授業・ゼミ風景: 2015年9月アーカイブ
今回は、商学部髙木直人先生の「発展セミナー」に、再びお邪魔してきました!
本日の講義テーマは、「グループディスカッション その2」。
履修者にとっては、先週に引き続き、2回目のディスカッション練習です。
ディスカッションの基本については、必修科目「基礎セミナー」の教科書にも
書かれていましたね。
(※この教科書は、本学オリジナルのもので、大学生活から始まり、学内施設案内や周辺地
域の情報、学内コミュニケーションツールの使い方や情報収集の仕方、レポートの書き方、
プレゼンの方法、メールのマナーに至るまで、大学生に必要な知識がこれでもかと詰め込ま
れた1冊になっているのです!)
今日は、この教科書の「ディスカッションの基本」を踏まえつつ、時間制限を設け、
手法をアレンジしながら、実際にディスカッションを行いますよ!
今回は、素敵なごほうびも用意されています★
みなさん、気合が入りますね!!
さて、ここから本題です。
せっかくなので、このブログを読んでいるみなさんも一緒に考えてみて下さいね。
今回のテーマはこちら↓
「設問 このケースの問題点は何ですか?」
最初に、先生から、本日のディスカッションの進め方と、人数調整、時間配分などついての
お話がありました。
①このケースを読んで、問題点と思うことを、1人1つ以上出す。
②何が一番重要なのか、答えを出す。(グループで1つの答えを出す)。
ディスカッションの時間は40分間、3グループに分かれて行います。
1グループは7~8人で、1~4年生混合です。
グループ内では役割分担がなされ、司会者、タイムキーパー、書記が決められており、
ディスカッションが始まれば、運営は全て自分たちで行います。
このケースを考えるために、以下のような用紙も配付され、これに沿ってディスカッションが進められました。
「はい、30秒前!・・・・10、9、8、7・・・」
ディスカッション開始までのカウントダウンが始まり、少し緊張したような、高揚したような、不思議な空気が流れました。
「始め!」の合図で、全グループ一斉にディスカッションスタートです。
「まずは、問題点を10個挙げていきましょう。
ハイ、あなたから!1つずつ、大きな声で。」
司会者になった学生さんを中心に、グループメンバーからどんどん意見が出て来ます。
「社員Aは、たしかにふざけた言い方をしているけれど、
社員Cの言い方も挑発的で、問題点だと思います。」
「社員Cは、手を出した時点でアウトだと思う。」
「社員Aは、初めは普通の社員として働き始めたのに、
問題社員として扱ったのは会社で、対処もしていない。」
「会社を変えますと言っている時点で、会社を嫌っているよね。
社員Aは、優しくしても、つけあがるのでは?」
グループ1では、司会者の学生さんが、メンバーそれぞれの個性をよく把握しており、発言しやすい雰囲気を作って、活発にディスカッションが行われていました。
「社員Aの態度は、自意識過剰で、やはりよくないと思います。」
グループ2では、司会役の学生さんが、「今、○○という意見が出ましたが、他に意見がありますか?」など、出てきた意見を短くまとめながら、メンバー全員に周知する工夫がされていました。
これなら、メモが取りやすいですね!
「このような状態になるまで放っておいてしまった、先輩社員や会社が悪いのでは?」
「一番歳の近い社員Bが、もっとコミュニケーションをとったら良かったと思う。」
「社員Aは、クビになってもいいと自ら言っているのに、会社に残っていて、
発言と行動が矛盾している。」
グループ3では、司会者以外のメンバーからも、「俺はこう思うけれど、どう思う?」と、他のメンバーへ水が向けられ、発言が少ないメンバーからも意見を引き出す工夫がされていました。
ディスカッションが進むにつれ、様々な視点から意見がでてきて、問題点が浮き彫りになってきます。どのグループでも、途切れることなく活発にコミュニケーションがとられていました。
さて、40分が経ち、いよいよ発表です。
発表は、1グループずつ、報告者を中心に、グループ全員が前に立って行われました。
3つのグループは、それぞれどのような結論に達したのでしょうか。
「僕らは、社員Aが問題行動を起こさないようにするためには、コミュニケーションを取
ることが一番だと思いました。コミュニケーションが取れれば、会社の雰囲気が良くなり、
上司間での話し合いがあれば、社員Aに対する叱り方や育成方法が変わると考えました。」
「自分たちのチームは、社員B、C、D、Eの初期の対応が悪く、社員Aが問題社員だとわ
かったら、それなりの対応をすべきだったと思います。上司(会社)は問題社員への対応
を勉強すべきだったと思います。初めは普通の社員だったので、問題社員にしたのは、
企業側が悪かったのではないかというのが、僕たちの結論です。」
「私たちは、社員Aが問題を起こした原因は、主に会社の教育方針にあると思います。若
手を教える立場の社員がしっかりし、部下に対し差別なく平等に接し、上司から若手までコ
ミュニケーションが取れていれば、社員Aが問題行動を起こすことは無かったと思います。」
このブログを読んで下さっているみなさんは、このケースについて、どう考えたでしょうか?
ここからは、ディスカッション資料を読みながら、先生による解説です。
「『入社してきたときには、ごく普通の社員として~』とあるよな。
ということは、入社した時には将来を期待されて入ってきているわけで、
最初から問題社員ではなかったことが、ここから読み取れるな。」
「『しかし』と打消しの語がきたら、この後が大事やで。
入社後数か月して、周りの人間(会社)が社員Aを問題社員として扱うようになった
――問題社員をつくったのは、会社や、ということが書かれているということや。」
「【出来事】4行目~6行目の、社員Dの言葉の意味についてのやり取りもポイントや。
社員Dが言うてることを社員Aが理解できていたか、ということをみんな考えていたか?
社員Dの表現なら、社員Aは本当の意味を絶対理解できんよな。
社員Dがどのように注意するべきであったかを考えたか?」
ポイントとなる表現や文章がわかると、今後、同じような問題が出た場合にも理解の手助けとなり、大変有益ですね!
ここからは、先生の話された内容を以下にまとめますと・・・。
「このケースを考える時に、大学生やったら考えてほしい、ということを言うで。
みんなが報告した内容に関しては当然考えてほしい。また、「コミュニケーションが取れていない」「社員教育ができていない」「問題社員には問題社員の対応をしたらいい」など、どれも間違ってないけれど、
それ以前に、この会社は、問題社員を生み出す体質があった、ということ。
このケース2というのは、普通に採用をしているのに、問題社員を生み出す会社の具体例なわけです。
みんなが言ったように、社員教育の方法が悪かったなら、ちゃんとした社員教育が必要であろう。
また、社員同士の対話(コミュニケーション)が不十分であったことが大きな原因になっているなら、会社として、上司から若手までのコミュニケーションが不足していることの重要性を考えること。
ただ、社員Aがこういう状況になっているのに、会社(社員)としては、さらに悪化するような取り組みをしている、ということ。
社員Aをこのようにしたのは、各社員自身(会社)のせいだという自覚がないよな。
社員Aに問題があるのであれば、先輩として、または会社として、彼が復帰できるようにしてあげなあかんということ。
特に注意してほしいのは、
問題社員とされているAが、自分から会社にSOSを出していること。
その言葉が、会社としてはちゃんと読み切れてなかった、汲み取れていなかった。
社員Aは、会社にとってプラスになる人材だと思うから採用試験で採用されているわけで、そうでなかったら人事は採用しない。
そこをみんなにちゃんとおさえておいてほしいと思う。
みんなが言っているように、会社の宝である人材を悪くしたのは、他のだれでもなく会社なんよ。
結論からいうと、会社が悪い。
けど、じゃあどこが悪いかと言ったら、みんなが言っていたように色々なところが
部分的に悪いから、それをどう直していきますか、ということを考えてほしい。
単に討論しただけやなくて、君らが管理職になった時に、どういう対応をしたらいいか、
その土台として考えといてほしい。
話し合いの過程で感じたことに対して、どういう風に対応したらいいか。
まず自分で考えてみて、他の人と議論をしてみて、自分の案を温めながら、それが実際使えるかどうか討論する。他の案も聞いてみて、そちらが良かったら、その案を取り入れたらいいよ。そして、最終的に一番良いと思う結論を得るというのが、ディスカッションの流れや。結論は、誰が当たっても発表できるようにしておいてな。」
先生はこんなコメントを学生にされました。
自分たちが管理職になったときに、どう対応するのか。
先生のこの一言で、今日のディスカッション内容が他人事ではなく、自分が社員A~Eの
誰にでもなり得るのだと、はっとした学生さんもいたのではないでしょうか。
学生さんたちは、先生のお話に、真剣に聞き入っている様子でした。
さて、がんばった後はご褒美タイムです★
3グループには、それぞれ先生から素敵なお役立ちアイテムのプレゼントが★
どのグループの意見も甲乙つけがたかったので、どの賞品に当たるかは、ジャンケン
で決められました!
消しゴムや消えるペンです。
勉強にも就職活動にも役立つ素敵アイテムですね!
先生の愛を感じます♪
ディスカッションには、様々な要素が組み込まれています。
自分の意見を考え、まとめ、発表するだけでなく、グループメンバーの意見を聞き、時間をマネジメントしながら、グループとしての意見をまとめなくてはいけません。コミュニケーションがとれなければ、成り立たないものです。
今回のディスカッションでは、雰囲気はグループそれぞれでしたが、議論が止まってしまうことなく、全ての参加者が発言し、活発に話し合いが行われていました。
春学期を通して「発展セミナー」で学んできた成果ではないでしょうか。
授業を通して、コミュニケーション能力がしっかりついてきているのだと、感じました。
また、自分たちが実際にディスカッションをした後に解説を聞くことで、それぞれの学生さんたちの中で、今日の授業が意味を持って記憶されたように思われました。
履修者のみなさん、ご協力ありがとうございました!
次回のテーマは、今まで14回の授業内容を踏まえて、
「もう一度、自分の生き方を考えよう」。
春学期を通して、「発展セミナー」を受講して、自分の考え方がどのように変わったのか、
もう一度自分自身に問いかけ、確かめる良い機会となりそうですね。
「発展セミナー」は、多くの学部で開講される、NGU教養スタンダード科目です。
先生によって内容は異なりますが、基礎セミナーの内容を更に深め、発展的な内容を学びます。
選択科目ではありますが、積極的にチャレンジしてみて下さいね。
チョッパー子