エミール

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秋と言えば栗きんとん!

...と思ったけど季節関係なく食べてました いつ食べてもうまいやつがあるんですよね

(どんなからくりなんだろう)

秋なので今日は...壮大に物語ります

 

 ある人間が生まれてから無事立派に大人へと成長していく、子の物語について

 

生まれてきたばかりの子供をいったいどうやって育てれば徳のある立派な人間になるのだろう

人間が人間らしく生きていくためにどう教育すれば良いのだろう

18世紀思想家、ジャン・ジャック・ルソーは考えました

人間は自然権の下、生命・身体・財産を守られなくてはならないという前提にたち、

社会契約論を唱えた人です

人間の権利を守るために欠かせない自由と平等の大切さを証明しました

それはやがてフランス革命を起こすきっかけともなり

また現代のすべての先進国の法律や憲法にもその影響が強くあります

 

そのルソーは晩年に、より良い社会の実現のため教育というものについて考察します

彼は小説『エミール』という形で自身の教育論を世に出しました

そこで登場するのが少年エミール君

この架空の人物をルソーは生み出し、

そして彼に家庭教師をつけ、人生教育というものを物語の中で実験していくのです

 

教育においてまず一番重要なことが、初期の状態にある子にたいしてどう教えるか

というよりむしろ「どう教えないか」がポイントとなるようです

つまりはじめから子に、徳とか善悪などについて、教育者側からこれはこうだよと教えません

ルソーは、自然の中における最初の衝動を肯定的に見ています

はじめは人間の手ではなく自然にまかせてしまえ、ということ

子の自発的、内発的なものを大事にし、それを大人(人間)が邪魔をしてはいけない

人間の下で育つのではなく、自然に帰れというわけです

(この自然というのは森の中で育てろというのではなく、人為的なところから離れ、心の中から自然に湧いてくる衝動という意味での自然です)

 

 

当然、大人(人間)が子を放任すれば、失敗したり危険なめにあったりするでしょう

ただそこで、人間の手で強制的に手を加え、やめさせることが間違った教育であって、たとえ間違ったこと、危険なことをしてもそれで痛い目に合うのは自分自身なのですから、こんなことをするのはやめておこう、と自発的に気がつく...

というのが正しく、理想的です

 

最近では、危険なところからできるだけ遠ざける、なるべく他人に迷惑をかけさせないというような観点から子を内に閉ざしてしまうような教育が蔓延していて、うーんなんだかなと思ってしまいます

危険だから、迷惑だからと公園にあるものを撤去したり、ボール遊びを禁じたり、とにかく過保護で本当に子のためになるのか?と首を傾げたくなります

 

まあそこはひとまず置いといて、このように人為的なものに頼らず、内から出てくる自然的な行動だとか先天性を大事にし、それを踏まえたうえで人間の教育をしなくてはならないと

これは消極教育と呼ばれていますね

 

この考えを元にエミール君を誕生から大人になるまで育て上げるのですが、子の時期に沿った育て方をしなくてはなりません

NHKがまとめたものによると、このように分けられます

(これも前に紹介した堕落論と同じく、名著を読み解く番組で知りました)

 

第一編 乳児期(0~1歳)        快・不快(←発達段階)

第二編 児童・少年前期(1~12歳)  感覚・知覚

第三編 少年後期(12~15歳)     好奇心 有用性

第四編 思春期・青年期(15~20歳) 理性・道徳

第五編 青年期最後の時期(20~)  幸福・徳

 

ある程度の年齢になれば、例えば恋をするよう促すようなことをしたり(まあ恋というのはある時ふと芽生えるものですが)、社会を知る為に外国に行かせたり、あるいは自己の中だけではなく社会のなかでの他人との付き合い方を知り、共感したり、逆に自分とは違う人間もいるのだと気付いたり...

というように、時期に応じた教育が望ましいのです

 

このような過程を経てエミール君は少しずつ立派な大人へと成長していくのですから

読んでいるとだんだんと親の心が芽生えてくるんですよね

 

 

というわけで、この古典的な教育論

教育学を勉強している人や教員になる人なんかには必読書となります

じっくりと読み解くことをお勧めします

 

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 『エミール(上)』   『エミール

 

(学生サポーター あっきイ) 

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