★Bridge★No.43 廣 美里 先生
■バレーボール全日本女子の強化選手だったと伺いましたが。
大分昔の話ですが(笑)もともとは私のファンレターから始まったんです(笑)
■ファンレターから?
私は、もともと陸上をやっていたんです。
バレーボールをやると決めたころ、あるチームの選手にファンレターを送っていたら、その選手が自分のチームの監督に「こんな子が名古屋にいるらしいよ」と話してくださったみたいで。返事がくると思わないじゃないですか、ファンレターなんて。なのに、自分がファンレターを送っていた選手のチームの監督さんから手紙が来て...「なんで監督!?」って驚きました(笑)よく読んだら、選手スカウト的な内容で。
私がそのファンレターに「妹もいる」と書いたから、妹も巻き込んで。まぁ妹は怒りますよね、「お姉ちゃん、私に無断で勝手に私のこと書いたの!?」って(笑)
■当時妹さんはバレーをされていたんですか?
「お姉ちゃんがバレーするなら、私もしようかな」くらいのノリですよね(笑)
だから、バレーで苦しい場面になると、よく怒ってました。
「私はバレーする気なかったのに、お姉ちゃんがっ!」って(笑)
■スポーツの得意なご家族なんですね。
うちは、身長が高い家系なんです。
両親が、「うちの子たちは大きくなるから、長身でスポーツができないのはかわいそうだ」という発想だったようで、小さいころからよく運動をしていました。
でも、スポーツは気持ちいいですし、今振り返ったときにスポーツというキーワードで人生を歩んでこられたのは本当に良かったと思っています。
いろんなさわやかな方とも出会えますし。
先生は、TULLY'S COFFEEにはまっているとのこと
教職を目指す学生には、中学校や高等学校といった学校現場で教員として働くために大事なことを少しでも伝えられたら、と思っています。
実技に関して言えば、自分の携わる競技の特性や面白さについて、少しでも深く理解してほしいと思っています。
どんなスポーツをするにせよ、「ああなりたい!」という憧れがあるから、続けられるんだと思います。ですから、本人にとってそれが本当に面白くて、楽しくて、ずっと続けていきたいと思えるスポーツになってくれたら嬉しいですね。
■スポーツの良さとは?
1つの目標に向かってみんなで競いあえるという点で、スポーツは非常にいいコミュニケーションツールです。ルールを共有していれば言葉がいらず、どんな国際感覚でも共にプレーできますし、ルールを少し変更すれば、弱い人でも強い人でも一緒にコラボできるという特性があります。
「できる・できない」、「早い・遅い」、「強い・弱い」に関わらず、そこに集まった人たちがその種目を楽しめるといいよね。
■教える側になって苦労された点は?
私は、以前高校の教員をしていました。
女子を教えることが多かったのですが、私がバレーをやっていたことを知っている生徒には「バレーをやってきた先生だからできない子の気持ちがわからないんだよ」という目で見られながらのスタートになることがありました。その垣根をどう崩していくのか、ということは、苦心した点です。
それと、「そんなことはできて当たり前でしょ。」とは絶対に言ってはいけないということです。
先生の一言や一つの事情でスポーツ嫌いになることもありますので、嫌いになるきっかけを絶対に与えないように気をつけますね。もちろん、どれだけ気をつけていてもうまくいかないこともありましたし、失敗ばかりですけれど、それが理想ですよね。
■先生のご指導で、学生がやる気を出すきっかけになった例はありますか?
やる気がでてきた、という定義が難しいですけれど、スポーツが苦手そうだった学生が、サボることなく授業に参加するようになったのを見ると、嬉しいですよね。
きっかけはわかりません。
後から聞くと、へー、そういうきっかけで?という理由もあって。
「先生のあの言葉がきっかけだったよ。」とか「先生とこういう風にしたとき初めて分かったよ。」とか、色々なパターンがあるので、『これをやればうまくいく』ということはないです。
基本的にスポーツを好きになってほしいので、「下手だ」とか「ダメだ」ということを言わないようにしているんです。最後の授業が終わる時に、学生が「よかった」という顔をするのが見たくて、ああでもない、こうでもないと考えながら授業をやっています。
いつでも豆が挽けて、おいしいコーヒーが飲めます★
■ゼミはどんな風に運営されていますか?
私のゼミは、将来教員になりたい学生や、スポーツの中でも特に球技に興味がある学生が多いです。コミュニケーションをとりながら、議論してお互いに高め合っていけるゼミになればいいなと思っています。気軽に研究室に集まって気軽に話せるような機会を大事にしたいですね。
ゼミの時間は、なるべくゼミ生同士コミュニケーションがとれるようにしています。
スポーツイベントをみんなで見に行くこともあるんです。キリンカップ(サッカー)やバレーの試合を見に行ったこともあります。
せっかくなので、大学の中だけでスポーツをするのではなく、スポーツ観戦から得られるものがあるといいと考えています。スポーツの生観戦は楽しいですから、みんなはしゃぎますね。
■球技に興味がある学生が多いという事ですが、球技は団体競技ですよね?
どのように研究ご指導されるのでしょうか?
例えば、ゲーム内容の分析は研究方法の1つですね。
勝つチームのデータを分析して、勝ち負けにどんな傾向があるか、どんな技術が優れていると勝率が高いのか...そういったことをビデオなどの資料から分析するんです。最近では、インターネット上にも参考になる映像が沢山ありますし、球技は戦術研究をすると面白いですね。
また、体育の教員になりたい学生もいるので、中高生の運動部活動について、教員の多忙化や行き過ぎた指導による体罰などの問題をどのように是正して言ったらいいのか?というところに焦点を絞って研究してみたりします。
■先生のご研究について教えてください。
私は、スポーツをする学生が主体的に・自主的に活動することが、自信を持っていいパフォーマンスをする近道だと思っています。よいパフォーマンスをするために、メンタル面を含めて、周囲がどのように選手のサポートしたらいいのか、といったことを研究しています。
スポーツにも色々な弊害がありますし、やればやるほど体にも心にもストレスが溜まることがあります。でも、スポーツをすることによって、自己肯定感や自尊心を育むことはとても大切ですし、スポーツを通じて素晴らしい人が育ってくれたらいいという思いが常に私の中あるから、この研究をしているのだと思います。
■今名学生に伝えたいことは?
ルールや競技の特性は大事ですね。体育の教員になりたい学生は、そういったところを分かって卒業してもらいたいですね。
せっかく名古屋学院大学のスポーツ健康学部を卒業するので、スポーツと一生涯関わることができるための学びをしてほしいと思います。
私は今、バレーボール協会の事務局長をしています。運営にあたって、多方面の様々な方たちにお手伝いをしてもらっています。300人くらいでしょうか。月~金曜日はお仕事を頑張って、土日は各種の試合で審判をしてくださったり、会場へ行ってコートを作ってくださったり、小学校に出向いて指導してくださったり、様々な形で協力してくださるんです。
スポーツを共通項として、社会人としての仕事とは違う場所で競技の運営・普及に携わり、楽しい出会いと繋がりがうまれているんです。
本学の学生たちも、最初はプレイヤーかもしれません。でも、将来的に支える側・育成する側と形を変えて、そのスポーツに生涯たずさわっていける、そんな風になってほしいですね。
■■■ お薦め本 ■■■
「スラムダンク勝利学」
辻秀一著 集英社インターナショナル
漫画の中には、スポーツ指導のエキスがある!
「この本を読んでから本家のスラムダンクを読んだら、めちゃくちゃ感動して、
良くできているなと思いました。スラムダンクは名作!」
ということで、この一冊をご紹介いただきました。
■■■ 今日の一枚 ■■■
今日の一枚は、"先生のはまっているもの"
TULLY'S COFFEE にはまっているという廣先生。
年初めに売り出される福袋には、干支の絵の描かれたマグカップが入っているのだそうです。
シンプルで優しい色合いがかわいい♪
お勧めはピッコロバンビーノとハウスブレンド。
なかなか店舗が無いのが残念とのこと。もっと店舗が増えるといいですね。
できることもできないことも全部含めて、自分が今すべきことに全力で向き合ってこられた先生お話は、とても面白くて、聞いていて清々しく、かっこいいです。先生は学生のみなさんに伝えたいことをご自分で体現なさっているな、と感じました。
廣先生のように、自分が一生携われるものに出会いたい学生のみなさん。先生の研究室の扉をたたいてみてはいかがでしょうか。
次回の★Bridge★も、お楽しみに!
チョッパー子4