普通って何? - 名古屋学院大学読書ブログ
2025年9月16日 スタッフ
先日知り合いの方からこんな話を聞きました。
周囲の人と何か違う、とずっと感じていて受診したところ、発達障害と診断され薬を処方された。薬を飲んだら初めての場所や初めての経験でも、いつも感じていた興奮やパニック状態にならず驚いたと。普通の人はこんな世界にいたんだと初めて知ったということでした。
自分の感じていることが普通だという感覚は誰もが持っていると思います。
でも普通ってなんでしょう?
ひびのライブラリーにある『不自由な脳』を読みました。
ルポライターとして多忙な日々を送っていた著者が41歳で脳梗塞を発病。
経験豊かな臨床心理士との対談で高次脳機能障害の当事者から見える世界を伝えます。
発病後の処置が早く障害の程度は軽いといわれる中、本人が感じている違和感はかなりのもの。
自分の感情が制御できない、あふれる情報に脳の処理が追い付かずパニックを起こす、など壊れた脳に混乱するのだそう。
ものを持つということはものを落とさずに持ち続けるということ。それは持続的に脳に指令がいっている状態でかなりエネルギーを使っている。それだけで消耗するため別の作業が困難だと。
買い物をして家に入ることは普段特別意識を向けない当たり前のこと―なのにそれだけで疲れ果ててしまう世界を知りました。
普段何気なくしていることは実は脳が適切に処理しているおかげ。
普通と思っていることが普通にできていることに思いを寄せてみませんか?
【図書館スタッフ:フエルトうさぎ】