10月15日(土),瀬戸キャンパスで大学祭がありました。当日の天気は生憎の雨でしたが(昨年も雨でした),それでも,学生たちはステージ企画,BLS(救急救命)体験,模擬店,ゲームなどの出し物に懸命に取り組んでいました。企画運営を担った実行委員会のメンバーの皆さん,それに応えて様々な出し物を行った学生諸君,本当にご苦労様でした。若者たちが一生懸命取り組む姿は,実に美しいですね。
雨天にも拘わらず,多数の来場者を得ることができました。来場者の風貌から,その集団の属性を分類してみれば,次の4グループになるように思います。それらは,①地元の子どもたちやその保護者たち,②本学学生の親御さんや親族たち,③おそらく高校生だろうなと見受けられる青少年集団(男子生徒よりも女子生徒の方が多く目につきました),そして④本学の教職員や大学関係者たち,などです。
雨で濡れたキャンパスの中を,はしゃいで走ってスッテンコロリンといった小学生の姿もありました。が,彼は直ぐに立ちあがって親元に駆けて行きましたから,これもまた良くある光景といったところでしょう。
模擬店が林立しているキャンパス(麦粒苑)をブルブラしていると,リハビリテーション学部の学生のお母さんに声をかけられました(先述のグループ②ですね)。
「学長さん,ですよね?」
「はい。」
「いつも息子がお世話になっています。」
「いえいえ,こちらこそ。雨の中いらして頂きありがとうございます。今日は雨で,学生たちにはちょっと気の毒ですね。」
「でも息子は実行委員もしているとかで,先ほど覗いたら喜々としてやっていました。その姿に安心しました。」と微笑みながらお母さん。
そうなんですねぇ。親は喜々としている我が子の姿を見るのが好きなのです。一人暮らしの息子を案じ,大学に慣れたか,元気にやっているかと親は常に案じているのです。そして,息子が元気で楽しそうに過ごしている姿に安堵し,自分の幸せを感じるのです。
もう30年以上も前(1977年,昭和52年)になりますがシンガーソングライターのさだまさしさんが「案山子(かかし)」という楽曲をリリースしました。その歌詞の一番は次の通りです。
元気でいるか? 街には慣れたか? 友達出来たか?
寂しくないか? お金はあるか? 今度いつ帰る?
城跡から見下せば蒼く細い河
橋のたもとに造り酒屋の レンガ煙突
この町を綿菓子に染め抜いた雪が消えれば
お前がここを出てから 初めての春
手紙が無理なら電話でもいい 「金頼む」の一言でもいい
お前の笑顔を待ちわびる おふくろに聞かせてやってくれ
これは,兄の立場で故郷を離れて暮らす弟に宛てたメッセージとして書かれていますが,肉親の安否が常に気掛かりな親心を率直に表現しているように思います。親元を離れて暮らす子どものことを,親はいつも心配しています。ご飯は食べただろうか?風邪をひいて寝込んではいないか?交通事故に遭わないように。悪い仲間に引き込まれていないか?暴漢に襲われたらどうしよう,などなど。悪い状況を想像したら,それはらせん階段のようにエスカレートしていき,「孤独死」まで夢想してしまう。それが親という人種なのです。
だから,一人暮らしをしている学生諸君は,親を安心させるために(それは親孝行の一つなのだと割り切って),時には自らの近況を報告してあげて下さい。手紙が無理なら(無理だろうなぁ),電話でもよし,メールでもよし,です。
大学祭に顔を出して思い起こしたことが「親孝行のススメ」であったとは,意外でしたか?
ちなみに,くだんのご両親(お母さんだけでなくお父さんともお話しさせていただきました)は,息子さんが充実した学生生活を過ごしている姿を通して(父母会や父母懇談会など大学のイベントにも欠かさず参加されているとのことです),息子さんを本学に送り出したことに非常に満足されていました。そして,小生自身までもが感謝されてしまった次第です。
瀬戸キャンパスの教職員の皆さま,これはひとえに日頃の皆様の愛情深い教育指導の賜に他ありません。ご両親からの感謝の言葉を,皆様に小分けしてお渡ししたいと思います。
どうもありがとうございます。