講座の概要
10月17日(水),午後から経済学部主催の就職対策特別講座が開かれました。開催案内のビラにはキャッチコピー「おじけづくな,動きだせ!」の文字が躍り,なかなか刺激的です。講演者は,本学の卒業生(85E)でキイストン社を経営する細見昇市社長と,今年10月に東証上場の最年少記録を塗り替えた(21歳1ヶ月)話題のリブセンス社の村上太一社長。キイストン社は飲食業界に特化した総合人材採用コンサルティング,リブセンス社はインターネットメディア運営を事業とする会社です。
会場は,約300人が入れる曙館201教室でしたが,開演前から多くの学生が最前列席を陣取り,開演時間にはほぼ満席でした。主たる対象者は,就職活動を控えた経済学部3年生というものの,「他学部生も歓迎」とアナウンスされていたことから,会場を埋め尽くしたのは学部・学年に関係なく,社会への関心が強い熱心な学生集団でした。司会は,このイベントを企画した経済学部の河原林直人准教授です。
キイストン社長細見昇市さんのメッセージ
細見さんは,自身の学生時代を振り返りながら,これから就職活動に向う学生たちへのメッセージを熱く語ってくれました。人材採用コンサルティングを営む細見さんは,人を見ることが仕事です。幅広い人的ネットワークを抱え,日常的に多くの企業経営者と接しているプロの目から見た,「魅力的な学生像とは」が語られました。それは同時に,本学OBとして後輩達への厳しく温かい激励の言葉でもあったように思います。
細見さんのメッセージは,次のようなものでした。
○学生時代は,学生でしかできないようなことをしよう。自分の学生時代には,インド旅行,アルバイト,ボクシング,テレビの公開放送出演などを果たし,それが自らの自信や他者との差別化につながった。
○自己アピールのためには,他人と違う何かを持とう。
○素敵な笑顔を持とう。素敵な笑顔を持ち人に好かれるにはどうするか。多くの人と会うことだ。様々な人と会い,それぞれを生きた時間にするためには笑顔が不可欠。
○ハングリーになろう。ハングリーでいるとモノの本質が見えてくる。
○人の倍働いてこそ,周囲から認知される。リクルートに勤務した頃には,ノルマの200%達成を目標にしていた。1日400社を訪問したこともある。これで1日5件の成約を得れば,トップセールスマンになるし,他人も認めざるを得ない。
リブセンス社長村上太一さんのメッセージ
新進気鋭の青年実業家である村上太一さんは,すらっとした長身を仕立ての良い黒のスーツで身を包み,颯爽と登場しました。ノーネクタイは精神的自由人の表れか? ニコニコと微笑みを絶やさぬ童顔は,色白で,見るからに優しそうな好青年。この人が,今を旬と世間が注目する若手実業家か,と感じさせるほどの清潔感を醸し出していました。
村上さんは,ベンチャー企業を始めた大学生時代やリブセンス社の経営哲学を,にこやかにそして爽やかな語り口で話されました。
村上さんのメッセージは次の通り。
○ビジネスの要諦は,日常感じている不便や問題の解決にある。そこに新しいビジネスがある。だから,常に「こうなったら良いな」,「これが問題」というものに意識を馳せている。
○壁にぶつかったら原点に戻る。そのためには,やりたい事を「言語化」しておくと良い。そうすれば,辛い時にもすぐ見直せる。
○やりやいことを「言語化」しておくと,その延長にある未来のやりたいことも見えてくる。
○「やりたいこと」はできるだけ早く見つける方が良い。「やりたいこと」をやらないのが一番の後悔になる。
○人の幸せが自らの幸せ。それがリブセンス(Live Sense)社の会社哲学。
○目の前のことを全力でやる。それによって未来の視界が開けてくる。
○たくさんのことを経験しよう。自身の世界が広がるから。
会場の反応とその後
お二人の講演の後,司会の河原林先生がフロアに質問や意見を求めました。すると,学生たちから次々と発言がありました。起業に重要なことは何か,リブセンスの会社哲学は自己満足ではないか,学生時代に何を考えていたか,etc.。
意外に感じたのは,学生たちの「起業」への関心の高さです。幾つかの質問はその関連でした。もっとも,今回の講師二人はともに起業家であり,それに興味ある学生諸君が相対的に多く集まってきた,という事情もあるでしょう。教員たちの通説の中には「今の学生は,行儀が良くて大人しい」というのがありますから,そうでない学生たちを目の当たりにすることは,新鮮な驚きなのです。いやいやどうして,わが大学の学生たちも結構,気概溢れる若者ではありませんか?自ら会社を興そうというチャレンジ精神を持つ学生たちの,元気に発言する姿に「ほぉ~」となりました。
講演会終了後には,わずかな時間でしたが,控室で細見さんと村上さんと懇談しました。お二人の話を聞き足りないと感じたか,あるいは我がヒーローにもっと接近したいと感じたのか,数名の学生たちが控室に訪ねてきて,追加質問をし握手をして貰っていました。細見さんの鑑定では,こういう積極性のある学生は「買い」だそうです。
「お役にたてれば,次回もやりますよ」と講師の温かい言葉に,河原林先生はじめ関係者一同,深い感謝の念。企画運営にあたった経済学部やキャリアセンターの皆さん,ありがとうございました。 大盛況の講演会でした。
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