<04>先生: 2016年6月アーカイブ

第3回 絵本の棚

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今回は2冊の作品を紹介します。

 

スイミー  ちいさなかしこいさかなのはなし

(レオ=レオニ 谷川俊太郎訳 好学社)

  

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一匹だけ黒いスイミーが、仲間と大きな魚を追い出す話です。

少年の成長物語といってもいいかもしれません。

読み方によっては強いリーダー、ヒーローの話でもあります。

子どもたちも大好きなお話だと思います。

 

現在、2つの会社から出されている小学校2年の教科書に掲載されています。

ある学校でこの授業を見たのですが、

2年生が、実に元気よく声に出して読んでいるのです。

特に「ぼくはスイミー」というフレーズがひと際大きく聞こえました。

授業後に担当の先生に聞くと、

子どもたちが最も好きな言葉なんですとおっしゃって納得。

 

私もかつてはスイミーで授業しましたが、私の思い出は水泳の時間に、

ある子が「先生、クラスみんなで大きな魚のふりをしようと」と言い出して、

みんなでプールを泳いだり歩いたりしたことでした。

私の水泳帽が黒だったので、私が目になるつもりだったのですが、

やんちゃな○○くんに「おれが目になる」と、さっと帽子を取られてしまいました。(笑)

この季節にぴったりの海の魚の話です。

 

 

どろんこハリー

(ジーン・ジオン作 マーガレット・ブロイ・グレアム絵 わたなべしげお訳)

 

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お風呂が嫌いな犬のハリーは、家から逃げ出して遊び回ってどろんこになり、最後は洗われるというお話。

子どもの中には、そんなハリーの行動に共感を覚える子もいるはず。

 

どろんこになっても、思いっきり遊べるという気持ちをいつもまでも持ちたいものです。

まさにこの姿は自分自身を開放?解放?することであり、

子どもの頃にはできていたのに、

いつしか大人になるにつれて重たい鎧を着けてしまった気がしませんか。

この作品が今でも読まれていて、

選んだ学生もこの話が好きだからと言っていたのも、わかります。

 

 

【スポーツ健康学部 滝浪常雄】

絵本の棚 第2回

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『きょだいな きょだいな』 『三びきのこぶた』 『したきりすずめ』
今回は3作品を紹介します。 

 

まず、『きょだいな きょだいな』(長谷川摂子作 降矢なな絵 福音館書店)


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子どもは大きな物が出てくれば喜びます。

普段の生活で使われている物が、それこそ「きょだい(巨大)」化して登場するのが、この絵本です。

「あったとさ、あったとさ」で始まるリズミカルなフレーズは、読んでいても心地よい響きを感じます。

最初に登場するのはピアノ。

「あったとさ あったとさ ひろい のっぱら どまんなか きょだいな ピアノが あったとさ」と、

広い野原に巨大なピアノが登場し、そこへ「こどもが100にん やってきて ピアノの うえで おにごっこ...」

たくさんの子どもたちがピアノで鬼ごっこしているのです。

このように「きょだいな」物が出てきて、奇想天外な展開になるところがおもしろいですね。

個人的には、「きょだいな桃」が登場してくるページがおもしろいですね。

巨大な桃をパカーンとわると、たくさんの桃太郎がぴょんぴょん飛び出すのです。その絵の圧巻なこと。

読み進めば進むほど、きっと子どもたちは、この世界に吸い込まれていくことでしょう。

そして、最後に巨大な扇風機が登場して、子どもたちは飛ばされてしまいますが...。

心温まる場面に、ほっとします。

 

次に授業で学生が読み聞かせをした作品を2つ紹介します。
三びきの こぶた:イギリスの昔話』(瀬田貞二やく ; 山田三郎え 福音館書店)

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おそらく題名を聞いて知らない人はいないのでは。しかし、知っていた話と少し違っているかもしれません。

それとも忘れてしまっているのかもしれません。
学生が絵本を選んだ理由として挙げたのは、三匹目の子ぶたを誘い出すために、

オオカミが誘惑する場面でした。オオカミの誘いに乗るまいと、機転を利かせるところ、

そのやりとりがおもしろかったとのことでした。確かにこの場面は忘れていたところかもしれないし、

リライトされた子ども向けの絵本では割愛されているかもしれませんね。

改めて読んでみてはいかがでしょうか。

 

したきりすずめ』(広松由希子文 ; ささめやゆき絵 岩崎書店)

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昔から語り継がれた昔話の定番のひとつですね。
それにしても、「舌を切る」から始まって、おじいさんが雀の宿に行き着くまでに、

さまざまな試練が与えられるのですが、おもしろおかしい反面、考えてみるとなんとも残酷な展開です。

そもそも昔話は基本的に残酷な話の展開が多いものです。

最後に教訓を与えるという説話の要素を考えると、しかも語りとなると、昔の人たちにとっては、

このくらいの表現になってしまうのかなと思います。

さて、『したきりすずめ』の教訓はと言えば、「欲張ることはいけないこと」。

今の人たちには耳の痛い話かもしれません。

さて、どちらも有名な昔話です。昔話は様々にリライトされているので、

これぞ正統派はなかなかありません。

「時代の要請」「社会情勢」「価値観」等によって昔話は変容していきます。

同じ昔話をいくつか並べて読んでみるのもいいでしょう。

「その昔話は、知っているからいいや」と通り過ぎないで、是非手にとって読んでみてください。

ちなみに「したきりすずめ」は図書館に数冊配架されていました。


【スポーツ健康学部 滝浪常雄】




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