「自己肯定感」という言葉がタイトルに入っている本を最近よく見かけます。
「自己肯定感を育てる」「自己肯定感を高める方法」など、文部科学省の言葉や
ネットの話題にもたびたび登場しますし、講演会なども開かれているようです。
心理学の研究分野では、「自己肯定感」だけではなく、自尊感情や自己効力感など、
自己に対するさまざまな感情についての研究がありますが、その定義は研究ごとに異なり、
さらに研究対象の違いなどもあり、普遍的な理論が確立されているわけではないようです。
「自己肯定感」・・・日常生活で目にするこの言葉は、「自己(を)肯定(する)感(じ)」と、
読めばすぐにすんなりと頭の中に入ってきて、とても大切なことのように思えてきます。
自分で自分を肯定できたら、どんなに気持ちが落ち着くことでしょう。
自分のすべてに自信が持てるかもしれません。
逆に、自分を肯定できないから、自分はこんなにつらいのでは、と、
「自己」を「肯定」できないことが悪いことのように思えてしまうこともありそうです。
自分で自分を肯定できなくて、それができたら苦労しないのに、と、
落ち込んだことのある人もいるかもしれません。
しかし、物事には両面があります。
良いか悪いかで分ける必要はなく、自分で自分を肯定できないことの中にも、何か意味があるはずです。
そして、そのように悩むから、見えてくるものが必ずあります。
それは、「肯定」できない自分を受け入れることではなく、「自己肯定感」とも違うけれど、
自分に対するかけがえのない感情や、そんな自分を抱えながら次に進もうと思えてくる感覚
とでもいうのでしょうか・・・自分でしか悩めない悩みをしっかり悩むことで、
そのような気持ちが自分の中から湧き上がってくることこそが大切なのだと思います。
(水曜日のカウンセラー)