<06>図書館スタッフ: 2022年4月アーカイブ
皆様こんにちは、図書館スタッフの勝山道です。
ここ最近、バラエティ番組などで声優が取り上げられることが増えているような気がします。
きっかけは某アニメ映画の超特大ヒットのようですが、詳しくない時分、気になって少し調べてみました。
すると声優として活動しながらアーティストとしても活動していたり、テレビドラマや大河にも出演されている方がいたり、一口に声優と言っても様々な形で活動されているようでした。
なんだか急に担ぎ上げられだしたな、くらいに思っていたのですが、昨今は動画配信など露出の幅も広がっていることもあり、マルチに活躍できる方がどの業界でも強いのだろうなと思い知る限りでした。
と、いう話に覚えがありましたので今回ご紹介させていただく図書はこちら。
著者は大槻ケンヂ。主に音楽にて活動するバンドマンですが、本著のようなエッセイ本や長編の小説を執筆されていたりもします。バンドは形を変えつつ現在も鋭意活動中、小説は賞を取るなど、まさにマルチに活躍している方ですね。
さて本著についてですが、著者の発表している数あるエッセイのうちの一つ。内容にはバンド「筋肉少女帯」の再結成に至る逸話もあり、ファンの方なら既に読んだこともあるかもしれません。
ではファン以外には読む手の進まない本なのかと言われればそんなこともありません。事実、私はこの本を読むまで「大槻ケンヂは顔にペイントが入ってる人、筋肉少女帯は名前だけ知っている」という認識。それでも本著はまことに楽しく読むことができるのです。
内容に関してですが、やはり音楽活動をしているだけにそういった関連の話題も多く、普段は見られない現場の裏側的な要素も含むところが興味深くあります。しかしやはり、本命は著者の趣味を思い切り出している部分でしょう。主にUFOやUMAなどの超常現象、ほかにもプロレスや武術の真贋疑わしき部分など「読んだり聞いたりするぶんには面白いけど体感するには骨が折れそう、と言うよりめんどくさそう」なものが盛りだくさん。
読みやすく整った文章から繰り出されるアングラ的マニアックな話題は必見。「宇宙人グレイに忍術を教へたやつは誰だ?」なんてステキな小題を一目にするだけで惹かれてしまいます。その内容はさらに深く、こういった分野にもアンテナを張っている人はすごいな......という感嘆もあり。
手ごろな薄さの文庫本サイズに読み応えの詰まった一冊、『暴いておやりよドルバッキー』はしろとり3階図書館に所蔵されております。興味のある方は是非ご利用ください。
ちなみに瀬戸図書館に所蔵されている『オーケンの、このエッセイは手書きです』も同作者のエッセイとなります。一部重複する内容はありますが、よろしければそちらも併せてお楽しみください。
それでは失礼いたします。
(しろとり図書館スタッフ:勝山道)
江戸時代、この白鳥キャンパスの地には大きな貯木場がありました。飛
騨の山々から切り出されたヒノキが約300日をかけて木曽川を下り運ば
れて来たといいます。貯木場を下り、熱田湊から伊勢湾を抜け、木曽川の
河口を遡ると、長良川、揖斐川と併せ三つの大河川が合流する辺り、輪中
として知られる地帯に出ます。この流域は、合流と分流を繰り返し、度々
氾濫、洪水を引き起こしておりました。
宝暦4年-5年(1754年-55年)、徳川幕府は薩摩藩に命じてこの地の治水
にあたらせました。このことは、遠方にある外様薩摩藩の勢力を削ぐ意図
もあり、藩内には大きな反発がありましたが、当時の家老平田は、藩内を
藩士を率い、治水事業に取り組みました。
しかしながら、治水事業は難渋を極め、幕
府との軋轢も激しく、疫病も流行、多くの
自害者、病死者を出すこととなりました。
工事は完成するも、家老の平田は大きな犠
牲と多額の出費の責任を取って自害します。
これを宝暦の治水事件といいます。
この歴史的事件を取り上げた小説が、杉本苑子著 『孤愁の岸』です。
現在、この地は木曽三川公園(岐阜県海津市)が築かれ、近隣の方々の
憩の場所となっております。公園の周辺には、薩摩藩士の石碑、平田を
祀る治水神社、堤の上には千本松原などがあり、命を懸けた偉業を偲ぶ
史跡が点在しています。当時の堤が、現在の気候変動にもかかわらず
泰然と地域を水害から守ってくれておりますことに深い感謝と、事の成
り行きに歴史の重みを感じます。
(しろとり図書館スタッフ 東空)
皆様こんにちは、図書館スタッフの勝山道です。
早速ですが本日は青空文庫からとある有名なキャラクターの原典となる作品を紹介させていただきます。
『緋のエチュード』
著者はアーサー・コナン・ドイル。1800年代後半から1900年代前半にかけて活躍したイギリスの作家になります。シャーロック・ホームズが抜けて有名ですが、ほかにも本格的な歴史小説を多数執筆していたそうです。
本作は、いわゆる「シャーロック・ホームズシリーズ」の第一作となります。言語題は『A Study in Scarlet』という表記なのですが、訳題では『緋色の研究』や『緋色の習作』が一般的でしょうか。
当初はシリーズ化して長期的に執筆される予定になかったシャーロック・ホームズだそうですが、予想をはるかに超えた人気によりシリーズ化。今現在でも探偵といえばシャーロック・ホームズという印象が根強く残っているのではないでしょうか。
それだけホームズというキャラクターは印象深く人々の心に残り、優れた物語と併せて後世へと受け継がれていったわけです。
さて『緋のエチュード』に関してですが、海外で書かれた古い作品であることを踏まえても、十分に楽しむことのできる作品です。
主人公に探偵を擁してはいますし、読み手側による推理もできなくはないのですが、やはりこの作品はシャーロック・ホームズの活躍を中心とした娯楽作品である、というところに落ち着くのではないでしょうか。
短い作品ではありませんが長すぎるほどでもなく、総じて気軽に手に取れる作品となっております。
また個人的な観点ではありますが、なにより長く続くシリーズ作品の1作目というものには独特の雰囲気があるような気がしてなりません。そういった感覚と併せて楽しむことも一興ではないでしょうか。
そんな『緋のエチュード』は青空文庫にて無料で読むことができますので、ぜひご利用してみてください。
それでは失礼いたします。
(しろとり図書館スタッフ:勝山道)