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2017年10月 6日

長期留学報告(華東師範大学 古殿 麻衣)

中国行ったら見える世界が変わった!

2016年9月初旬から2017年6月末まで約1年間、長期交換留学生として中国・上海にある華東師範大学で語学留学をしました。私にとってこの中国での約1年の留学生活は非常に有意義なものであり、自分を今までにないほど大きく成長させた1年であったと思います。

留学を終えた今だからこそ、留学前の自分はあきらかに準備不足だったなと後悔しています。「大学での中国語の講義の評価がすべてS評価だし、現地に行けばすぐに話せるようになって中国人の友達もたくさんできて、充実した留学生活が送ることが出来るのだろうな」と気楽に考えていました。今振り返れば、自分の中国語の力を過信し過ぎていたなと思います。留学初日、中国に着いてすぐにそれを痛感しました。大学の講義で習ったはずの単語や文法が、はじめのうちは現地では驚くほど出てこなかったし、初日に空港に迎えに来てくれた華東師範大学の有志の学生スタッフさんたちが話している中国語は、全く聞き取ることが出来ませんでした。自分が日本で身に付けたと思っていた中国語が、実際には全く身に付いていなかったのだと、留学初日にして天狗になっていた鼻をへし折られ、後悔と反省からスタートした留学生活でした。

時間が十分にあるなら、例えば現地で何年も暮らすということなら、「現地に行けば話せるようになる」も間違いではないと思います。ただ、約1年という限られた時間しかないことを考えたら、「留学は留学前にきちんと勉強して、基礎、土台がある人が行くもの」だと思いました。土台がある人とない人では、スタートラインの違いはその後の努力で縮めることは出来ても、0にはできないと思いました。考えてみれば当たり前のことです。何も分からないまま、自分の本当の実力を知らないまま留学してしまったら、語学力の伸びるスピードに圧倒的な差が生まれるのは当然です。

しかし、留学を終え帰国して留学生活を振り返ると、「充実していた!」と胸を張って言うことが出来ます。それは、現地で悔しい思いをしながら必死に勉強して、留学前の準備不足という反省と後悔をうまくバネにできたからこそ言えるのだろうと思います。始めは、教科書と中国で購入した参考書を使って自分一人で勉強していましたが、話す力が身につかないことに気づいて、大学内の食堂や運動場で自分から中国人の学生に話しかけるなど、あんなに工夫して自分で考えて自分から進んで勉強をしたのは初めてだったと思います。一般的には世界共通語は英語と言われています。当たり前だけど、英語話者はもちろん世界中にいます。しかし、中国語話者もまた世界中にいるのです。それは中国語を母国語とする人ももちろん、華僑として世界中で暮らしている中華系の人々、そして私のように中国語を第二、第三言語として学んでいる人々も含まれます。

留学前、私は「英語は出来ないし、世界中の人と話すなんて無理」「英語が全て」だと思っていました。でも英語に限らず、どの言語でも、その言語を話す人や学ぶ人がいるなら、世界中と繋がりを作ることが出来るのだと、留学をして分かりました。留学をしていなかったら、私は世界中に繋がりを持つことが出来ませんでした。きっと、知り合うことも関わることもなかったであろう国や地域の人々と、繋がることが出来たのです。これは、留学生活で1番大きな収穫だと思います。行きたい国が増えて、その国について知りたいという探求心も湧きました。視野が広がるって、こういうことを言うのだろうなと、今までに味わったことのない感覚を、確かに感じることが出来ました。この感覚が確かにあったからこそ、約1年間モチベーションを保って勉強することが出来たのだと思います。それに加えて、一緒に勉強したクラスメイトや先生方、そして中国人の友人たちには、感謝の気持ちでいっぱいです。中国語を話す訓練が出来たのは、彼らがいたからです。留学が終わっても、連絡を取り続けたいと思える人たちばかりです。約1年という短い時間の中で、素敵な出会いがたくさんありました。そして良い刺激をたくさんもらうことが出来ました。自慢のクラスメイトであり友人です。「あなたと知り合ったから日本に行きたくなった!」と言ってくれた人もいます。私も彼らが住む国に行きたいと思っているし、恩返しが出来たらいいなと思います。中国語をもっと学んで、彼らともっとコミュニケーションが取れるようにと思っています。

留学先で、また帰国してからも必ず聞かれることがあります。それは「なぜ中国を、そして、なぜ中国語を勉強することを選んだのか」という質問です。何度も考えさせられましたが、最終的に私がたどり着いた中国をそして中国語を選んだ理由、それは「中国という国に興味があるから」です。中国の歴史、文化、政治、経済、どれも興味深いなと思います。また、日本で報道される中国と実際の中国の姿には、どれほど違いがあるのかについてはずっと疑問に思っていることです。テレビのニュースやネットニュースを見ていても、「中国」という文字を目にしない日はない昨今の世界情勢。今、中国語を学ぶのは、世界を知るきっかけになると私は思っています。だからこそ、中国という国を選び、中国語を選びました。「中国語を更に学び、中国を学ぶこと。そして世界を知ること。」これが私の留学後の目標です。

今、私はやっと中国語を専攻としている学生、例えば中国語学部や中国語学科の人たちと、同じラインに来ることが出来たところだと思っています。やっと互角に戦えるというか、「中国語を学んでいます!」と言えるところまで来ることが出来たと思っています。しかし、それでもまだ中国語が不自由なく話せるかと言われたら、自信をもってイエスと言えないのが正直な気持ちです。わたしの留学生活は終わりました。でも、留学生活で得た経験や知識を生かすも殺すも、自分自身だと思います。帰国してからは、中国語を聞いたり話したり読んだりする機会は自分で作らないといけなくなりました。帰国後もできるだけ毎日、中国のテレビ番組やドラマを見たり、時間を取ることが出来れば中国人の友人と電話をしたり、中国語に触れることが出来る環境を作っています。帰国直前の自分自身の中国語のレベルより落ちてしまう事がないように、中国で必死に勉強した時のことを思い出しながら過ごしています。留学の前半は、時間がかかって仕方がなかった中国語でネットニュースを見ることも、以前の半分以下の時間でその記事を理解することが出来るようになり、毎日少しずつですが、自分の中国語を確実に伸ばすことが出来ていると思います。これを今以上の質にして、これを続けていけば、留学後の目標として掲げた「中国語を更に学び、中国を学ぶこと。そして世界を知ること。」この目標もまた、少しずつ出来てくると思います。先にも述べたように、留学で得たものを生かすも殺すも自分次第です。これからどうすべきなのか、どのように中国語や中国と向き合っていくのか、それもしっかり頭に入れておくと同時に、自分の専攻である国際協力についても考えながら、日々新しい学びが出来るようにしていきたいと思います。

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