本にまつわる話: 2011年11月アーカイブ

 

CiNii.JPG CINii

 11月を半ばを過ぎ、卒論や修論に取りかかっている学部のみなさんは、追い込みに入っていることと思います。この季節、全国の大学図書館では、文献複写の受付が殺到する時期です。複写の問い合わせが多くなると年の瀬を感じるのは、大学図書館特有の現象かもしれません。

 論文をあと少しというところまで書き上げたところで、足りない文献に気がつくことはよくあることです。そんなときにかぎって学内で見つからず、他の図書館に複写を依頼しないといけなかったり。12月に入ると、どこの大学も忙しくなって文献の到着が遅れがちです。文献が届いたら卒論提出締切日を過ぎていたなんてことがないよう、複写の申込みは早めに済ませましょう。

 さて、卒論と言えば、忘れてならないのがCiNii。2011年11月9日にリニュアルされ、いくつか機能が追加されました。"新"CiNiiは、CiNii ArticlesとCiNii Booksというふたつのサービスを統合したものとなりました(以下、BooksとArticlesと記します)。言い換えると、従来のCiNiiに大学図書館の図書所蔵情報を加えて、論文と図書の両方が検索できるようになったのです。さらに、Articlesに全文検索機能が加わり、より便利になりました。

 

CiNii_B_J.JPG 

Books 詳細検索画面

 

 "新"CiNiiでは、画面左上から、
Articles [日本の論文をさがす]
Books [大学図書館の本をさがす]
という選択ができるようになっています。大学図書館の資料所蔵情報は1997年からWebcatで提供されていますが、これをCiNiiに統合したものです(Webcatは2013年度末に終了が予定されています)。

 Booksについて詳しくみてみましょう。Booksの詳細検索画面には、「著者名典拠ID」や「NCID」など、Webcatにはなかった図書館用の項目も並んでいます。つまり、特定の機関や書誌を指定して、検索が行えるようになっています。また、検索結果から、地域(たとえば愛知県)や、ILL参加機関の種別(国内・日米・日韓など)から絞り込むこともできます。くわしくはCiNii Booksヘルプをご覧ください。

 Books検索画面のむずかしい用語は飛ばして、最後まで見ていくと、[ローマ字→カタカナ]機能が加えられていることがわかります。この変換機能は、Webcatでは提供されていないものです。さっそく、[ローマ字→カタカナ]機能を有効にして、ローマ字でフリーワードを入力してみましょう。"NAGOYAGAKUIN"と入力すると、自動的に"ナゴヤガクイン"と変換されます(上の図を参照)。"TOUKYOU"は"トウキョウ"に変換されますが、残念ながら"TOKYO"は変換されませんでした。ちょうど、パソコンの日本語入力機能がCiNii上で動いている感じです。

 日本語でキーワード検索をする場合、通常パソコン側でローマ字を入力すると、カナそして漢字に変換されます。私たちが行っている一般的な使用では、CiNiiの[ローマ字→カタカナ]機能は使わないと考えてよいでしょう。では、なぜBooksに一見不要と思われるような機能が盛りこまれたのでしょう。ヒントは、英語版の検索画面にあります。漢字は読めないけれどもカタカナは読める外国の利用者がBooksを使う場合、この[ローマ字→カタカナ]機能は有効に働きます。あるいは日本人(あるいは漢字の読み書きができる外国人)が、外国で、日本語入力機能を持たないパソコンからCiNiiを使う場合も同様です。

 CiNiiは、国際化対応のひとつのとして[ローマ字→カタカナ]機能を加えたと考えられます。日本語の論文が日本人だけのものではないこと、そして国立情報学研究所が国外も視野に入れてCiNiiを運営しようとしていることを、"新"CiNiiは教えてくれます。

 

CiNii_B_E.JPG

 

Books英語詳細検索画面

 

 さて、もうひとつの大きな機能追加は、Articlesで全文検索機能ができるようになったこと。今のところbeta版として試行段階ですが、これでArticlesに収録されている全文情報(pdfファイル)から、タイトルだけでなく本文も検索できるようになったるわけですから、大きな進歩と言えます。これについては、次回、取り上げます。

(瀬戸のスタッフ りんたろう)


 

 堀孝彦名誉教授から、1冊の著書が送られてきた。『開国と英和辞書―評伝・堀達之助』(2011年9月、港の人発行)がそれである。

 

 

 開国と英和辞書.jpg

 

 堀達之助(1823~1894)は、幕末明治の通詞として歴史に名を残している。1853年、ペリー来航時に、達之助は"I can speak Dutch!(私はオランダ語が話せる)"と公式の場で初めて英語を発した。この時が、日本における外国語がオランダ語から英語に転換した瞬間だったと言える。達之助は、1859年蕃書調所の翻訳方に就任すると、本邦初の本格的な英和辞書『英和対訳袖珍辞書』を編纂し、1862年に刊行した。

 『開国と英和辞書』の巻頭は、あるエピソードから始まっている。2007年3月12日、高崎市の古書店主・名雲純一氏から堀氏へ電話があった。その時の様子を、名雲氏は、次のように書いている。
           * * *
 なるべくゆっくり静かな口調で『英和対訳袖珍辞書』の原稿を発見したことを告げると、堀氏は電話の向こうで相当に驚いた様子で動悸が治まらないからちょっと待ってくれとのことだった。さっそく翌日現物を見に来てくれた。やはり本物に間違いないことを確認した上で一言、「あぁ! 生きてて良かった」とおっしゃった。実に古本屋冥利につきる言葉である。 
           * * *

 この原稿の発見には、前段がある。1994年4月、本学図書館に届けられた名雲書店の古書目録に『英和対訳袖珍辞書』(文久2年版)が掲載されていたのだ。このことを知らせると、堀氏はすぐに高崎の同書店に向かった。古書価が700万円ということもあって、入手はかなわなかったが、その時以来、同書店とのつきあいがつづいていたものと想像される。

 また、古書目録で『辞書』を見つけたのと同じ頃、大英図書館にも『辞書』が保存されていることが判明した。『大英博物館所蔵和書目録』の記載を元に同館に手紙を出したことで、同館の館員によって現物が確認された。大英図書館蔵本は、のちに文部大臣となった外山正一(1848~1900)が幕府派遣留学生として英国に留学するときに持参したものと推察された。幕府からイギリスに派遣された外山正一は、留学中に幕府の瓦解を知り、日本からの送金を絶たれることとなった。その時の外山の心境は、どのようなものだったのだろう。大英図書館蔵の『辞書』には、筆で書いたと思われる"Japan where I can not"いう書き込みがあった。彼は「日本よ何処へ」と日本とその未来を案じていたに違いない(注1)。

 『辞書』が海外で見つかったことは、堀氏の英学史研究にある変化をもたらした。『辞書』は、明治維新直前に誕生し、その後の日本の変革期を見つづけてきた。その編者である堀達之助もまた歴史に翻弄されたひとりであった。『辞書』は、英単語の意味を調べるという辞書としての役割を超えて、所有者とともに数奇な運命をたどることになった。『辞書』を探すことが、日本の開国という経験を照らすことにもつながっていった。

 海外嫌い(?)の堀氏だったが、ついに2004年、オランダ、イギリスへと、堀達之助ゆかりの地を訪ねる旅にでた。『辞書』は、その所有者とともに波乱の時代を生きた。そして、その『辞書』を研究する側の人生にも、また少なからぬ影響を与えたに違いない。

(瀬戸のスタッフ りんたろう)

注1 堀孝彦、遠藤智夫 『英和対訳袖珍辞書』の遍歴―目で見る現存初版15本.
辞游社, 1999.6

最後となりました!

| | トラックバック(0)

学生サポーターのだいちです。・・・・・・

今日10月26日、ブログを書くのが最後となりました。

 

瀬戸キャンパスの図書館では、リハビリテーション学部の学生の利用者がほとんどでして、

仕事させてもらっている間も先輩後輩が勉強について話しているところや、おそらくレポートを書いているんだろうなとみられることがほとんどです。

個人的にも図書館での勉強はとても充実したものとなっていて、普段も毎日通っています。

ブログを書くのことは最後となりますが...これからも毎日お世話になります(^^)/♪

 

もちろん勉強できる環境だけでなく、職員の方々もとても良い人ばかりで、体調のことや勉強のこと、恋愛関係のことまで何から何まで心配してくださってとっても嬉しかったです。ありがとうございます(*^_^*)

 

10月は、誕生日・学校祭・運動会・図書館と飲食店のバイトが最後となりました。。。

なんかとても、とってもとっても忙しい10月、もう過ぎていっちゃいますねぇー寂しいですねぇー時間経つの早すぎますよねぇー

運動会も僕が運営で10月29日に行うので最後まで忙しく過ごしそうです。・・・

しかぁし!10月29日の運動会が終われば、ついに実習まで3か月となります。

 

さぁ、日曜日から切り替えますよ!ブログ的にはすでに切り替える気持ちまんまんですよ!

勉強すっごい追い込んで、中間テストも、大きなテストも課題も実習のための自主勉も、精一杯やるつもり・・・いや、やります!

図書館の仕事をやらせていただいて、僕個人としても本のありがたみは知識をくれるとても勉強にはかかせないアイテムですのでこれからも本を大切にして勉強乗り切ろうと思います。

 

学生の間しかアルバイトはできませんが、そんな中でも図書館の仕事を手伝わせていただいてとっても良い機会となりました。ただただ学生生活をおくるだけでなく、

先輩とも図書館のアルバイトしてるのをみられて声をかけてもらえるようになったり、話せる先輩が増えたのも図書館バイトのおかげです。

ほんと感謝ばっかりですよぉー もっとずっと続けたかったけど、、最後です。

時間がたっくさんある大学生活中に良い経験できました!(^^)!

そしてそしてブログを読んでいただいてる方もありがとうございます!

学生だいちは臨床実習へ向けて・・・さらに勉強に励みます(^O^)♪

 

(瀬戸の学生サポーター だいち)

栞輪漫画へ
  • YouTube折り方動画へ

  • ※画像をクリックすると漫画の原稿が表示されます。

    蔵書検索

    アーカイブ