私が中学校で、スクールカウンセラーをしていた時の話です。
私のところにカウンセリングに来るんだけれど、何も話さない生徒がいました。
お昼の時間だったので、二人で一緒にお弁当を食べていました。
その子が何も話さないので、私から「今日は天気がいいね」とか
「こないだ、こんなことがあってね」など話しかけると、
その子はニコニコ笑って聞いていました。
ある時ふと、私が話しているからこの子が自分の話を切り出せないのかもしれないと思ったので、
話しかけるのをやめました。すると、それからはずっと沈黙が続きました。
ほぼ何も話さないまま、お弁当を一緒に食べるだけというカウンセリングが何回も続きました。
なんでカウンセリングに来るんだろうと不思議に思うくらいでした。
その子は卒業するときに、「今までお世話になりました」
とお手紙をくれました。
そこには、「一緒にお昼を食べた時間がとっても楽しかったです」
と書いてありました。
この学生相談室でも、
友達とうまくしゃべれないという悩みを聞くことは多いですが、
しゃべらないと申し訳ないと自分が勝手に悩んでいるだけかもしれません。
この生徒のように、それでも相手は楽しいのかもしれない、ということも想像してみてくださいね。
(火曜日のカウンセラー)