木々の中で見ることは、なんとも贅沢な時間でした。
さて、会場のあがたの森公園の入口には、公共図書館がありました。
「あがたの森図書館」です。
重要文化財である旧松本高等学校校舎を利用し、1Fが図書館となっているのですが、
建物があまりにも素敵だったので、思わずテンションがあがって写真をパチリ。
こんな図書館で働いてみたい、利用したいなあ、なんて思わせる図書館でした。
(名古屋のスタッフ 春)