★Bridge No.3★児島完二先生
学生さんと先生を繋ぐ連続企画★Bridge★、今回の先生は・・・
経済学部教授 児島 完二 先生です。
先生は、現在、2013年度経済学部教務主任をなさっています。
卒業研究発表会やCCS自学自習システム、ゼミポスター展示など、いつも新しい試みの仕掛け人だったりします★
今回、先生のキャラクターを尊重して、1人称は"僕"にしてみました。
■■■ どんな思いをもって、授業(ゼミ)に臨まれていますか? ■■■
入学式に学長が言われましたよね。「君たちは社会人予備軍」だと。
僕は、学生さん達によく言うんです。「僕は、君たちを企業に高く売りたいのだ」と。学生さん達は、僕にとっては仕入れ。ここで付加価値をつけ、社会に送り出す。
教員は、学生さん達が高く買ってもらえるように協力するんです。つまり、年収が高くなるように(笑)。そうなれば、卒業生は税金をたくさん納めてくれるでしょ。
「日本は今、税収不足で困ってるんですよ。これから高齢化社会になりますので、僕は君たちがお金持ちになってくれることを心から願っている」なんて冗談めかして言っています(笑)。マクロ経済学的に見れば、しっかりお金を稼いで、税金として納めてくれると、社会が助かる。そして、自分を生かすことができれば、収入や生きがいにつながります。
だから、頑張って努力することが大事なんです。
毎日の授業というのは、そのための自分への投資であって、そのリターンとして、自分に力がつき、高く売れるようになるわけです。
僕はよく、学生さんたちに「君たち、1回の授業料いくらか知ってる?」と聞いています。
教育の機会費用という話です。1つの授業は、大体2000円~3000円くらいです。それだけのものを無駄にしないようにしてほしいからです。予習・復習ももちろんして欲しいですが、"今"授業に集中すれば、学期を通せば15回授業がありますから、それだけあれば大したものになるはず。
「1つでも2つでも覚えて帰ってください。そのためにメモをとりなさい、覚える工夫をしなさい」と言っています。
その姿勢をフォローするものとして、ICTがあります。僕は、授業中、時間を持て余したら、スマホを使って自学自習しなさいと言っています。
勉強って、無駄は無いので、一生懸命、コツコツと、毎回の授業を大切にしてくださいね!
新しい物事に挑戦する姿勢も大切にしています。
"Prezi"っていうプレゼンテーション用のフリーソフトがあるんです。アメリカ留学中に教えてもらったソフトです。これを「よし、1ぺん授業で使ってやれ!」って試したことがあって。「今日初めてだから失敗するかもしれないけど!」って言いながら授業で使ってみるんです。そういう時は、パッションが湧いてきますね。
そうしたら、僕のゼミ生がそこにいて、彼が発表をプレジでやりはじめて。
その時は嬉しかったですね。
「ああ、伝わったな」って。
パッションが高い時の姿勢というのは、彼らに伝わるんです。
■■■ 授業について ■■■
いかに全体の満足度を高めるかが腕の見せ所!
少人数だと、名前を呼んで話をするようにしているんですが、大人数の授業ではそうはいかない。でも、一方的に黒板書いて・・・っていう授業は、僕嫌いで。授業が終った後にCCS※で授業理解度の確認するんです。Minute Paperでは、学生が何を書いたか、一覧で見られますから。そして、よく書けているものは、授業で誉めるんです。そうすると、誉められた学生は自分のことだと分かる。分かるから嬉しい。周りの学生は参考になる。逆に全然書けていないほうも紹介します。「今日は書けてない人が5人いてさ」というと、学生は「ドキッ」っとする。
こうやって、1対100の授業でも、なるべく1対1の気分になるようにしているんです。
これができるのが、ICTの力ですよね。
(※Campus Communication Service:本学で履修登録から各授業の出席チェック、教採の取得、レポートの提出など、大学生活における全ての活動を支えるICTシステム)
■■■ ゼミについて ■■■
"やって見せ、言って聞かせてさせてみて、そして、しっかり誉める"
――協調性を育て、"人間"を鍛える。
ゼミというのは、アイディアの宝庫で。
僕は、ネットとかe-Learningとか、オンラインが中心と思われがちですが、僕の3・4年のゼミは、15:00~20:00の長丁場なんですよ(笑)面と向かって、顔つき合わせて。
今の若者言葉でいえば"ガチ"です。
警備員さん来るもんね(笑)
昔からそうです。
でも、ちゃんと1人1人見ようと思ったら、こうなっちゃう。ゼミ生全員必ず発表するんです。1学年20人もいますから、参加しないとダレちゃうんです。だから、学生が研究発表する時に、周りの学生同士でフォローしてもらう。こうすると、学生は真剣に聞かないといけなくなりますから。
キツいゼミだってみんな言いますけど、「違うだろ?」って僕は言います。
「ちゃんとやってるだけだろう?」って。
学生にとって発表は、辛いですよ。でも、それでプレゼン力はすごくアップする。時間を測ったり、書記を決めたりして、マネジメントもきちっとやらせる。
ビジネスパーソンとして世に出た時、「なぜこうしなくちゃいけないのか?」ってことを話して、やらせますね。
経済学部では、1年生の時に、「デジタル・プレゼンテーション」「データ表現技法」という科目を履修するんですが、そこで、基本的なパソコン操作のスキルは身につけています。ゼミを始める時点で学生は既にプレゼンはできるんです。
あとは、彼らを、実践的に指導すれば、絶対に力がつく。
場数さえ踏ませてあげれば、学生たちはできるようになります。
ゼミには先輩が来て指導もします。ダメ出しなんかもよくしてもらって。ゼミでの苦労も、よい思い出になってますよ。ベタな人間関係で、時間を掛けてやると、お互い信頼関係が生まれますよね。
ゼミはみんなでやる。
協力性が大事なんです。
僕は彼らのコーチですから、内容よりも、発表してる時の態度や、方法なんかを見てるんですね(笑)。
授業は知識を身につけ、ゼミは人間性を育てる。企業が求めている姿って、昔から変わらないんですよ。自分で仕事がこなせて、コミュニケーションがとれて、マネジメントができて、リーダーシップがあって・・・なことを求めている。ゼミの節目には、自分でどんなことができるようになったかチェックしてもらっている。ルーブリックと言うのですけど。到達目標を明示して、クリアしていく。こうやって"自分ができることリスト"があると、就職活動の時に"これができる!"と言えるじゃないですか。
僕は教育学者じゃないので、教育なんて難しいことは正直よくわかりません。
僕の中にあるのは、経済学。
学生たちという資源を、どう生かしていくか。
どうスイッチを入れてやるか。
・・・僕にはゼミでの夢があるんですけど。
例えば、20人が全員、「先生、僕、卒業研究発表会に出たいです!」「卒論、楽しいです!」って言ってきてくれたら、僕の目標達成かなって。
自分の力で、自分の分からないことが分かる様になったら、嬉しいでしょう?
できないことができるようになる、これってすっごく楽しいでしょう?
大学での学びも同じです。
これが伝えられれば、全員が主体的学ぶようになるわけです。
これが、僕の、究極の夢です。
■■■ 先生のお薦め本 ■■■
先生に、今学生さんたちに読んでほしい本を聞いてみました。
「フラット化する世界」(上)(下)
トーマス・フリードマン著 日本経済新聞社
グローバリゼーションが進み、世界がフラット化する中、インターネットの普及により、とてつもない競争がおこりました。
日本の鎖国化"崩壊"していく中、不幸にならないために、どうすればいいのか・・・?
本の中でフリードマンは、2つのキーワードを挙げているそうです。
皆さんは、この2つ、思いつきますか?
気になったあなた、是非、この本を読んでみて下さいね!
■■■ 今日の一枚 ■■■
★今回の写真は、先生の自慢の一品です★
お話を伺って、児島先生は、新世界を求めて大海原に漕ぎ出す、冒険船の船長のような方だな、と思いました。
常に新しいことに挑戦し、厳しい環境の中でも仲間を奮い立たせ、未来を切り開いていく。ご紹介しきれず割愛しましたが、「学生が手を抜くことは学生の責任ですが、大学が手を抜いちゃだめなんです。」という先生の言葉が、印象的でした。児島先生のゼミを卒業したら、自信を持って、社会という大海原に漕ぎ出していけることでしょう。
興味の沸いた学生さん、是非、先生の研究室を訪ね、直接お話しをきいてみましょう!
さて、次回の★Bridge★は・・・
法学部教授 遠藤 賢治 先生です!
お楽しみに★
チョッパー子