素敵な関係

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図書館の神様」 瀬尾まいこ マガジンハウス

 

図書館の神様.jpg

 

清さんと垣内君。

二人は文芸部の顧問と部員。

文芸部とは言っても、構成部員はこの二人だけ。

そして清さんは毎日図書館で本を読む垣内君のことが信じられない。

かつてバレー部に所属していた清さんにとっても青春とは、

体を動かして仲間たちと一緒に汗を流すことなのだ。

そんな清さんに対して垣内君は言う。

「文学が好きだからです」

「文芸部は何一つ同じことをしていない。ぼくは毎日違う言葉をはぐくんでいる」

 

彼らが話すのは文学に関することばかり。

川端康成の『抒情歌』、『雪国』、『骨拾い』、中沢啓治の『はだしのゲン』、三島由紀夫、山本周五郎の『さぶ』、夏目漱石の『こころ』、『夢十夜』などなど。

様々な文学作品や著者が彼らの話題に上る。

 

清さんは不倫相手のこと、かつて所属していたバレー部で自殺してしまった山本さんのことなんか垣内君に話したりしない。

垣内君はかつて所属していたサッカー部で入院してしまった部員のことなんて清さんに話したりしない。

あっさりしていて、お互いの心の奥を覗くようなことはしない。

でも、しっかりとした信頼感をお互いに持っている。

そんな素敵な関係を築いている。

 

過去に縛られ、現状に甘んじ、打破することができない人へ。

新たな一歩を踏み出す勇気が沸いてくるはずです。

 

ちくま文庫からも同じく『図書館の神様』が刊行されています。

そちらには短編小説「雲行き」も同時収録。

さらりと読める、素敵なお話です。

 

(栞)

 

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