★Bridge★No.31 小林 甲一 先生
学生と先生を繋ぐ連続企画★Bridge★、今回の先生は・・・
現代社会学部 小林 甲一(こばやし こういち)先生です。
小林先生は、現代社会学部の学部長です(2016年10月現在)。
授業は、「現代社会入門」「社会政策論」「社会保障論」「現代社会と福祉」など、社会政策や社会保障に関連する科目を担当されています。
経済学部の3・4年生のゼミも担当されていますよ!
それでは、先生の思いをご紹介★
■■■ どんな思いをもって、授業(ゼミ)に臨んでいらっしゃいますか? ■■■
■自分で考えられるようになるために伝えたい、たった1つのこと
最近は大学のあり方もずいぶん変わってきました。
小・中・高の積み上げがあっての大学であり、学生にとっては最後の教育期間なんですね。
学生の周りには、もう既に社会に出て働いている人もいます。
自分で選択したつもりはないかもしれないけれど、「大学で学ぶ」という大きな選択をして、名古屋学院大学にいるわけです。
そういう意味では、大人というか、高校までとは違う学び方をしてほしいと思っています。
難しいことかもしれませんが、僕はそれこそが大学の学びのキモだと思っているので、主体的に学びたいと思う気持ちを引き上げるよう心がけています。
たとえば1つの科目があるとして、この講義の全体内容がこうで、まずこれ、次にこれ...という流れがあって...まぁ授業ってそういう感じですよね。
だけど、僕の授業には、どの授業にも、「これだけは1つ、どうしても伝えたい」ということがあるんです。
これが大事なんだよ、というところはくり返し伝えているし、まずはそこさえ押さえてくれればいいと思います。
授業全部を頭に入れなくてはいけないわけではなくて、大事な部分の枝葉はいくらでもあるのだけれど、つきつめていくと、1回の授業で1つのこと..."これだけは理解してもらいたい"、ということに的を絞って授業に臨んでいます。
大学で学んでいることは、たとえば授業を録音して、その内容を全部覚えたら学んだことになるのかというとそうではなくて、1つのことを理解すれば、他の多くのことを自分で考えられるようになる、というか...僕が授業で"これだけは伝えたい"と思ったことが理解できたら、僕の授業だけではなくて、別の色々な講義で伝えたいこともある程度わかると思います。
逆に言えば、必要のない知識はいらないし、"これさえ知っていればいざという時に応用できる"...そういうことを伝えるように、意識して授業をしていますね。
■社会保障って、おじいちゃんやおばあちゃんのもの?
僕は、社会保障や社会政策を教える授業をしているので、こんな話から授業を始めることが多いです。
二十歳の誕生日を迎えた学生には、国民基礎年金の納入振込用紙が束になって届いたでしょう。みんな、お財布の中には、保険証を持っていると思います。
「じゃあ、医療費の支払いは、何で自己負担3割で済んでいるの?」
授業の後半になると、医療保険の話をしますが、
「医療って、なんで"保険"で運営しているんだろう?」
これにはポイントがあって、「こういうものなんだ」と分かっていれば、将来、社会人になって、ふっと「こういうことだったのか!」と実感する瞬間があるかもしれません。
それを分かってくれれば、大学としては「社会保障論」という授業をした甲斐があった、という気がします。
僕はそういう気持ちで臨んでいますね。
■社会保障や社会政策といった分野の面白いところは?
この分野の面白いところ・・・それは、"そう簡単にはわからないところ"かな。
なんで分厚いミステリーや推理小説が最後まで読めるんでしょうか?
それは、「わからないこと」に面白さがあるからでしょう?
最初から1行で答えが書いてあったら、面白くないから誰も読まない(笑)
読み進めていくうちに、途中からだんだんわかってきて、「あ、こういうことなんだ!」と理解できるから面白い。
それと同じなんじゃないかな。
特に社会保障や社会政策っていうのは、なかなか一筋縄ではいかなくて、答えが1つではない。
ある人は「もっと社会保障が必要だ」と言うし、またある人は「いや、もうこれ以上社会保障は必要ない」と言う。「社会保障なんかゼロでもいい」という人もいる。
考え方は十人十色で、それに対して私たちの社会はさまざまな答えを出してきたけれど、でもそれも間違っているかもしれない。
それをみんなで考えてみようね、と。
社会保障の"わからない"要素というのは、この分野の「広がり」にあると思うんです。
社会保障を考えるということは、お金や人はもちろんのこと、生命そのものの話とか、生きるってどういうことで、社会ってどういうもので、どうしてこの人のためにこんなことをしなくちゃならないのかとか、本当にいろいろなことを考えなくちゃいけないですから(もちろん他の分野だってそうなのだろうけれど)。
たとえば、今、目の前に、横たわって動けず、明日をも知れない人がいたとします。
この人に対して、社会は何をすればいいのか。
お腹が空いていれば食べ物を、
病気なら医療を。
そして、この人が元気になったら、自分の生活を取り戻すにはどうしたらいいのか。
社会保障や社会政策って、そこから始まるんですよね。
でも、元気になってきたこの人は、実はもう自分でできることでも、ズルをして社会に頼ろうとするかもしれません。
人間って善いところばかりじゃないですから(笑)
「日本が今のような社会保障制度なのは何でなんだろうか」とか、
「"こうしたら良いじゃないか"と思うことが、なんでできないんだろうか」とか、いろいろ考えてみる。
できないことを考えても仕方ないじゃないか、と思うかもしれないけれど、できないことにはやっぱり理由があるんだよね。
そういう中で、いろいろなレベル、さまざまな視点でものごとを考える。
この「広がり」こそが、この分野の面白いところじゃないかな、と。
そういったことを考えて感じられるきっかけになるよう、意識して授業していますね。
■先生のゼミは、どんなゼミですか?
大事なことを指導するのがゼミの役目だと思うんですけれど、僕は、割と横からというか、友達同士に近い関係がいやではないので・・・・、大人同士として一緒に勉強する、ということを大切にしたいと思っています。
ゼミ生とカラオケやボウリングにも行きます。
ゼミではボウリング大会なんかもしますよ。僕、結構上位に入るんです(笑)
ゼミを持っていると、学生と一対一、あるいは数人でじっくり話をすることがあります。
そんな時は、「面白いなぁ」と感じますね。
この前、学修ガイダンスでも公言したのですが、学生には「僕の研究室に彼/彼女を連れて来て紹介すると、ランチを御馳走してあげますよ」と言っています(笑)
そうは言っても、実際に紹介しに来る学生はそんなにいませんけれど...でもこの前、彼女を連れてきた学生がいて。3人でランチして楽しかったですね。来て喜んでくれる子は、いい子なんだろうと思うし、ゼミ生の普段とは違う側面も見られて面白いですね。
こういうところが、僕のゼミの雰囲気の1つかな、と思いますけれどね。
もちろん、そんなことばかりやっているわけじゃないですよ!(笑)
3・4年ゼミ(経済学部)では社会保障をテーマにしていて、テキストやプリントを一緒に読むかたちで進めています。
良いテーマをみつけるとグループにわかれて話し合ったりもします。
たとえば、社会保障に必要なお金は税金で納める場合と保険料で納める場合があります。これにはそれぞれメリット・デメリットがあって、「じゃあ、何で医療は保険料で、その他は税金なのか、この2つを比較してみましょう」とか。
2年生(現代社会学部)では、自分の町の課題を見つけて発表してもらったり、白い紙に人間(自分)の形を書いて、「自分を表現してください」ということを授業で行うことがあります。
最低10個くらいの項目で表現してもらって、ある人は、頭の部分に「彼女」って書いたり、「バイト」って書いたり、文字の大きさも大きかったり小さかったり、場所がそれぞれだったり・・・面白いですよ。
私は人間観察も好きなので。
■名学一、大学にいる先生?
僕は、大学にいる時間が長いんですね。
もしかしたら名学一かもしれないなぁ。
瀬戸キャンパスに勤めていたころは家も近かったですし、そのころから大学に居る時間は長かったです。
そのおかげで、この前は、突然やってきた卒業生にも会うことができました。
アポもなくて、会えるとは思っていなかったらしくて、喜んでくれましたね。
よく研究室にいますので、連絡をもらえれば結構会えますよ。
■■■ 先生のお薦め ■■■
今回は、"今、学生に聞いてほしい音楽"のご紹介です!
お姉さまの音楽好きの影響で、昔からよく音楽を聴いていたという小林先生。
今、先生世代が番組編成権を持っているので、テレビ等で流れてくる音楽がドンピシャでストライク!ということが多いのだとか。
歌詞やテーマが心に響く曲がお好きで、通勤中にもよく聴かれているそうです。
そんな先生のお好きな曲をご紹介。
『青春の影』チューリップ
先生の、青春時代の思い出の一曲。
『Progress』スガシカオ
最近のお気に入り。
NHKの番組"プロフェッショナル 仕事の流儀"の挿入歌で有名です!
『Beautiful』Superfly
最近の歌も好きです!世代を問わず、良い曲は良い!
『人生の扉』竹内まりや
お姉さまの影響で聴くようになり、世代を追ってのファン。
最近は、こういう歌が身にしみます!
好きな曲はありましたか?
先生は、もっといろいろな曲をたくさん聴かれているので、自分の好きな音楽のお話をしてみると、盛り上がるかもしれません★
■■■ 今日の一枚 ■■■
今日の1枚は、 " 先生の集めているもの " です!
先生方の研究室は、正方形に近く、ちょっと配置に工夫が必要な形になっています。
小林先生は、通路、作業スペース、本棚や机などの配置を綿密に計算し、理想的な研究室に仕上げたのだとか。(なんと、小林先生の研究室は、縦横と物の絶妙な配置と機能性から"モデル研究室"と呼ばれているんです!)
そんな限られたスペースを飾り、有効に生かすために役立つのが、今回ご紹介するマグネット!
先生の研究室には、世界各国の面白いマグネットが沢山あります!
中でも先生のお気に入りは、"アンぺルマン"という、ドイツはベルリンのキャラクターのマグネット。
ベルリンの横断歩道の信号機からきているというアンぺルマン、サッカーボールマグネットと並んでいて、まるで、先生のお好きなサッカーをしているようです。
窓際に並んでいて、とってもキュートなんです!
このマグネットには、処理しなければならない書類が挟んであるのですが、アンぺルマンの色形によって、案件の緊急度が分かるようになっているのだとか。
可愛い上にわかりやすくて、流石!!こんなところも機能的です。
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社会保障や社会政策に興味がある方はもちろんのこと、1枚目の写真のサッカーボールにビビッ!ときた、音楽や美味しいお料理が好き、ドイツに興味がある、自分はマグネットにはちょっとうるさい...なんていう学生のみなさん。ぜひ、小林先生の研究室の扉を叩いてみましょう!
先生は、大学にいらっしゃることが多いそうなので、オフィスアワーの時間以外でも、お話できるかもしれません(でも皆さんも大人ですから、ちゃんと事前にアポをとるようにしましょうね!)。
機能的なお部屋のレイアウトや、数々のマグネットも見せていただきながら、お話や相談をしてみてはいかがでしょうか?きっと楽しいですよ!
次回の★Bridge★も、お楽しみに!
チョッパー子