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2017年11月 2日
長期留学報告(文藻外語大学 李珊娜)
台湾生活を振り返って
2016年9月2日から2017年7月17日までの約1年間、私は台湾にある文藻外語大学に長期留学へ行きました。この留学を通してたくさんのことを感じ、経験しました。
そもそも、私がなぜ台湾へ留学しようと思ったかというと、父の勧めや、文藻外語大学へ留学経験のある先輩の話に興味を惹かれたからです。元々は中国に留学したいと思っていたのですが、父が台湾人で台湾に人脈があり、留学中に何かあっても安心できるという理由で、台湾への留学を強く勧められたのですが、私は煩わしさを感じあまり行く気になれませんでした。しかし、留学先を選ぶ前に台湾へ行った先輩から話を聞く機会をいただき、その先輩の話を聞くことによって台湾にとても興味を持ち、台湾に留学することを決めました。しかし、そう簡単に留学できるわけではなく、留学をする前はとても大変でした。私の留学先の大学では、あらかじめ用意しなけれはいけない書類がいくつかあったのですが、その中に自身の健康についての書類があり、私は留学するため検査や予防接種のために10本以上注射を打つことで診断書と証明書を作成してもらい、やっと台湾に行くことができました。
まず、台湾に行き最初に驚いたことは、台湾人の食生活です。台湾にはたくさんの安価な飲食店があり、ほとんどの人はテイクアウトをして家に持ち帰って食べるのが一般的で、料理をほとんどしません。そのためか安全上の理由なのかは分かりませんが、学生寮にはキッチンがなく電子レンジさえありませんでした。また、台湾の料理はとても美味しいのですが肉や魚介類が中心で、ほとんどの料理に油が使用されており、南へ行くほど甘めの味付けになっています。私がいた高雄は味噌と醤油を混ぜたような味の甘い調味料がよく使われていたのですが、その味付けが私にとってはとてもくどく感じ、慣れるまで少し時間がかかりました。しかし、その味付けに慣れさえすれば台湾は美食の国であり、留学中に台湾料理や台湾風にアレンジされた様々な国の料理を食べることができました。
大学生活では、始めのころ、誰かと実際に会話する際、せっかく覚えた単語や文法もうまく発音できず、相手に伝える前に嫌になって何もしゃべることができなくなったり、緊張して忘れてしまったりと、自分のメンタルの弱さが前面に出てしまい、自分の伝えたいとこが全く伝わらず、自分の語彙力や中国語のコミュニケーション能力のなさをとても実感しました。そして、そのままではダメだと思い、メチャクチャな文法や発音でもしゃべり続けた結果、台湾人の友人に中国語がうまくなったねと褒めてもらったことで、とても嬉しく思い自信につながりました。
大学の授業は、外国人と一緒に受ける基礎中国語の授業と、本科生と一緒に受ける一般の授業があり、一般の授業は自分の興味のある科目を選ぶことができます。私は外国人向けの中国語の授業と英語、日本のサブカルチャーについての授業を選択しました。文藻の授業は英文学など英語についての授業は英語で、日本時事など日本についての授業は日本語で行っており、日本の大学の授業との違いに驚きました。そのため、日本語以外の授業では辞書が手放せないのですが、本科生の人たち難なくこなすので、関心しながらついていけるように予習をする癖がつきました。
留学中一番驚いたことは、台湾人の持っているメンタリティーについてです。私は大学の学生寮に入寮していたのですが、その時、ルームメイトの一人である台湾人の女の子が入寮初日の夜に泣いていたことがあり、私がびっくりしどうしたのかと尋ねると、家族に会えく寂しくなり泣いていると彼女が言い、そのことに対して私はとても驚いたことを覚えています。更に驚いたのは、私は彼女の家族が遠くに住んでおり、なかなか会えなくなるから泣いていると思っていたのですが、そうではなく、彼女の家族は車で1時間程度離れた家に住んでおり、毎週週末になると家に帰っていました。また、私の台湾人の姉は、私が自分の妹を気に掛ける以上に私のことを気にかけてくれており、大学と仕事で忙しい中、私をよく遊びに連れていってくれました。姉と私の関係は正確に言うと、父親同士が従兄弟である又従兄弟という関係なのですが、姉は私を妹であると言い、周囲もそれが当然であるというように扱うので、私は台湾人が日本人よりもずっと血のつながりを大切にしていると強く感じました。
他にも、台湾にはたくさんのお寺や神宮寺があり、郊外を歩いているとすぐに見つけることができるのですが、このことも台湾人のメンタリティーに影響しているのかなと感じました。理由は、お寺で行う行為です。台湾のお寺は鳥居があるものが多く、初めは神道なのかと思ったのですが、そうではなく、台湾では道教やキリスト教、仏教などが中心に信仰されていると知りました。しかし、私が見たお寺のほとんどか仏教の内装に近く、両方混ざっているように感じました。なぜこんなにたくさんお寺があるのかと伯父に聞くと、利用する人が多いからだと教えてくれました。伯父家族は2週間に1度は親戚で集まりお寺に行き、神様や祖先にお参りをしたり、厄除けや占いをしたりするのですが、中でも特徴的だったのが、お供えに焼却炉で印が押された紙を燃やしていることです。この紙は、天国で死んだ祖先たちが物を買う通貨として使用するので、毎回燃やさないといけないと教えてくれました。他にも台湾には、墓参りだけではなく故人がなくなった日に薬湯をかぶって髪や体を洗い流す文化がある等、死んでもなお家族としての関わりを大切にしていると思いました。
今、留学について振り返り、留学先に台湾を選んで良かったと思います。留学中、台湾でしか体験できない様々な経験をすることができ、中国語の向上など勉強面以外にも、価値観や柔軟性、考え方などの面で、自分自身が大きく成長ができたことを嬉しく思います。しかし、それで終わるのではなく、台湾で体験したことをこれからに活かしていき、さらに成長できるように向上心を持ち続けていたいと思います。
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