★Bridge★: 2014年5月アーカイブ
学生さんと先生を繋ぐ連続企画★Bridge★、今回の先生は・・・
外国語学部教授 今仁 生美 先生です。
今仁先生は、2014年5月現在、日本語教員養成プログラムの主任教員であり、大学院外国語学研究科長でもあります。
それでは、先生の思いをご紹介★
■■■ どんな思いをもって、授業(ゼミ)に臨まれていますか? ■■■
一番目指しているのは、学生が人間的に成長してくれることですね。
その一言につきるかな。
それから、みんなで楽しくというのがモットーですね。
ゼミについて
私のゼミは3・4年生合同ゼミです。
「今日は3年生中心」「今日は4年生中心」という具合に振り分けています。
3年生中心の回
3年生中心の時は、ディスカッションをするんです。もちろん、4年生も加わって。課題は1週間くらい前に出します。授業では、クラスを2グループに分けて、最後に3人くらいにどちらのグループが勝ったのかをジャッジしてもらいます。
グループは適当に割り振ります。片方のグループが12~13人でしょうかね。リーダーをお互いに決めて、まず、そのリーダーに主張してもらいます。これがまず最初のプレゼンテーションの練習ですね。
この後に、グループで、相手方に自分たちの意見を主張していくんです。最後に、ジャッジが「今日はこちらの勝ち」というのを決めるんです。
ジャッジは、理由を言わないといけないんです。ずーっと見ていて、どこが良かったとか、どこがいけなかったとか、根拠を言わなくてはいけないから、メモを取ってるんですね。
テーマについても、割とその時のトピックを選びますね。
前回は「集団的自衛権について」だったかな。
賛成・反対にわかれてディスカッションするんです。
賛成側だったら賛成の、反対側だったら反対の意見を、自分が実際に持っている意見に関わらず述べなくてはいけなくて、言葉だけの力で相手を押していく。
この時、リーダーはメンバーに気を遣って、必ず1人1回は発言を促したりしないといけないんです。そして、こういう所を、ジャッジは見ています。「メンバーが自主的に参加しているか」とか「一人だけ目立っていないか」とかね。チェックする項目は沢山あって、それを頭にいれつつ、ディスカッションをするんです。
リーダーについては、この2人の対決が終わった時に、どこが良かったか、悪かったか、私がコメントします。ゼミ生はみんな、やっているうちにリーダーになるので、必ず1回は、私の評価があります。下ばっかり向いていると声通らないとか、分かりやすいとか、分かりにくいとか。
で、下手だった時は、その場でもう一回、同じことをやってもらいます。指示を与えて、もう一回やってもらうと、とても上手くなるんです。
自分でも上手になったと感じるし、聞いているほうも「おお~!」と声が上がったりもします。
やっぱり、他人が上手になっていく過程を実際その場で見て感じるって大事なので。
そんな感じで、あっと言う間に時間がすぎます。
就活の練習にもなるので、4年生になった時に、実際すごく役に立ったって言ってくれる学生もいます。ずっとやっているので、集団面接なんか怖くない(笑)
4年生中心の回
4年生は卒論ですね。
1回につき3人くらい事前に当てておいて、発表をするんです。
発表した後、3年生4年生で、良いところ悪いところを細かい所まで指摘する練習をするんですよ。
喋る時のクセとか、机に手を掛けていたとか、私も気づかないことまで(笑)
普通、悪いところを言われるのって嫌ですよね。
だから、そういう練習を始める前は、「なぜそういう事を言ってもらうのか?」をものすごく丁寧に説明するんですよ。
すごく大事なのでいつも言っているのは、「意地悪な気持ちで言うのであれば、絶対言ってはいけない」ってことです。
悪いところを言う時は、必ず、先輩に良くなってもらおう、仲間を良くしようという気持ちを持った上で言わなきゃいけないということを、繰り返し繰り返し言っています。
そうするとね、声が小さかったとか、黒板の方ばっかり向いてたとか、指摘をうけても自分が発表する際にうまくできなかった点を前向きに修正していけるんです。
今仁ゼミの特徴
時々、卒業生がゼミの時にきてくれます。
自分がゼミを受けた時に先輩が来てくれて刺激になったから、ということで。今年ももう既に5人は来ていますね。だいたい卒業して3年ぐらい経つときてくれますね。30歳超えても来てくれる人は来てくれます。
国際線の機長目指して頑張っている先輩とかね。国際線の日本人女性機長って、今、ゼロなんですよ。だから彼女は、日本初の国際線女性機長になりたいんですね。国際線の機長って、長い道のりなんですよ。まず、個人フライトの免許をとって、次にプライベートジェットのパイロットを経験して...副機長を経験して、機長を経験して、最低でも10年くらいかかるらしいんです。彼女、アメリカで借りている部屋の暖炉に操縦桿をとりつけてコックピットにレイアウト変えちゃったって(笑)帰宅したらまずそこに座るんだそうです。「先生、ちゃんと機長席側なんですよ!」なんて言ってね。
キラキラしてすまよ。
秋学期にゼミに来てくれるんですけど。
これはね、ゼミ生にとって、本当にモチベーションを高めてくれます。
ゼミ生も「めっちゃやる気になった!」って言いますね。
本当に思うのは、私は教えてるんじゃなくて、教わっているんだな、ということです。
ありがたい。
かっこつけるんじゃなくて、本当に。
教えてもらってる。モチベーションを高めてもらってる。
自慢していい事が1つあるとすれば、卒業生が近況を知らせてくれる中で、「ゼミで学んだことが社会に出てから生きている」と言ってくれることですね。
「プレゼン誉められた!」って言ってくる子も結構います。
ゼミで学んだことが社会に出てから役立っているというのは、嬉しい限りです。
■■■ 先生のお薦め本 ■■■
『ちょっとピンぼけ Slightly out of Focus 』
ロバート・キャパ 文春文庫
スペイン内戦やノルマンディー上陸の戦争写真家として有名な著者ですが、人柄がとっても魅力的で、それが皆を惹きつける人物なのだそうです。
恋人は戦車に轢かれて死亡し、自身も地雷で命を落としたキャパ。そんな人生の大きな波に揉まれる中でも、シャレを忘れず生きた彼が、写真を撮った時の記録の形式で書いたのが紹介作です。この本を読んで、若いみなさんにこそ "こんなカッコイイ生き方があるのか!"と感じて欲しいと、ご紹介いただきました。
■■■ 今日の一枚 ■■■
今日の一枚は"研究室の中で一番大事なもの"!
★エゾリスのぬいぐるみ★
今仁先生が、札幌学院大学で共同研究をした際に生協で買った、札幌学院大学のマスコットキャラクター・エゾりすの「ブラウニー」ちゃんです。
言語学者である先生にとって、アイヌ言語を研究したという事は、とても大きなことだったとか。
先生は、このぬいぐるみを見ると、アイヌの事を想うのだそうです。
***
先生のお部屋の入り口には、卒業していったゼミ生の方の写真が飾られていました。
「私も頑張らなくちゃー!って、元気をもらっている。」
そう仰った先生ご自身も、周りの人間を楽しく元気にしてくれるお人柄でした。
興味が湧いた学生さんは是非、オフィスアワーに今仁先生を訪ねてみましょう!!
次回の★Bridge★も、お楽しみに♪
チョッパー子
図書館と教育学習センターのコラボが実現し、図書館の入口のすぐ左手に、
★Bridge★で、先生がご紹介下さった本のコーナーを設けていただくことになりました!
じゃ~ん★
ブログで紹介した本をみなさんに読んでいただくことができ、チョッパー子も嬉しいです!
今回は、濱先生、湯浅先生、大石先生、児島先生の紹介して下さった本が並んでいます。
この機会に是非、先生のおススメ本を手に取ってみてくださいね♪♪
今後の★Bridge★も、お楽しみに★
チョッパー子
学生さんと先生を繋ぐ連続企画★Bridge★、今回の先生は・・・
経済学部准教授 秋山 太郎 先生です。
それでは早速、先生の"思い"をご紹介します★
■■■ どんな思いをもって、授業(ゼミ)に臨まれていますか? ■■■
自立した人材を育てる
学生には、自分で物事を考えて、自分で判断する、自立した人材になってほしいな、と思っています。
ですから、学んだ知識を使って考えることや、学んだ知識を使ってoutputをする機会をたくさん作ろうと考えています。
『学生論文コンテスト』参加で養う自立のノウハウ
僕のゼミでは、必ず『学生論文コンテスト』に参加させています。
アイディアの時点から自分たちで考えて、3・4人でグループワークで行います。
入賞を目指して頑張るわけですが、なかなか上手くはいきませんし、正直、なんとか間に合わせたような論文もあるんです。でも、出来あがりがどうということではなく、"これが自分たちが出した結果だ"というものを学生自身に持ってもらいたいんです。
もっとどんどん手を掛ければ、良いレポートができるかもしれないですけれども、他人がそれをしてしまうと、学生のためにはならない。学生論文コンテストに参加して、「たった一つのレポートでも、こんなに自分はできないんだ。文章を書くということは、難しいのだ。」と自らが気づくことが大事だと思うんです。
もちろん、アドバイスはします。
「こういうところが弱い」とか「こういう文章の書き方は良くない」「レポートを作成する時はこういった手続きを踏んだ方が良い」といったノウハウは教えますが、それさえ分かって自立していれば、あとは自分で進められますので、行き詰まった時には手を差し伸べるという形で、これを1年間かけて行っています。
学生には厳しいと思いますが、「学生時代に何をやっていたか」といった質問に対する材料には絶対になりますから、多くの学生は、そういう面で「良かった」と、よく言いますね。
授業でも、大切にしているのは、自ら考え、outputする機会
ゼミの学生に教えるようなことを、一般科目で教える学生にも、授業の中で教えられたらいいなと思っています。授業が一方的になると、あまり学生のためにならないので、ゼミと同じく、ノウハウは教えますけれど、自分でやりなさい、自分で考えなさい、結果は自分で作りなさい、というスタンスで行っています。
科目にもよりますが、応用科目では、実際に学生たちに、毎回自分で考えてもらった内容を(書かせて)集めて、他の学生が書いたものとあわせてスライドで紹介しています。最終的には、全く何もないところから、自分のアイディアを出すというレポート課題を課しています。
基礎科目も、学んだ知識を使って、「これをちょっと考えてごらん」といったことを学生にさせていて、まずは、学んだことを使ってみて、自分で考えてみる、という機会を与えるようにしていますね。要するに、知識を得て、それを使わずに、単位を取った後何も残らないということは避けたいな、と。
意外に、学生は文章を書いたことが無くて、それが難しいということにすら気づいていない場合があるんです。
毎回、最終レポートを提出した後に、学生に聞くんです。
「今、4月の段階に戻れるならば、もっと良いレポートが書けると思うか?」って。
みんな大抵、「そう思う」と言います。
大学とは、自立した人間になるために自分を磨く場所
アクティブ・ラーニングが出てきたのは最近の話で、僕が学生だった頃には、一方的な授業がほとんどでした。知識として学んだものを外に出す機会というのは、卒業論文くらいだったんです。
僕が大学生だった頃と、今の学生に求められているものはかなり違って、今の学生さんには、自分で考え、行動できる能力が、より求められていますよね。社会人になった時に、どれだけ"無いもの"から考え出せるか頭を使って考えないといけません。
自分で考えられない人というのは、自分で判断ができないですので、他人に依存してしまうことになりますが、そうなった時に一番損するのは自分です。
逆に、自分の頭で考えて行動する能力をつけてあげれば、どんな環境でも、評価されると思います。だから、そういう力をつけて、大学を出てもらいたいですよね。
自分が大学でやらなかったからこそ、なおさらそう思うのかもしれません。
大学というのは、自立した人間になるために自分を磨くということができる最後の場でもありますし、それが大学の役割・使命だとも思っていますね。
■■■先生のお薦め本■■■
今回は、ジャンルの違う2種類の本のご紹介です!
『思考・理論・分析「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践』
波頭 亮 著 産業能率大学出版部
最近、様々なロジカル・シンキングに関する本が出版されていいますが、先生が読まれた中では、この本が一番うまくまとまっており、物事の整理の仕方や考え方がしっかり身につく内容なのだそうです。基礎セミナーのテキストにも、この考え方を反映させているのだとか。
学生さんには、是非買って読んで欲しい一冊とのことです!
『再生巨流』 楡 周平 著 新潮文庫
こちらは、文庫本で読みやすい、ビジネス小説です。本の中で展開される事業がとてもリアルで、しかも緻密なのだそうです。アイディア自体もとてもおもしろく、「物事を考えるということは、そういうことなんだ!」ということがよく分かり、大学を出る前に読んでいて損の無い一冊なのだとか。
アカデミック本派のあなたも、小説派のあなたも、是非、好きな方から読んでみて下さいね!
■■■今日の一枚■■■
今回は、先生の"宝物"の写真です。
★大学祭で、当時3歳だったお嬢さんが作ってくれたペン立て★
「やっぱり娘の作ったものは捨てられない」と優しい笑顔で笑う先生は、とっても素敵なイクメンでした♪
お話を伺って、秋山先生は、優しく、それでいてしっかりと学生さんに向き合う方なんだな、という印象をうけました。自分が得た知識を、実際に使ってみる練習がしたい学生さんは、是非、秋山先生の授業を履修してみてくださいね。
次回の★Bridge★も、お楽しみに★
チョッパー子