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ふたりの鈴木さんとの昼食会

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昼食会

 7月23日(月),外国語学部3年生のふたりの鈴木さんとささやかな昼食会を持った。場所は学長室。石川輝海外国語学部長にも同席して貰った。

 何のための昼食会か? イジメや虐待や自殺など暗い話が多い世相の中で,ふたりの鈴木さんは,最近,心がホッこりする話題を提供してくれた人物である。彼女らから直接その話を聞きたいと思った。大いに褒めあげて,その精神性を大事にして貰い,学内にそして世界にその心意気を広げて欲しいと思ったからだ。

 昼食メニューは「五目寿司」。セブンイレブンの柳田さんに注文し,出前して貰った。これは事前予約が必要なメニューで,特注だ。

 

ふたりのホッこり話

 ふたりの鈴木さんが提供したホッこりする話の内容は,新聞記事にもなったし学内広報もされているから,ご承知の方も多いだろう。その概略は次の通り。

 鈴木佳奈英さんの話は,「四つの言葉で橋渡し」という見出しで朝日新聞(7月6日夕刊)に紹介された。彼女は,日本語,英語,日本語手話,英語手話を駆使して,多様な人間とコミュニケーションしながら,自らの世界を広げている。日本語手話の勉強は本学外国語学部に入学した直後から,英語手話の勉強は留学先のアメリカの大学で,という。学内では,ノートテイカーとして聴覚障害を持つ友人の学習も支援してきた。

 「コミュニケーション手段としては手話も英語も同じ。聴者だろうが障がい者だろうが,そこに魅力的な人が居て,その人ともっとコミュニケーションを採りたいと思う」熱意が彼女の言語能力を高める純粋動機のようだ。「手話を学んで世界が広がった」という彼女は,これからも更に世界を広げていくのだろう。

 一方,鈴木亜里砂さんの話は,行方不明で捜索願いが出されていたオジさんの保護に一役買ったというものだ(中日新聞(7月10日))。精神障害を持ち,人との対話が不得手なこのオジさんは,どういうわけか横浜から迷って浜松まで来てしまった。浜松は鈴木さんが住む町だ。深夜11時に,所用で東京から帰ってきた鈴木さんは,浜松駅でこのオジさんに携帯電話を押し付けられたという。パニック状態にあるオジさんにしてみれば,電話先の相手と連絡をとって助けて欲しいとの一念であったろう。電話口に出たオジさんの弟さんと連絡が取れ,駅員に事情を話して,オジさんは無事に保護された。

 深夜に見知らぬオジさんに声をかけられ,怖くなかったか?「触らぬ神に祟りなし」とは思わなかったか?誰もがそんな疑問を抱くだろう。ところが彼女はそうではなかった。深夜11時帰りとなった東京での所用は,アメリカに留学した際に友人になった台湾の学生との再会であったという。昼間は英語が充満する世界で生き,そこから帰宅する途上であったのだ。

 

外国語を学ぶ意味 

 そこで,私は合点した。ふたりの鈴木さんは,心が外に開いていた。外国語や異文化を勉強する意味は,実はこんな所にあるのではないか。外国を知り,異文化を理解するためには,変な先入観や偏見をできるだけ排除し,素直な気持ちでありのままを受け入れる姿勢が必要だ。簡単そうな単語一つをとっても,幾つかの意味を持ち,文脈にそった解釈が不可欠となる。

 言語はもちろん,肌の色も宗教も違う多種多様な人たちと付き合うためには,自らもオープンマインドで,そして笑顔で対峙しなくてはならない。自身の体験でも,海外出張から帰ったばかりの数日間は,行き交う人誰にでも「ハ~イッ!」と挨拶できるような気分でいる。オープンマインドな行動が採れるふたりの鈴木さんが,外国語学部の学生であったのは偶然ではなく,必然ではなかったかと思う。

 ふたりの鈴木さんは,本学の建学の精神「敬神愛人」を自らの行動で示した代表選手のように思う。謙虚で他者に優しい人材を育成するためには,外国語や異文化を学ぶ姿勢の涵養が必要なのだろう。だから,名古屋学院大学の教育の特徴に「国際性」がある。これまた,改めて合点した。

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