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2014年1月アーカイブ

 2014年1月11日(土)午後1時半~4時半。「地(知)の拠点整備事業」のキックオフ・フォーラムを名古屋キャンパスのクラインホールで開催しました。2014年最初の公開シンポジウムです。当日はこの冬一番の寒波に見舞われ,戸外ではコートを羽織っていても身震いするほどの寒さでした。それでも約200名の熱心な参加者を得て,新事業のスタートに相応しい会合時間を持つことができました。
 

地(知)の拠点(COC)事業とは
 

 「地(知)の拠点整備事業」は文部科学省の大学教育改革支援事業の一つで,2013年度にスタートしました。地域活性化に資する取組みを推進する大学を「地(知)の拠点大学」として選定し,その大学を公的支援しようというものです。2013年度は,全国から342大学が応募しその中から51大学が選ばれました。本学は見事にその選に入りました。私立大学に限れば,応募件数151に対し採択されたのはわずか11件ですから,かなりの難関です(ここで胸を張る,でもドヤ顔にはなっていません!?)。
 なお,「地(知)の拠点」は英語で"Center of Community"と書けるので, COCと略されています。
 本学の取組みは,タイトルを「『地域の質』を高める『地』域連携・『知』識還元型まち育て事業」とし,①地域商業,②歴史観光,③減災福祉の三つの側面からまちづくり事業に貢献しようというものです。企画段階には全学部から関係する教員に参加して貰い,何度も議論を重ねて構想を練りあげました。また,地域連携センターには,事務局機能から最終案の取りまとめまで献身的に時間と労力を割いていただきました。センター長の家本博一教授(今回フォーラムの総合司会)をはじめ運営に携わる教職員の皆さんには深く感謝申し上げます。
 言うまでもなく,大学は行政機関ではありません。教育研究機関です。そのため「まち育て事業」を行うと言っても,教育や研究においてその事業を通じた成果が問われます。そのため,今回の事業は地域の課題を生きた教材として取り上げ,実践型授業を通じて学生たちのコミュニケーション能力や課題発見・解決型の能力を磨く一つの教育機会と位置付けています。そして,建学の精神「敬神愛人」を身につけた良き市民・良き職業人を養成して参ります。また研究面では,地域課題をテーマとした研究を拡充し,将来的には地域のシンクタンク機能も担いたいと考えています。
 

キックオフ・フォーラムの様子

 キックオフ・フォーラムの様子を紹介します。会場1階ロビーでは,学生たちが今回の取組みに関連する活動をパネルで紹介しています。また"マイルポスト(学生運営の店)"からは,あつた餃子やハチミツの無料サービスを行いました。
フォーラムの第一部では水野晶夫教授が「名古屋学院大学COC事業の取組みについて」と題して,今回の取組み内容を概説しました。
 続く基調講演は,東海テレビアナウンサーの高井一さんにお願いし,「地域の宝をまちづくりに生かす―まちの現場を歩いて―」というお話をして頂きました。高井さんは,番組を通じて東海地方に潜む地元の宝を300以上も取材された経験の持ち主です。その現場体験を通じて得られた説得力溢れる「まちづくり論」を展開されました。
 地域の宝はどこにあるのか? 多くの事例から抽出される結論は,それは先人の営み(歴史,文化,産業,地形)の積み重ねの上にあり,地域住民にその良さが共有されているものではないか,ということでした。また,まちづくりに果たす大学の役割は,①調査・企画・調整,②人材育成(リーダー,後継者),③キャンパス空間である,という示唆に富むメッセージも頂戴しました。
 20分の休憩をはさんで,第二部はパネルディスカッションです。司会役を井澤知旦教授が務め,パネリストとして次の方々にご登壇願いしました。
             

      入倉憲二さん(名古屋市 副市長)
              杉本義彦さん(四間道・那古野界隈まちづくり協議会 代表)
              伊藤紀子さん(日比野商店街振興組合 副理事長)
              松坂浩史さん(文部科学省 大臣官房総務課法令審議室長)
              木船久雄  (名古屋学院大学 学長)
 

 入倉さんは,次期総合計画を絡ませながら名古屋市のまちづくりの課題について紹介され,同時に行政が大学と連携することの意味や期待を述べられました。杉本さんは,四間道・那古野界隈のこれまでの地域興しの取組みを説明され,行政・大学そして若者への期待を強調されました。そして,伊藤さんは商店街と大学が連携する「商学連携」によって日比野商店街は元気を取り戻し,「日比野小町」という女子会が生まれるまでになったという報告をされました。
 文部科学省の松坂さんは,昨年10月までCOC事業そのものを担当されていた事務官です。7倍もの競争率の中で選定された本学の取組みを高く評価して頂くとともに,計画の着実な遂行と目に見える成果を要望されました。そして私は,本学が開学以来行ってきた地域貢献の歴史を紹介するとともに,今回の取組みに対する意気込みを述べました。
 閉会の挨拶は宮木哲哉・名古屋市熱田区長から頂きました。宮木さんは,熱田区が進めているまちづくりの諸施策と絡めて,本学に期待される機能や役割を述べられました。身の引き締まるエールを頂戴した思いです
 

これからの予定
 

 地(知)の拠点事業は,今後5年間(2013~2017年度)にわたり全学的に取組む一大事業です。大学・地域・行政の三者がそれぞれ一両得となるよう,本取組みを着実に遂行し成果を上げて参ります。関係各位のご協力・ご支援を切にお願いする次第です。
 なお瀬戸地域版の「COC事業キックオフ・フォーラム」は,2月8日(土)に瀬戸蔵4階の多目的フォーラムで開催する予定です。ご期待ください。

明けましておめでとうございます。

 2014年の年頭に当たり,新たな気持ちで職務に励みたいと思います。ということで,久しぶりに学長ブログを更新します。3日坊主に終わることなくコンスタントに更新する,これを新年の誓いの一つに加えます。

 さて,この年末年始の東海地方は雨も無く,比較的温暖な天候に恵まれました。皆さんは,どのような時間を過ごされたでしょうか?

 私自身は,実家(静岡県磐田市)に戻り,お日様の出ている間は屋敷内の草取り・庭木の手入れ,夜は疲れて早々に就寝。と,全く健康的な1週間を過ごしました。非生産的な日々とも言えそうですが・・・。がしかし,草取りは自然との闘い,自然との語らいの時間。それがとても肉体的精神的なリフレッシュに繋がったように感じています。ある人が「草取りは成果が目に見え,達成感で充満される作業」と言っていましたが,一理あるように思います。

 ところで,実家の敷地内には10本の柿木があります。私が小学生の頃には,この柿木群は毎年のように沢山の実を付けていました。高い枝に生(な)っている実を,自ら長竿を操って採って食べたものです。それが,いつしか巷に海外産の多様なフルーツが出回り,私を含む子供たちも家を離れ,実家の柿の実に対する需要も期待も薄れて行きました。今では,枝にぶら下がる実のほぼ全てが野鳥たちの餌ですし,木の手入れもしないまま随分の年月が経っています。

 それでも,歳老いた母親は柿の実の出来具合が気掛かりのようです。

 「去年(2013年)は,柿の実があまり付かなかったよ。だから,今年(2014年)はきっと沢山の実が生(な)るよ」と言います。

 柿の実の付け方は,放っておくと豊作・不作の隔年現象を示すそうです。つまり,豊作の翌年は不作,その次の年は豊作というサイクルです。この隔年現象を避けるためには,実の付いた枝木を剪定し,木の根本には肥料を撒くといった柿木に対する小まめな手入れが不可欠だそうです。

 これは大学組織と同じだな,と思います。種を撒き木を成長させ,手をかけた今年は沢山の実が生るかもしれない。しかし,放っておけば来年の豊作は保証されない。組織も同様で,毎年多くの成果を得ようとするなら,役目を終えた組織の枝葉は切り取り,同時に新たな栄養を与え続けることが必要だ。改革は一度で足りるのではなく,改革し続けることが成長の源となる。成長・発展するためには,常に組織を見直し,休む暇なく滋養となる次の一手を打ち続けなくてはならない。

 大学も沢山の立派な実をつけ続けようとするなら,組織体はもちろん,個別の教育内容や手法を毎年見直さなくてならない。十年一日のような旧態然とした組織や教育手法では立ち行かない。もっとFD・SDを鼓舞しなくては・・・。大変だけれど,それが学生のため,大学のためなのだ。そんなことを考えながら, 7メートルを越える長い梯子に乗って,柿の木の枝を剪定していました。

 今年が,大学も柿の実も豊作の年であるよう願い,そのための汗を一生懸命かきたいと思っています。みなさま,倍旧のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。