昨日、映画『僕はイエス様が嫌い』についてのお話を書いたので、せっかくですから、いま話題の"この作品"にも触れておきましょうか。
映画『マイ・ダディ』(2021年9月23日公開)
主演は、ムロツヨシさん。なんとこの作品が実写映画初主演作になるんですね。
あらすじは以下の通り。
「御堂一男(ムロツヨシ)は、中学生の娘・ひかり(中田乃愛)と2人暮らし。最愛の妻・江津子(奈緒)は8年前に他界。一男は小さな教会の牧師をしながら、ガソリンスタンドでアルバイトに励みつつ、ひかりを男手ひとつで育てている。思春期に突入したひかりはちょっぴり反抗的な時もあるが、優しくて面白いお父さんのことが大好き。牧師として多くの人に慕われ、たまに娘と些細な喧嘩をしながらも、2人の穏やかで幸せな日々は続いていく......と思っていた、ある日、突然ひかりが倒れてしまう。病院で下された診断は"白血病"。混乱し事実が受け入れられない一男だったが、担当医師からある衝撃的な事実を告げられる。なんと、愛する娘は、自分の実の子ではなかった。ひかりに適合するドナーは「数百万人に一人」という残酷な現実が一男をうちのめすが、「血縁者は適合率が上がる」という事実に気付いた一男は、ある思い切った行動に出る......。」
(公式ウェブサイト - STORY より)
ムロツヨシさん演じる主人公の御堂一男は「牧師さん」です。
皆さんはあんまりご存知ないかと思いますけれども、小さい教会で働いている牧師さんたちの中には、なかなか十分な謝礼(お給料)をもらえないため、アルバイトをして生計を立てている方々も結構おられます。牧師さんだけじゃなく、仏教のお坊さんたちもそうです。「坊主丸儲け」なんて揶揄されることもありますが、現実はそんなに甘い世界ではありません。副業などをしながら、本業である宗教者としての勤めもしっかり果たしつつ、皆さん一所懸命に生活しておられるのです。なので、本作の「アルバイトをしながら教会の牧師をしている」という設定は、過剰演出でも何でもなく、宗教者の"リアル"を描いてくれているのです。これを機に、多くの人たちに、宗教界の現実を知っていただけたらなぁと期待しています。
さて、本題に移りましょう。
キリスト教には様々な「教派」があることを、皆さんもきっと何となくご存知かと思います。カトリックとか、プロテスタントとか、いろいろ聞きますよね。では、本作に登場する牧師・御堂一男の「教派」は何でしょうか。
実は、予告の動画の「開始1秒」のシーンだけで判断することができます!
御堂一男の着ている服装に注目してみましょう(予告動画を再生してパッと1秒で一時停止してください 笑)。何やら、黒色の立て襟の服を着ていますね。これは「キャソック」(スータン)という祭服です。カトリック教会や聖公会(英国国教会の系統に属する教派)の聖職者が着用します。通常、平服として使用されますが、近年、カトリック教会の神父さまたちは、ミサ以外のときにはスータンではなく普通のシャツやジーンズなど普段着を着ていることが多くなってきているそうです 笑
さて、もう一度「開始1秒」のシーンを見てみますと、御堂一男は、黒色のキャソックの上に薄い白色の服を重ねて着てますね。これは「サープリス」(スルプリ)と呼ばれる祭服です。礼拝のときには、平服であるキャソックの上にこのサープリスを着て、首から「ストール」(ストラ)をかけます。ストールの色にはいくつかあって、「白」「赤」「緑」「紫」など(典礼色と言います)キリスト教の暦に合った色のストールを着用します。予告映像では「金色」のストールを付けていますね。何かの祝祭日のときのシーンなのかもしれませんが、こればかりは、実際に映画を観てみないと分かりません。
以上のことから、主人公・御堂一男の「教派」を推察することができます。それはずばり......「聖公会」です!
どうしてカトリックではないのか。それは、スータン(キャソック)の上にスルプリ(サープリス)を着用するスタイルは、カトリック教会ではほとんど見られないからです。聖公会で頻繁に見られるスタイルとなっています。聖公会の祭服については以下のページをご覧ください。
「AMOR 陽だまりの丘 - 聖公会の聖餐式」
http://webmagazin-amor.jp/2019/06/24/tokushu32_7/
それにそもそも、主人公・御堂一男には、妻と子どもがいます。カトリック教会の神父さまは結婚することが禁止されているので(結婚する場合は司祭を辞めなければならない)、御堂一男がカトリック教会の司祭であることはありえません。したがって、妻帯者である御堂一男の教派は「聖公会」であるということになります。
なお、『マイ・ダディ』のロケ地として選ばれたのは、日本聖公会 北関東教区の熊谷聖パウロ教会。登録有形文化財に登録されている、由緒正しき聖公会の教会です。埼玉県熊谷市にお出かけされる際は、足を運んで見られても良いかもしれませんね(もちろんコロナ対策は万全に!)。
NHK連続テレビ小説『エール』で、立教大学の西原廉太先生による"キリスト教考証"(脚本・台本への専門家の視点からのアドバイスや演技指導など)がしっかりと為されていたということが一時期話題になりましたが、この『マイ・ダディ』という映画も、祭服へのこだわりやロケ地にちゃんとした(教派に合った)教会を選んでいるあたり、丁寧にキリスト教考証が行われた上で製作された作品だと言えるんじゃないかと思います。
予告編を観るだけで号泣してしまいそうな『マイ・ダディ』。僕は......観に行きます!
(伝道師のほう)
「映画」と一致するもの
先日、映画『僕はイエス様が嫌い』(2019年)を鑑賞しました。
昨年の12月にフジテレビで地上波初放送されたので、その時にご覧になった方もおられるかもしれませんね。
あらすじは以下の通り。
「祖母と一緒に暮らすために、東京から雪深い地方のミッション系の小学校へ転校することになった少年ユラ。日々の礼拝に戸惑うユラの前に現れたのは、小さな小さなイエス様だった。他の人には見えないけれど、願い事を必ず叶えてくれるイエス様を信じ始めたころ、ユラに大きな試練が降りかかる...。」
(公式ウェブサイトのイントロダクションより)
※ミッション系:キリスト教主義の学校のこと
キリスト教という宗教を一要素として扱っている作品になってはいるものの、その内容は決してキリスト教思想を観る人に押し付けるようなものではありません。むしろ、タイトルの通り、学校という世界の中で文化・習慣として守られ続けてきたキリスト教的価値観に対して、現実的な視点から挑戦していくような、そういう刺激的な内容になっています。
また、主人公のユラくんの周りにいる大人たちの姿も印象的で、ユラくんが一人孤独に、信仰と現実との狭間で苦悩している様子が見事に描き出されています。
本学のようなキリスト教主義学校の学生さんや教職員の皆さんには、ぜひとも一度観ていただきたい作品です。って言うか、キリスト教の授業の先生にリクエストして授業中に皆で観たらえぇんやわ!そないしぃ!笑
さてさて、後半は「オルガン」のお話です。と言っても、映画のお話の続きですが。
『僕はイエス様が嫌い』の映画の中に、ユラくんの通う小学校の礼拝堂が出てきます。そのシーンを見ながら、僕は「あれ?」と思いました。「なんか、見たことあるような......」と。
そうなんです。その礼拝堂に設置されているパイプオルガンが、本学のしろとりチャペルのパイプオルガンとそっくりだったんですね!
映画の画像はアップできないので、ロケ地となった「日本基督教団・西片町教会」の写真を紹介しているブログをご紹介しますね。美しいパイプオルガンの写真も掲載されています。なお、舞台となった小学校は、群馬県の中之条にある廃校で、礼拝堂の様子は、西片町教会で撮影されました。
「レトロな建物を訪ねて - 日本基督教団 西片町教会」
礼拝堂は1935年献堂。パイプオルガンの方はと言うと、教会公式ウェブサイトの説教アーカイブによりますと、2001年5月27日に奉献式が執り行われたようです。本学と同じくマルク・ガルニエ氏(マルク ガルニエ オルグ ジャポン)製作のものです。
本学のパイプオルガンはこちら。どうですか?めっちゃ似てますよね!
2019年9月に完成したので、西片町教会のオルガンとはだいぶ年齢差がありますね。
映画を見ながら途中で気づいて、ロケ地はどこだろう?と検索している間にしばらく時間が過ぎてしまっていたので、もう一度見直さなければ......
ちなみに、西片町教会は、米津玄師さんの『Lemon』のPVや、菅田将暉さん主演の映画『あゝ荒野』でも使用されている、有名なロケ地になっているみたいです。いいな〜。ウチの大学のチャペルでも映画撮影してくれないかな〜。
というわけで、映画『僕はイエス様が嫌い』。皆さんも良かったら観てくださいね。
(伝道師のほう)
昨年から第何次目かの韓国ブームがやってきたそうですね!
ドラマや映画、アイドルも日本や世界で大人気です。
韓国語を耳にする機会も自然と増えたような気がします。
興味がなくとも、
「안녕하세요(こんにちは)」や「감사합니다 (ありがとうございます)」なら、
知っているひとも少なくないと思います。
今回ご紹介するのは『ネイティブがよく使う韓国語表現ランキング』です。
題名のとおり、ネイティブがよく使う表現をシーンごとにランキング形式で紹介してくれます。
ハングルの読み方等の解説はすっとばされていますので、
韓国語を勉強し始めた人向けかもしれません。
ただネイティブがよく使うと銘打つだけあって、ドラマなどでもよく聞く表現が多く載っていました。
例えば...
「ありがとうございます」のランキング1位はもちろん「감사합니다」
かと思いきや3位!そして1位は「고마워요」でした。
これはやはりこういう本を見ないと、なかなかわかりませんよね。
「감사합니다」は直訳すると「感謝します」なので、普段使いにはお堅いのかもしれません。
海外に行けない今がチャンスです!
いざ行けるようになったときのために、語学の勉強始めてみませんか?
(瀬戸のスタッフ もんぴぱ)
ずっと気になっていたタイトル
『テラビシアにかける橋 』
見つけました。
本当は、映画のタイトルとして聞いたので、原作があるとは知りませんでした。
この映画のタイトルを教えてくれた人は、当時、闘病中で、余命宣告もされていて、在宅介護中でした。
その時、私は、介護でいっぱいいっぱいで、どんな映画かちゃんと聞きませんでした。聞いたかもしれないけど、覚えていません。
今は天に帰って行ったその人は、この映画を見て何を思ったんだろう。ずっと後になって気になってきました。
映画を見ることはできませんでしたが、この本を見つけたときは、迷わず
読まねば!!!
と思いました。児童書ですが、『死』を扱っているので、はじめは批判もあったようです。
子供は『死』をどうとらえるのでしょうか。
最後、学校の先生が、ご自分の体験から、夫を亡くしたときのことと重ねて、主人公ジェシーにかけた言葉、『私は忘れたくない』は私にとって『忘れなくていい』と言ってくれた友の言葉と重なりました。
忘れられない悲しみを無理に忘れようとしなくていいよということばは、私の心を少し軽くしてくれました。
そして、(実際の葬儀の後に)ジェシーがレスリーとの思い出の秘密の場所、『テラビシア』でレスリーの葬儀を一人で行ったときに発した言葉は、私がその人を看取るときに祈った言葉と同じでした。
映画は原作をどれくらい忠実にえがいたのか私にはわかりませんが、この映画を最後に観たその人は、自分がこれから死ぬこと、自分の死後の周りの人のことなど、考えたのかもしれません。
一番大切なことは、最後に主人公ジェシーがテラビシアに"橋"を架けたことではないかと私は思います。
同じ事を繰り返さないためかもしれませんが。そこはもう秘密の場所ではなくなります。
誰でも行ける場所となったことに絶望を希望に変えたかったのではないかと。
完全なネタばれ記事です。すみません。
『テラビシアにかける橋 』
児童書なのですぐに読めます。お勧めです。
(図書館スタッフ:小豆)
ガブリエル・バンサンという絵本作家を知っていますか?
ベルギーの作家さんで、有名な作品としては、
「くまのアーネストおじさん」というシリーズがあります。
名前は知らなくとも、絵をみたら「知ってるかも」という人も
いるかもしれませんね。
その方の絵本が、本学の瀬戸図書館の絵本コーナーにも一冊あります。
『アンジュール』ガブリエル・バンサン著
ある日、犬が車から捨てられてしまいます。犬は、走り去る車を必死で追います。
それでも車はみえなくなってしまい...
全ての絵が、鉛筆によるデッサンだけで描かれ、
セリフはありません。
それでもその捨てられてしまった犬の躍動や表情や感情のひとつひとつが、
物語が、グッと心に迫ってきます。
大人でも子供でも、まるで映画の世界にひきこまれるような、
すごい力をもった絵本ですが、百聞は一見に如かず。
この本はぜひ手に取って眺めてほしい、そんな一冊です。
ちなみに私はこの作家さんの絵本に大学生のころ出会いました。
中でも『セレスティーヌ』という絵本は
思わず自分で買ってしまったほど今も大好きな絵本です。
いつか本学図書館にも入るといいな。
(図書館スタッフ るん)
映画化もされている作品。
主人公は、不倫相手の子を誘拐してわが子として育てる。
その逃避行と、実の両親の元に戻った子の葛藤が描かれる。
理性をゆるがす愛に、応援する気持ちさえ持って読んでしまった。
主人公を助ける登場人物も、全員女性というのがまた興味深い。
逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるのだろうか・・・
(瀬戸のスタッフ:emirin)
『八日目の蝉』
こどもスポーツ教育学科の滝浪です。
久しぶりに7月6日のゼミで、ビブリオバトルをしました。
今回は小学校教員のR先生にも特別参加していただきました。
総勢9名で、わりとちゃんとやりました。
紹介された本は以下の通りです。
AW:三宅香帆『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』笠間書院
KI:香月日輪『不思議町物語』新潮文庫
MA:川口俊和『コーヒーが冷めないうちに』サンマーク出版
HS:ひろゆき『叩かれるから今まで黙っておいた世の中の真実』三笠書房
滝浪:上野憲司監修『鳥獣戯画のすべて』宝島社
HY:チャーリー・マッケンジー『ぼく モグラ キツネ 馬』飛鳥新社
KY:辻秀一『スラムダンク勝利学』集英社インターナショナル
AH:森絵都『カラフル』文春文庫(図書館所蔵は講談社版)
R先生:横山紘一『唯識の思想』講談社学術文庫
それにしても、みんな、プレゼン力がアップしました。
しかも、紹介中、紹介後のツッコミがなかなかおもしろくて、大盛り上がりの会でした。
AWの本から、ジブリの話に広がり、KIの本では、現代の親子の問題にしばし考えさせられ、MAは、本も映画も感動的だと言い、HSは、叩かれるから詳しく話せないと言い、HYは、蕩々と語り、KYはスラムダンク全巻を読もうと言い、AHは、「ぼく」の正体は語らず、最後のR先生に到っては、なんとも難解かと思いきや、実に分かりやすく説明していただきました(さすが小学校の先生!)。一同思わず「奥が深い」とつぶやいていました。
私はというと、そもそも鳥獣戯画の有名な場面は知っていても、そもそもどういう本なのかを知りたくて、読んでみたと話し出すと、「確かに」とうなずいてくれたので手応えを感じましたが、投票の結果は、票数大割れの大接戦。
しかしその中、HYが紹介した『ぼく モグラ キツネ 馬』がチャンプ本に決定しました。
今話題の本ですね。HYが紹介の中で、「勇敢な言葉って何だと思いますか。」とみんなに質問したフレーズが印象的でした。なんだと思いますか。それは読んでのお楽しみ。
今回は、実に中身の濃い会となりました。
決して本好きばかりがそろっているわけではないですが、一人一人が充実感、満足感を持つことができたビブリオバトルでした。
瀬戸図書館では、ミニ展示「レポート論文マニュアル」を開催中です!
卒論に手を付け始めたり、課題にレポートが出たり、この時期は何かと書くことが多いですよね。
授業で書き方は教えてもらったけど、いまいちよくわからない...そんなときに役立つ本を集めました!
資料の集め方や、論文の書き方、そもそもの文章の書き方などなど、大学生には必須の本たちです。
書き始めたはいいものの、結論にたどり着かない!
そんなときのヒントにするのもいいかもしれません。
資料の集め方や論文の検索方法は私たち図書館スタッフも詳しいので、図書館に来た際には気軽に相談してくださいね。
また、DVDコーナーもちょっとした展示を行っています!
「100分de名映画」と題して、100分前後でさっと観られる映画を集めました。
7月頭までリクエスト募集もしていますので、良ければご参加ください!
場所:瀬戸図書館2階カウンター
期間:6月~
(瀬戸図書館のスタッフ もんぴぱ)
伊坂幸太郎さんの著作『マリアビートル』がハリウッドで映画化されるそうです。
真田広之さんやブラッドピットさん、レディガガさんの出演も決まっているとか。
伊坂幸太郎さんといえば、日本でも『アヒルと鴨のコインロッカー』や
『マリアビートル』と地続きの世界線である『グラスホッパー』など多くの作品が映画化されています。
今回ご紹介する作品も、堺雅人さんを主演に映画化されていますし、2019年には韓国でも映画化されたそうです。
今回ご紹介するのは伊坂幸太郎さんの『ゴールデンスランバー』です。
アメリカで実際に起きた大統領暗殺事件をモチーフに、現代日本で起こった総理大臣暗殺事件を描いた作品です。
タイトルはイギリスのバンド、Beatlesの楽曲名から取られています。
先に映画か、小説か。こうして悩めるのも映画化作品の楽しみかもしれません。
本も映画も図書館で所蔵しています!ぜひ図書館で読んだり、見たりしてくださいね!
(瀬戸のスタッフ てんどりー)
古い映画ですが
アラバマ物語をご存知ですか?
先日、久しぶりにDVDで見たのですが、原作者について調べてみると
なんと続編があることを知りました!!!!
物語はアラバマ物語の20年後となっていますが、実際には、先に書かれたといいますか、アラバマ物語を推敲してゆく過程で放棄した原稿をまとめたものだそうです。アラバマ物語が、思い出す口調で語りが入っているのはそのためとか?
先に書かれていたのに、出版がこんなに遅くなったのは、その原稿が見つかったのが2014年のことだったから。
そして2015年に出版されました。
アラバマ物語から想像するテーマとは、
別にもう一つ、隠されたテーマがあります。
見張りを立てるのは、いったい誰が?どこに?
古いけど新しい本です。
ぜひ一度、読んでみてくださいませ。
(なごやの図書館スタッフ:小豆)