元祖「あれか、これか」の作者はデンマークの哲学者 キルケゴール (1813-1855)
です。彼は人間の生き様 (実存の真理)には二つあり、「享楽的に流されて生きるか」
あるいは「倫理的に悩みながらも自律的に生きるか」人はどちらかを選ぶ『二者択一』
であるといいます。
この時々の「二者択一」の積み重ねをファイナンス理論に持ち込んだのが本書です。
本書の「あれか、これか」は、多数の企業の価値評価を手掛けたファイナンスの
第一人者である筆者が、企業の起業であるとか成長段階でのファイナンスの選択肢に
ついて、多面的な視点からの考え方を示唆してくれます。
しかしながら、現実の選択はなかなか思い通りには成功しません。その時々の判断
において大事なことは長期的な視点であり、将来価値の拡大をどう持続的に継続し
てゆくかということです。
具体的な一端として借金なのか、株式募集(公開)なのか、リストラなのかという
ような論点にもなりますが、ファイナンス上の選択にあたり、その値打ちを如何に
見抜くか値踏みするかについて語られます。
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『「あれか、これか」:本当の値打ちを見抜くファイナンス理論入門』
(しろとり図書館スタッフ 東空)