近年「わかりやすいニュース解説」ですっかりお馴染みの池上彰さんの著書。
失われた30年と言われる日本のデフレ下での低経済成長、そして実質賃金
(所得)が永らく伸び悩む日本経済の状況を世界経済の現況と対比しながら、

所得、雇用、経済成長と言ったキーワードを繋げつつ、世界の経済学の
5大巨頭の基本学説を織り交ぜ解説してくれます。
その5大巨頭とは
①アダム・スミス 「神の見えざる手」という元祖自由放任主義
②カール・マルクス 物の価値を労働の価値として根源から見直す

③ジョン・メイナード・ケインズ 有効需要創出という公共事業施策
④ミルトン・フリードマン 貨幣の供給量によって景気や物価を決定
するマネタリズム
⑤デイビッド・リカード 比較優位による貿易の自由競争
過去からの経済分析、経済施策はその時々の処方箋であり、一時期は
上手く行ったとしてもやがて綻びは出てきます。流動的な状況に恒常的には
対応することはできないものです。しかしながら、何故、近年の日本は世界
の経済成長から遅れをとってしまったのか、所得が向上しなかったのかと
いうことを分析し、所得の向上の好循環から経済成長に繋げるための課題を
整理してくれます。
『池上彰のやさしい経済学』
(しろとり図書館スタッフ 東空)