『翼法律研究会2015年度研究報告会』
グーテン・ターク!(こんにちは!)
ESCサポーター主幹の重松歩月(法学部法学科3年)です。
12月4日(金)、『翼法律研究会2015年度研究報告会』が、
翼館3階・303教室で開催されました!
この研究報告会は、法学部の「翼法律研究会」の2・3年生会員が、
日ごろの研究成果を、報告するものです。
今回はみなさんに、ESCサポーター重松歩月による、
『翼法律研究会2015年度研究報告会リポート』
を、お送りします!!!!!!
※翼法律研究会とは、公務員試験や司法試験をはじめとする、
各種資格試験の合格を目指す、法学部の学生の意欲と能力を伸ばし、
各人の目的達成を積極的に支援する、法学部生の夢を叶えるための研究会です!
初めてとなる今回は、憲法・民法・刑法・会社法・民事訴訟法の法分野から、
5つのグループが報告しました!
①.本多啓亮:「憲法改正の限界について」
②.大澤祐宏・竹田伊吹・五味雅司:「無権代理と表見代理」
③.鈴木翔也・森山翔太:「共犯について」
④.山尾太陽・吉田圭介:「取締役の第三者に対する責任」
⑤.金田孝徳・河合卓也:「遺言無効確認訴訟」
①本多啓亮:「憲法改正の限界について」
憲法改正とは、成典憲法中の条項の修正・削除・追加を行い、また条項を新設
して憲法を増補し、意識的に憲法を改変することを言い、社会変動に対応して、
民意を具体化させ、憲法を保障することを目的としています。
しかし、主権の所在や基本的人権の保障・平和主義・権力分立など、憲法の基本
原理は改正することができないため、憲法改正には限界があります!
報告では、憲法改正の限界に関する、さまざまな学説を取り上げながら、「現行
憲法には、どのような問題点があるのか?」を、発表していました。
②大澤祐宏・竹田伊吹・五味雅司:「無権代理と表見代理」
「無権代理」とは、代理権を持っていない自称代理人が、本人の名で行為する
ことを言い、その代理行為の効果は、本人に帰属しません。
「表見代理」とは、無権代理ですが、その効果が例外的に本人に帰属し、代理
権の効果が真実存在するのと同様に効果が生じる制度を言います。
報告では、表見代理の一つ「権限踰越の表見代理」を定める、民法110条中の
「正当な理由」が意味するものについて、我妻説と髙森説を比較検討しながら、
発表していました。
※表見代理の1つとして、民法110条の「権限踰越の表見代理」というものが
あります。
「権限踰越の表見代理」とは、代理権を持つ者が、代理権の範囲を超えて、
代理行為をすることです。この行為を本人の相手方が、代理権の範囲内での
行為であると信じれば、本人が責任を負いますが、これには、我妻説や髙森説
など、さまざまな学説が存在します!
③鈴木翔也・森山翔太:「共犯について」
共犯とは、複数の者が、共同で犯罪を遂行する犯罪行為を言い、
刑法60条の「共同正犯」・刑法61条の「教唆犯」・刑法62条の「幇助犯」
があります。
共犯は、「必要的共犯」と「任意的共犯」に分かれます。
刑法60条の「共同正犯」とは、2人以上共同して犯罪を実行する行為を言い、
共同者全員が、分担して犯罪を実行する「実行共同正犯」と、2人以上の者が、
他人の行為を互いに利用し、犯罪実現のために謀議して、共謀者の共同実行の
意思に基づいて、犯罪を実行する「共謀共同正犯」があります!
報告では、共犯について図で解説し、共謀共同正犯にスポットを当てて、判例
を取り上げながら、「どうして、共謀共同正犯という概念が生まれたのか?」
を、発表していました。
④山尾太陽・吉田圭介:「取締役の第三者に対する責任」
取締役が取引先に対して責任を負う場合、不法行為責任も負います。
取締役が放漫経営をしたことで取引先が損害を被った場合、本来ならば、
不法行為として、民法709条に基づいて取引先に対して責任を負います。
しかし、民法709条は、故意または過失による不法行為に限定して損害
賠償責任を規定していることから、取引先を保護するためには、民法709条
の規定のみでは足りません。
そこで、会社法429条に基づいて、悪意重過失による不法行為に対して、
取締役に損害賠償責任を負わせることで、会社の経済社会に占める地位
及び役員等の職務の重要性を考慮して、取引先の保護を図っています!
報告では、
「取締役の損害賠償責任が生じるのはどのような場合か?」、
「取締役は会社に対してどのような責任を負うのか?」、
「取締役が第三者に対する責任を負う場合、不法行為責任も負うか?」、
「取締役の責任に関して、民法上の責任と会社法上の責任はどのような
関係にあるのか?」、
「民法415条の債務不履行責任と民法709条の不法行為責任はどのような
関係にあるのか?」について、発表していました。
⑤金田孝徳・河合卓也:「遺言無効確認訴訟」
確認訴訟とは、原告の被告に対する特定の権利関係または法律関係の存在
ないし不存在の確認請求の審判を求める訴えを言います。
確認訴訟には、原告の権利または地位に危険・不安が生じ、それを排除する
有効かつ適切な方法である「確認訴訟の利益」があります。
しかし、無益な確認訴訟を排除するため、権利関係について、原告・被告間
で判決することが、有効かつ適切である場合でないと認められませんが、
例外として、「遺言無効確認の訴え」は認められます!
報告では、「遺言無効確認の訴え」に関する判例を取り上げながら、確認訴訟
の紛争解決機能について、発表していました。
【研究報告を聞いてみて...】
発表会には、翼法律研究会の会員や法学部の学生はもちろん、遠藤賢治法学
部長をはじめとする法学部の先生方や、行政書士講座の講師の姿も見られ、
『2015年度法学部ゼミ研究発表会』とは一味違い、非常にアットホームな
雰囲気の中、報告が行われました。
法律は、非常に抽象的な規範であり、条文と睨み合いをしていては、
法律に定められている具体的な内容を理解することができません。
そこで、私たち法学部の学生は、現実に起きた事件において生まれた「判例」
を学ぶことで、法律の具体的な内容を理解することができるのです。
法を学ぶことは、
①事実の認定
②適用すべきルールの確定
③事実にルールを適用する
という、「法を適用する方法を学ぶ」ということです。
また、法を学ぶことで紛争の解決方法・説明の仕方を理解することができます。
そのためには、社会に対する幅広い見識を持つことが必要なのです。
今回の報告会を通じて、「判例の意義とは何か?」、「民法と会社法など、
法律同士の関係はどのようになっているのか?」など、法学部の学生として、
改めて考えました。
ダンケ・シェーン!(ありがとう!)