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2012年4月11日アーカイブ

 2012年4月1日(日)。名古屋国際会議場・センチュリーホールにて,2012年度の入学式が行われました。当日の天候は,晴れのち曇り。「陽春」という言葉がピッタリする柔らかい日差しを肌に感じさせる穏やかな一日となりました。前日が春の嵐で,寒さと雨で凍えるような日でしたから,うって変わった春暖に「今日は,何かいいことありそうな」とスキップしたい気分です。
 名古屋キャンパスの周辺では,熱田公園,堀川の川岸,国際会議場などに林立する桜の木々の蕾が,一斉に膨らみ始めました。気象台によれば,今年,名古屋の桜の開花日は3月30日でしたから,入学式シーズンに付き物の桜の花が,今年は絶好のタイミングで開花し始めました。
 ところで,本学は,世間に比べて桜の花を少し長めに愛でることができます。これは,本学が名古屋市と瀬戸市とに2つのキャンパスを抱えていて,瀬戸キャンパスの桜の開花時期は名古屋のそれに比べて10日から2週間ほど遅いからです。4月第1週目では,瀬戸キャンパスの桜の蕾はまだまだ固い状態でした。今年も瀬戸キャンパスでは4月下旬まで桜の花見を楽しめそうです。

 

 さて,入学式。近年,大学の入学式や卒業式に列席される保護者の数が膨らむ傾向にありましたが,今年は入学式が日曜日と重なったためか,それに輪をかけて多くの保護者の姿が目についたように思います。
 今年は,学部生1,160名,大学院生66名,留学生別科生11名を新たにNGUファミリーとして迎えることができました。真新しいスーツに身を包んだ多くの新入生は,少し緊張気味で式典に臨んでいました。3月の卒業式は,卒業生も保護者の方々もリラックスして,少しザワめいた雰囲気ですが,4月の入学式は一転ピーンと緊張の糸が張った状態で式が進みました。
 新入生たちには,改めて歓迎とお祝いの意を表します。おめでとうございます。若者の特権を活かして,自らの可能性を広げるために,様々なことに挑戦してください。また,保護者の方々には,お子様たちを,本学が責任を持って,有為な若者に育てあげることをお約束したいと思います。
以下は,入学式で,式辞として話た小生の挨拶です。

 

2012年度 入学式式辞

 

 新入生の皆さん,名古屋学院大学へのご入学,おめでとうございます。ご来賓の皆様,保護者の皆様,お忙しい中,ご臨席いただき誠にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
 今日,名古屋学院大学は,学部生1,169名,大学院生66名,留学生別科生11名,合わせて1,236名ほどの,ニューフェイスを迎えることになりました。
 私たち教職員一同は,皆さんがこの大学で学ぶことを通じて,人間として確実に成長し,立派な社会人となって巣立っていくために,全力をあげて支援することをお約束します。そして,卒業時には,名古屋学院大学で学んで良かった,この大学を選んで良かった,と必ずや思って貰えるものと確信しています。
 さて,皆さん,昨夜はよく眠られたでしょうか? 入学式を前に,人生の新しいページが始まるという不安と期待がない交ぜになった高揚感で,良く眠られなかったという人もいるかと思います。私の方は,NHKの「ラジオ深夜便」を聞きながら,徹夜でこの挨拶の原稿を準備していました。ですから,全く寝ていません。新しく名古屋学院大学ファミリーの一員となられた皆さんに,伝えるべき内容を選んでいるうちに,朝を迎えました。
 今朝は,昨日と打って変って,春の暖かい日差しを肌に感じることができます。皆さんの新しいスタートを祝っている様です。
 準備してきた話をします。三つあります。一つ目は,名古屋学院大学の「建学の精神」,二つ目は,「大学での学び方」,三つ目は,「社会人予備軍としての心得」です。

 

 それでは,一番目の「建学の精神」についてです。建学の精神とは,大学を設置する際に,創設者たちが「この大学でこういう人材を育てたい」という熱い思いのことです。
 名古屋学院大学は,「敬神愛人」を建学の精神とするキリスト教主義の大学です。「敬神愛人」は「神を敬い,人を愛する」と書きます。
 昨年,私たちは,戦後最悪の自然災害となった東日本大震災を目の当たりにしました。そして,技術文明が栄えた現代社会でも,人知の及ばぬものがあることを,改めて知らされました。「神を敬い」は,まさに,自然の脅威や人知の及ばぬものに対し,素直に畏怖を覚えよ,ということでしょう。
また,「人を愛する」の方は,言うまでも無く,「汝の隣人を愛せよ」ということです。
 つまり「敬神愛人」は,学ぶ者も教える者も,自らが及ばぬものの存在を怖れ,敬いなさい。そして自らは傲慢になることなく,自己中心的になることなく,謙虚になって,人に優しくありなさい。そうすれば,自らの人格陶冶と人類の平和や福祉が実現される,というものです。名古屋学院大学に学ぶ者は,是非,この「敬神愛人」の四文字熟語を座右の銘として頂きたいと思います。
 これは,皆さんにキリスト教徒になれ,と強要するものではありません。しかし,この精神は,私たちが生きていくうえでの人生哲学そのものです。日本の「武士道の精神」にもこれと通じるものがあります。礼儀を重んぜよ,相手を思いやれ,「自分より相手が先」といった人生訓です。
「敬神愛人」。覚えてください。

 

 それでは,二つ目の「大学での学び方」についてお話ししたいと思います。
 大学生としてあるべき学びのスタイルは,高校までのそれと大きく違います。大学生の学びのスタイルは,自ら求めて学び,自ら考え,自らの意見を持つ,ということです。高校までは,決められた科目をひたすら覚える,「勉強イコール暗記」であったでしょう。実際,暗記能力が高い生徒ほど,試験の成績は良く,優秀だと言われてきました。しかし,大学はそうではありません。求められる学びのスタイルは,自ら学ぶ対象を求め,獲得した知識を活用して,自ら考え,それを表現し,実践することです。
 この理由は,それが大人になることであり,人格を磨くことであるからです。また,就職試験の面接では,自らの経験と,それを基にした自らの考えが,問われるのです。皆さんは,社会人一歩手前の,社会人予備軍であるという自覚をもって,大学生活を送って欲しいと思います。

 勿論大学は,皆さんの人格を磨き,成長する機会を用意し,支援します。授業やゼミナールは言うまでもなく,留学,サークル,ボランティア活動,地域貢献のプロジェクト。こうした機会を大いに利用して,自らを進化させて欲しいと願っています。
 ドイツの哲学者カントは,『啓蒙とは何か』という本の中で,「知る勇気を持て」,「自分の理性を使う勇気を持て」と述べています。そうでないと,何時まで経っても,「未成年の状態のまま」に留まってしまう,というのです。未成年の状態とは,他人の指示を仰がなければ自分の理性を使うことができない人間のことです。
 一人の人間として精神的に独立するためには,未成年状態,あたかも家畜のような状態から脱皮して,自ら考えることが必要なのです。
 授業で習い,書物を読み,新しい情報を得たら,鵜呑みをせず,まず自分なりに考え,意見を持つようにして欲しい,と思います。

 

 三番目の話に入ります。「社会人予備軍としての心得」です。社会人予備軍としての「学びのスタイル」については,先ほど述べました。ここでは,行動様式に関わる事柄として,一つだけ,お願いしたい事があります。
 極めて簡単なことです。それは「挨拶」です。「おはよう」,「こんにちは」,「ありがとう」,「さようなら」。
挨拶はコミュニケーションの第一歩です。
 人種のるつぼであるアメリカでは,目と目が合うと,ニコッとしながら「ハ~イッ」と知らない者同士が声を掛けあいます。また,江戸時代の武士も,すれ違いざまに声をかけたり,会釈をしたりしたそうです。それが「私はあなたの敵ではありませんよ」,というサインでもあったのです。
 皆さんは,大学生になったばかりなので,ピンと来ないでしょうが,三年後の就職活動の折には,挨拶ができること,そしてそれにつながるコミュニケーション能力が,採用・不採用の明暗を分けることになりかねません。なぜなら,企業の採用試験では,新卒者に求める能力の第一番目に,「コミュニケーション能力」があげられているからです。企業の採用担当者の中には,「挨拶ができない人間は採用しない」とハッキリ言う人も居ます。
 自ら住み良い世界を築き,さらにそれを発展させていくために,まずは,きちんと挨拶をし,他者とのコミュニケーションを始めましょう。
 大学では,学長の私と学生部長が「あいさつ運動」のリーダーです。新学期早々から,私たちは,正門のところで「朝の挨拶運動」を展開し,皆さんを「おはよう」の挨拶で迎えます。
皆さんも,恥ずかしがらずに挨拶を返して下さい。

 また,朝に限らず,学内に居る教職員,同級生,先輩,外からやってくるお客様たちに,是非,素敵な笑顔で挨拶を交わして欲しいと思います。
 「敬神愛人」の「人を愛すること」は,「挨拶すること」から始まるのです。
 保護者の皆様には,是非,ご家庭の中でも意識的に挨拶を交わして頂くよう,お願いしたいと思います。
 今日,ここで私は三つの話をしました。一番目は,建学の精神の「敬神愛人」。二番目が「主体的に学び,自らの意見を持つこと」。そして,三番目は,「挨拶をしよう」,ということでした。
 皆さんが,自らと日本の未来を切り開いていく若者になるよう,私たち教職員は,皆さんを全身全霊で応援します。皆さんは,大学を大いに利用し,自らの可能性に挑戦してください。

 ご入学,おめでとうございます。

 

2012年4月1日

名古屋学院大学 学長 木船久雄

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