★Bridge★No.24 佐藤 律久 先生
学生さんと先生を繋ぐ連続企画★Bridge★、今回の先生は・・・
経済学部 佐藤 律久 先生です。
先生は、「ミクロ経済学入門」「ミクロ経済学1・2」「経済数学」などの科目
をご担当されています。
それでは早速、先生の"思い"をご紹介します★
■■■ どんな思いをもって、授業に臨まれていますか? ■■■
僕の担当する「ミクロ経済学入門」「ミクロ経済学1・2」という科目は
基本的に抽象的で複雑な内容なんです。
取っつきにくくて難しいのですが、
だからこそ一人でも多くの学生に理解してほしいと思いながら授業をしています。
やはり、難しい内容を一生懸命考えて理解できたら、それはすごく嬉しいことだと思うんです。
達成感も大きいし、誇らしい気持ちにもなる。
以前★Bridge★で法学部の鈴木先生も仰っていたのですが、こういった
「理解できる喜び」が、学びを続けていく上での大きな動機になると考えているので、
自分の授業の中で、1回でもそういった経験をしてほしいと思っています。
逆に、授業内容がわからないままで終ってしまうことは、学生にとってストレスですし、
理解できないことが原因で授業に対する興味を失ってしまうこともあります。
そういう思いをさせるのは、僕自身心苦しいですし、そう思わせないように、
少しずつでもいいので、自分のペースで理解できるように、色々試行錯誤をしています。
たとえば、授業では、テキストは使わずに、手作りの資料で授業を進めています。
できるだけ短文...大体2行くらい...に収まるように論理を区切って、
細かいステップで、少しずつ自分の理解度を確認しながら内容を追っていけるように
資料を作成しています。
絵や図などを使ったり、具体例を出したりして、分かりやすくする工夫もしています。
学んだ内容の確認問題や、それだけだと物足りない学生には、授業の内容を理解した上で
考えなくてはならない応用問題を用意したりもしています。
授業の最後には演習問題を用意していて、その時間は、友達と相談して解いてもよいことにして
います。
ピアティーチングとまでいかないかもしれませんが、そのほうが理解が深まるかもしれないので。
正式な答え合わせは、復習もかねて、翌週の授業の冒頭で行っています。
僕自身は、演習問題の時間は教室内を歩き回って、問題が解けずにいる学生がいたら、
解き方を説明しています。
一対一で説明し、ヒントを出しながら問題を解かせると、途中で
「あ、そういうことか!」
「わかった!」
と言って解けるようになる学生も結構いるんです。
そういうとき学生は嬉しそうな顔をしていますし、ちょっと得意気だったりもします(笑)
そんな様子を見ると、こちらもちょっと嬉しくなって(笑)
そういう理解出来た時の喜び、気持ちは、僕にもよく理解できるので。
なかなか理想的な授業を実現するのは難しく、反省することも多いのですが、
少しでも良い授業になるよう、日々心がけています。
■佐藤ゼミはどんなゼミですか?
ゼミは、普通の授業とは差別化したいと思っていて、僕が講義をする、という形はとっていません。
2年生のゼミでは、前半は「論理パズル」を解いてもらっています。
演繹法や帰納法などを繰返し使わないと解けないので、思考練習になればよいかと。
僕自身、子供のころからこういったパズルが好きでしたし、パズルだととっつきやすいですよね。
ゼミ生も夢中になってやってくれます。
こういうものをやりながら、論理的な思考の仕方を学んでいってくれたらな、と思っています。
論理パズルを解いた後は、同じルールでオリジナルの問題を作ってもらったり、
解き方を別の学生に説明してもらったりします。
きちんと解ける論理パズル問題をつくることは、そのパズルの本質を理解していないと
できないですし、自分では解き方を理解している論理パズルも、他人に説明するとなると意外と難しいん
です。
単に論理的な考えを並べるだけでは、相手に理解できる形で伝わらない...他人に説明することで、
「論理的な考え方をすること」と、それを「他人に伝えること」は別のことなのだ
とわかってもらえますし、コミュニケーション能力を高めることにも繋がると思っています。
後半では、「論理的思考能力を高める」「コミュニケーション能力を養う」をテーマに、
参考書などを使ったグループワークを行っています。
準備やファシリテーター役を含め、ゼミ生に運営をまかせてます。
3年ゼミの初めは、輪読をしています。
卒論については、個別に面談してアドバイスしたり、定期的にゼミ生皆に向かって進み具合を発表
したりします。
テーマは、それぞれですね。
僕の専門はミクロ経済なので、この分野であれば色々できることがあるとは言いますが、
最終的には自分で興味のあることを研究してもらうのが一番かな、と思っています。
最近だと、日本のアニメやTPP問題、あるいは食品業界だったり・・・
本当にテーマは様々ですね(笑)
こちらも色々と勉強をさせてもらっています。
■ゼミ生に学んでほしい・身につけてほしいことは?
基本的には、
自分で考えて、どうあるべきか、どうすべきか、自ら決めて欲しい
と思っていますね。
そのための土台となるのが、論理的思考であったりコミュニケーション能力だと思っているので、
それを基礎として身につけてもらえれば、と思います。
もちろん、相談があれば自分の経験を踏まえて僕なりの考えを述べますが...
彼ら、彼女ら(学生)というのは、年齢も離れていますし、未熟に映る点もありますが、
それでも19年以上生きてきた経験があって、僕ができないことができたり、
知らないことを知っていたりするので、当たり前のことではあるのですが、
そのことを軽んじることなく接するよう、常に心がけています。
■■■ 先生のお薦め本 ■■■
今回は、先生も折に触れて内容を思い出すようにしていらっしゃるという、この1冊です!
『 ずる ―嘘とごまかしの行動経済学』
著:ダン・アリエリー (訳:櫻井祐子) 早川書房
人は、どんな時にどんな理由で不正(嘘やごまかし)を行ってしまうのか?
よくニュースで、個人や企業の不正事件が取りざたされますが、「そういった事件は、
ごく一部の、とても不誠実な人間――いわゆる『悪人』が引き起こすもので、自分は
そんなことには加担しない」と思っていませんか?この本では、ユニークな実験によ
り、多くの人々が、その場の状況や心理状態次第でいとも簡単に不正や嘘・ごまかし
を行ってしまうことが明らかにされています。また、一度そのような状態になると、
どんどんエスカレートしていくものだとも・・・。著者は、行動経済学の研究者で、
このテーマに関して行った研究の成果を一般読者向けに要約したのがこの本なのだそ
うです。文章が読みやすく、専門的すぎなくてユーモアもあり、読みやすい本という
ことで、ご推薦いただきました。
佐藤先生は、
「この本では、
どうしたら不正やズルから自らを遠ざけることができるか
も研究されているので、将来、自分がそういった不正に手を染めたり、
巻き込まれたりしないように、『自分は絶対大丈夫!』という人でも
読んでみてほしい。
『誠実であること』がいかに難しいか、
『誠実であろうとすること』がいかに尊いか、 再確認できますよ。」
と仰っていました。
ニュースで見るような不正事件は、決して「対岸の火事」ではないということですね。
学生のみんさん、是非、この本を手に取って読んでみてください!
■■■ 今日の一枚 ■■■
今日の一枚は、先生の好きな「お菓子」です!
可愛らしいパッケージのこの和菓子は、先生の故郷である青森県は「おきな屋」さんの
『林檎仙(りんごせん)』という和菓子です。
黄な粉をまぶした求肥の中にリンゴジャムが入っていて、赤ちゃんのお肌のように
柔らかく、ほんのりした甘さがほっとした気持ちにさせてくれる逸品です★
先生は、子供のころからこの『林檎仙』が大好きで、今でも青森に帰省する際には、
よく購入されるのだとか。
青森を訪れた際には、是非お試しください!
ミクロ経済や論理パズル、青森のお話など、興味が湧いた方は、先生の研究室に、
足を運んでみてくださいね。
次回の★Bridge★も、お楽しみに★
チョッパー子