学生さんと先生を繋ぐ連続企画★Bridge★、今回の先生は・・・
法学部 大原 寛史 先生です。
大原先生は、「民法1・2」「リーガル・フィールドワーク」「債権各論1」など、
民法に関連する科目を担当されています。
それでは、先生の思いをご紹介★
■■■ どんな思いをもって、授業(ゼミ)に臨んでいらっしゃいますか? ■■■
■先生の授業は、どんな授業ですか?
授業では、できるかぎり勉強内容を客観的に、私の主観を交えずに伝えるよう心掛けています。
法学部生の履修する授業ですので、
"ルールがどういった使われ方をしているのか"が、学ぶべきポイントです。
扱っている内容にもよりますが、1回の授業で4~5件ケースを扱って、どういった
ところが問題になるのか、その問題に対して、ルールがどのように使われ、ケースが
解決されているのか、その解決に対して、評価はどのようになっているのかを提示し
ています。
学生さんは、
「最高裁判所の判決はどうなっているか、それに対して学者の意見はどうなっているのか」
を一生懸命勉強してしまって、そもそもその判決や学者の意見の前提となっている、
「どこが問題になるのか」
「なぜそのような議論がされなければならないのか」
が抜け落ちることが多いんです。
実は、私自身もそうでした。
ですから、授業では、
取り扱う案件において、どこが、なぜ問題になっているのかについて、
しっかりと教えますし、ゼミでもそこが意識できていないと感じたら、
「なぜこの議論をしないといけないの?」と質問を投げかけ、
意識してもらえるようにしています。
これは賛否両論だと思うのですが、授業では、できる限り詳細なレジュメを作って
配布しています。
学生時代、授業を受けていて民法が一番よくわからなくて(笑)
「こういったところが問題になるけれど、判決はこのようになっています。
...ハイ、次いきましょうか......。」
と言葉で説明されることが多くて、
何かちょっとでも事案が違えば判決が変わったのかもしれないとか、
そもそも取り扱われた事案ってどんなものだったんだろうとか、
かなり基本的なことすらあやふやな状態で授業を受けていることが結構あったんです。
ですから、授業では、できる限り具体的に、どういったルールがどのような使われ方をするのか
客観的に示す努力をしますし、そのルールの適用方法が民法条文にははっきりと書かれておらず、
解釈の違いにより争点になるのだということを理解してもらいたいと考え、レジュメの作成を始めました。
授業では、板書はほとんどありません。
学生のころ私自身もそうだったのですが、学生さんは、
授業に出席して一生懸命ノートを取って、そこで満足してしまう、という事態に
陥りがちなのではないかと感じます。
ノートをとること自体は良いことだと思います。
しかし、書くことに集中するあまり、頭で考えられなくなってしまうことは避けたいのです。
大学生ですから、"自分の頭で考えること"をしてほしい。
そのために、必要なことはレジュメに書いておくので、かわりに授業中は可能な限り頭を回転させ、
今日の授業で得られるものは何なのか、"考えながら"授業に取り組んでほしいです。
試験では、講義によりインプットした知識や理論を、正確にアウトプットできるかどうかを確認するために、正誤問題と論述問題を出題しています。
基本事項や押さえなければいけないポイントの確認問題と、その知識と過去の適用例を参考にしながら、どのように紛争解決に役立てることができるのか、自分自身で考える問題を出題します。
■大原ゼミは、どんなゼミですか?
ゼミについては、自分の持っている知識を疑ってみるということを主眼としています。
授業で習ったような、従来積み重ねられてきた知識を批判的に検討してみよう、と。
例えば、
「授業では●●ということを習ったと思いますが、
どうしてそのような考え方がされているのか、分かりますか?」
「現状は▲▲という考え方が広まっていますが、
果たしてこれは正しいのでしょうか?」
という具合に質疑応答を繰り返すことで、今まで培ってきた知識について、
「本当に正しいのかな?」と疑問を投げかけます。
自分の持っている知識を客観視して、それがはたして正しいのか、
別に考えられる道や考え方はどんなものかを分析したうえで、
色々と構築し様々な見方ができるような人材を育てたい、と思っています。
2年生までは、まだ深い議論ができるほどの知識がないので、
「これは、●●という風に考えられていたよね。」と投げかけてみて、
理解が不足していると感じたら「この件は▲▲という風に考えているんだけど...」
という具合に問題を提示をしています。
3年生以上の学年では、学生同士の意見交換が活発に行われるように、
できるだけ喋ってもらうようにします。
■民法の面白いところは?
私は民法を担当していますが、学生時代勉強を始めた当初は、民法は難しいな、
というイメージでした。
国内の人たちの問題を、客観的なルールを用いてどうやって解決していくのか
勉強していくうちに、だんだん面白くなっていって。
民事の面白い部分というのは、同時に民事の難しく感じる部分でもありまして。
刑事事件だと、ある人が行った行為が犯罪かそうではないか、有罪か無罪か、
有罪であれば刑はどのくらいが妥当であるのかといったことが焦点になります。
これに対し、民事事件では、AさんとBさんの関係ではこういう解釈ができるけれど、
BさんとCさんの関係では同様の解釈ができない、ということがあります。
当事者同士の関係次第で、使えるルールも解釈も全然違ってくる、
というところが民法の面白いところです。
ですから、民法といっても、民法だけを勉強するのではなくて、民法によって
定められたルールに従って認められた権利を実現する手段として、民事訴訟法
や執行法を合わせて理解するのが望ましいと思います。
学生さんにとっては、事例が多くて大変ですね。
■学生さんへのメッセージ
ものごとの考え方は、自分の持っている評価軸一つだけではありません。 自分はこう考えているけれど、違った考え方があるかもしれない。
何かが一つ違ったら、別の選択肢を選ぶことができるかもしれない。
色々な考え方が成り立ちうるわけです。
大学生ですから、この点を意識して、
常に"考えながら"授業に望んでほしいと思います。
■■■ 先生のお薦め本 ■■■
今回は、新しいものの見方を教えてくれるかもしれない1冊のご紹介です!
『チーズはどこへ消えた?』
扶桑社 スペンサー・ジョンソン 著 門田 美鈴 訳
自分の考え(チーズ)に、固執していると、他の考え(チーズ)が見えない、
先生のお話にも共通している内容です。
自分と照らし合わせて読みながら、色々な考え方や捉え方ができるということで、
ご紹介いただきました。
■■■ 今日の一枚 ■■■
今日の1枚は、" 先生の好きなもの "です!
大原先生は、幼いころから、ウルトラマンがお好きなのだそうです♪
小さいころ、テレビでウルトラマンを見ながら、「今、ウルトラマンと怪獣が
日本で戦っているのに、なんでニュースにならないんだろう?」と不思議に思
っていたのだとか。想像すると、とっても可愛らしいです★★
研究室には、大小さまざまなウルトラマングッズが、
そこここにさりげなく置かれていました。
写真の中で先生の手の中にあるのは、ウルトラマンの目覚まし時計です。
地球において活動できる時間が3分しかないせいかはわかりませんが、
一生懸命起こしてくれます。
そして、起きると誉めてくれます(笑)
なんと言って起こしてくれるのかは・・・
先生の研究室にお邪魔して、聞かせていただきましょう!
次回の★Bridge★も、お楽しみに!
チョッパー子