2014年10月アーカイブ
今回は、前回の★Bridge★でご紹介した榎澤幸広先生の授業「現代社会と法律」にお邪魔してきました!
「現代社会と法律」は、履修者250人を超える、大型授業です。
しかし、そんな大人数にもかかわらず、私語がありません。
★Bridge★でのお話にもありましたが、真面目に勉強している人のために、
私語厳禁が徹底されているのです!
みんな授業が始まった瞬間から、先生の話に集中しています。
この授業では、まず初めに、前回の授業の簡単なまとめを行います。
まとめは全員がそれぞれに行い、任意で、前に立って発表してもらう形式でした。
多くの人の前でのプレゼンは良い経験になりますね!
授業で使用する資料を配布する間、タイ・コンケン大学への短期留学の紹介がありました。
先生ご自身の中国留学の体験をもとに、語学力向上や日本文化の良い点・悪い点の発見が
あったこと、スイカの屋台の方と仲良くなり、その際に友好関係を築くために工夫された点
など、コミュニケーション力アップのヒントがたくさん詰まったお話を伺うことができました!
「法律の授業で留学のススメ?」と思われるかもしれませんが、これが後々効いてくるのですよ~!
さて、資料も学生さんの手に渡り、いよいよ今回のテーマに沿って問題を検討していきます。
今回のテーマは《なぜ、法律が必要なのか?》。
先生の作ったお話をもとに、法律の必要性について考えていきます。
お話は、あなたが船の難破で、無人島に辿り着くところから始まります。
食料はたくさんありそうですが、人は誰もいなさそうです。
ここで第一問。
①あなたはここで、どのように生活しますか?
制限時間は5分なので、みんな、静かに集中して考えます。
制限時間の後は、周りの人と意見交換をします。
自分の考えを周囲にいる人達と共有し、比べてみると、
自分と似た考え方や、異なる考え方、いろいろな考え方に出会うことができます。
食料は豊富そうなので、当面無人島で生活していくという意見、
すぐにSOSを出すという意見、
イカダなどを作って島を脱出するという意見・・・
みんな色々な意見を持っていましたが、
他人からの制限を受けず、"何でも自由にできる生活"であるという点が問題①のポイントです。
さて、お話は進み、次の問題です。
数か月後、島に新たに2人の人間が流れ着いてきました。
幸い同じ言葉を話し、同じような文化を持つ人たちでした。
②あなたは彼らとどのな生活をしますか?
ここで再び5分のシンキングタイムです。
今度はどのような意見が出たのでしょうか?
再び周囲の人と意見交換タイム★
榎澤先生は、学生さんたちがどんなことを書いたのか、教室内を回って見ていきます。
その後、この検討問題2では、榎澤先生の目に留まった学生さんに意見を発表してもらいました。
新たな仲間と協力しあうという人、お互いに距離をとって生活していくという人・・・
わずか数人に聞いただけでも、意見は様々です。
さて、新たなメンバーが加わった無人島には、"他人との関係"が発生しました。
3人という少人数ではありますが、"社会"が生まれたわけです。
"社会"は英語で"society"ですが、福沢諭吉がこの英単語を初めに訳した時には、
"人間交際"と訳したのだそうです。人と人との関係を築くこと、という意味合いの
単語なのだそうです。
さて、人が人との関係を築こうとするときは、お互いが仲良くしていくためにルール(法律)が必要になります。
法律というと、悪人を罰するのが目的のような気がしてしまいますが、
本来は、みんなが仲良くするために考えられたものなんですね。
このことは、この授業の中だけでも、先生は何度も繰り返していました。
法律の本来の存在意義、重要事項ですね!!
最終問題では、無人島だと思っていた島に、先住民族がいることがわかります。
この島に関する知恵をたくさん持っているようですが、言葉や文化が全く違います。
③あなたは彼らとどのような生活をしますか?
さて、本日最後のシンキングタイム&意見交換です。
先住民族に生活の知恵を教えてもらう、協力しあって生活する、
あるいは、彼らとは別々に暮らすなど、ここでもさまざまな方向性の回答がありました。
どのような形にしろ、
諍いなく生活していくためには、お互いの事情を考慮したルールが必要になりそうです。
また、法律のもう一つの役割は、
諍いが起こり、憎しみの連鎖と復讐が繰り返されることを防ぐことなのだとか。
なるほどです。
検討問題③では、社会がより複雑になり、多文化・多言語状態になりました。
社会が複雑になればなるほど、ルールも複雑になってきます。
「法律って難しいな。」
「なんでこんなに膨大で細かいことまで書くのかな?」
そう思われるかもしれませんが、「言った・言わない」で争いにならないように、
言葉や文化が違えば違うほど、文書にして細かくルールを示しておく必要がある
のだそうです。
ほんの短い1文にも、争いを避けるための知恵が詰まっており、
それが積み重なったものが現在の法律なのですね。
お互いの言語や文化を理解しようとする相互努力は、歴史のいたるところで繰り返されてきました。
さて、学生のみなさんは、言語や文化の相互理解の手段として、どのような手段があると思いますか?
その一つの形が、留学ですよね。
チョッパー子はここで、冒頭で先生からあった"留学のススメ"にピリリと説得力が加わったなぁ~と感じました★
なぜ、法律が必要か?答えが示されたところで、今回の授業はここで終了。
学生さんたちは、今日の検討問題3題に対する自分の意見と、
今日の授業で得たこと学んだことを3点以上書き出したレポートを提出して帰ります。
退出時も徹底されているのが、私語厳禁のルールです。
これはもちろん、まだ真剣にレポートを書いている人のため。
"まじめに勉強をしている人を大切にする"という先生の姿勢が、
最後の最後まで貫かれています。
授業を受けてみると、法律というものが、歴史的背景や、文化の違いなどを考慮し、
この国に住む人たちが仲良く共存していくためのルールだということが非常に分かりやすく
体験できました。
重要な部分は、説明の中で何度も視点を変え言葉を変えくり返し出てくるので、
しっかり覚えられますね★
どの学部の学生さんにもお薦めできる内容で、
早く次の授業が聞きたい!とワクワクするような授業でした♪
チョッパー子
学生さんと先生を繋ぐ連続企画★Bridge★、今回の先生は・・・
経済学部 榎澤 幸広 先生です。
それでは早速、先生の"思い"をご紹介します★
■■■ どんな思いをもって、授業に臨まれていますか? ■■■
■学生に望むことは?
僕が学生に望むのは、まず"楽しんでほしい"ということです。
小さいころからの積み重ねで、"勉強"という言葉自体に、「無理やり覚えるもの」とか、「大変なもの」というイメージがあると思いますが、授業を楽しんでほしいんです。
どんなに良いことを言っても、楽しくなければ通じないと思うんです。
なので、授業では、新しいことや、自分とは違った考え方がある、ということを知る喜びを味わってもらうことを意識しています。
そのためには、僕が楽しくないといけない(笑)
自分の楽しさ、嬉しさが伝わって、共有できる空間だと思うから。
学生には、授業で話をしたことについて、自分で考えてほしいと思っています。
僕の意見を良いと思うのか、それとも違うと思うのか、話の後に考えてほしいんです。
聞いてただ覚えるだけではただのクローン人間ですよね?
そうではなくて、「あの人の言ったことは、どういうことなんだろうか?」と考えてほしい。
それも、感情的にではなく、「なぜあの人の意見を良いと思うのか」「違うと思うのか」自分で理由を探していく。「間違っている」と思うのであれば、感情的に「ダメだ!」というのではなく、しっかりとした根拠を持ち、理由をつけて、授業の内容を発展させて考えてもらいたいと思っています。
理由をつけて自分の意見を確立するためには、基本知識がないといけません。
僕は、法律とか憲法が専門ですけど、それだけじゃなくて色々、歴史とか、計算とか。
小・中学校でやったことって、案外、考える能力を活かす時に必要になってくるので、基本で欠けているところがあれば、自分で補っていってもらえるといいのかなって思います。
■先生の授業には、マンガの一コマなどが使われるということですが。
僕はマンガが好きで、たまたま思い付いて、大学の講義を始めたころから続けています。
自分が楽しくないと、相手に楽しんでもらうということが出来ないと思うんです。
マンガ雑誌を読む時には、「ここ使えるかな?」と考えながら読んでいますし、
某レンタル店のレンタル単行本のTOP10はだいたいおさえるようにしています(笑)
学生からも「どんなマンガが面白い?」って意見きいて、授業に活かしています。
■先生の授業スタイル
15回の授業を1つの小説のようになるように意識していています。
欠席すると物語が途中で切れてしまうから、よっぽどの理由がない限り休まないで、と毎回言っています。
1回1回の授業も流れを意識していますが、マンガを使うのは最初の方ですね。
憲法や法律というのは、一般常識が書いてあるので、かいつまんで言ってしまえば難しくはないんですが、言葉尻が難しいんです。だから、いきなり「民法○条に●●と書いてある」と言われたってイメージがしにくいんでね。それを、最初にマンガを使うことで、映像でイメージが入って来やすくしているんです。
その事例で使えそうなマンガがなければ、新聞記事を使ったりもします。
僕は、履修者が確定したら、最初にアンケートをとっています。
どんな履修者がいるのか、現在の法律に関する知識はどの程度か、人となりを知りたいので。
このアンケートによって、授業内容を調整していきます。毎回授業では何かしら書いてもらうので、それも見ています。 翌週、書いてもらったもののいくつかを「こういう意見があったよ」と、取り上げたりしたりします。質問があった場合には答えたり。 それによって、次の週の授業の進め方を変えたりもします。
200~300人履修者がいる時によくやることがあります。
まず、僕が問題を作って、これについてどう自分は考えるか、というのを書いてもらいます。
その後、隣の人と交換したり、最低3人以上の履修者と意見交換して、その人の意見をまとめてもらう。こうすることで、僕だけの意見ではなくて、自分と同年代であったり、同じ授業を受けている人・同じ空間を共有している人たちと「同じ問題解いても、自分と違う回答が出るんだ」という体験ができて、意見が多様だということを知ってもらえるので。
あるいは、マンガや新聞記事を読んで「これを読んでどう思う?」っていうのを何人かに当てるだけでもだいたい2~3通りは違う回答がでてくるので、それをもとに授業を進めていきます。
■学習環境面への配慮にも定評がありますが?
僕は、私語は許しません。
このような授業中のルールを作る時は、必ず、「なんでこうするのか?」という理由は告げるようにしています。
僕は、一生懸命授業を聞こうとする・理解しようとする学生を大事にしたいと思っているので、私語はみとめません。
過去に僕は、視覚障がい者の学生を受け持ったことがあります。
その子は耳のみをたよりに一生懸命聞いていて、ひそひそ話程度の私語でも、学習の妨げになるという相談を受けたことがあります。視覚障がいとまではいかなくても、耳の聞こえる・聞こえないは人によって違いますし、目だってそうです。
そういう人がいるということを、学生のみなさんにも意識して欲しい。
理由を話すと、みんな理解してくれますし、忘れてしまっても何度も言うようにしています。
遅刻も、基本10分以上は認めません。
授業開始10分以降は鍵をかけます。
本当は遅れないでほしいですけど。
これも、授業の最初から一生懸命授業を受けている人のための措置です。
遅刻を認めてしまうと、平気でまばらに入ってきて、入口にプリントが置いてあっても、僕のところに「プリントください」と言ってくる。その度に授業が中断されて、「今どこまで話したっけ?」という状態だと、授業が進まないですよね。 お手洗いなんかは、その時の体調もありますし、自由に出入りしてもらっていますけど。
私語と遅刻の禁止の徹底は、授業アンケートでも、好評な点です。
■教えていて、一番楽しいのは?
身を乗り出して聞いてくれたり、最後に書いてもらった時に、内容が通じてたり、きちんと批判回答をしてくれたり、1年生の時に僕の授業を受けていて、その時は意味がわからなかったけど、3年生4年生になって、あの時僕が言ったことの意味がわかったということを伝えてくれたりする時が嬉しいです。
■■■先生のお薦め本■■■
今回は、たくさんご用意いただいた本のなかから、ジャンルの違う2種類の本のご紹介です!
『Baby Steps』
勝木 光 著 少年マガジン
テニス協会お薦めの、テニスマンガです。
身体的には特に恵まれておらず、本来テニスに向いているとは言えない主人公が、一生懸命努力して強くなっていく。努力の方法がユニークで、主人公は、(もちろんトレーニングもするのですが、)ノートを取って、相手を分析して、たくさん工夫して強豪を倒していくという新しい切り口のマンガなんだとか。弱くても、工夫や努力次第で強い者を倒すことができるのだ、という考え方が参考になるので、お薦めだそうです!
『綾瀬はるか「戦争」を聞く TBSてれび『NEWS23』取材班編』
岩波ジュニア新書文庫
先生からは、このようにご紹介いただきました。
『世界の流れというのは、戦争の体験者が少なくなってくると、どうしても戦争の方に傾いていくんです。
若い時というのは、何も知らないから、「相手が攻め込んできたら、いざという時に戦争したってしかたないだろう」とか、「売られた喧嘩は買う」といった、血気盛んな反応になってしまう。
だけど、売られた喧嘩を買う時って、普通に路上で喧嘩が起こった時だって、どちらも傷ついたり、悪ければ死ぬこともありますよね。戦争ってそれがとんでもなく大きくなるわけで、もっと戦争を回避する方法や、過去の経験から学んでいかないと、いつまでも同じことを繰り返すだけなんです。
それって多分、賢い生き方ではないですよね。
自分の夢を見つけたり、友達をつくったり、結婚して家庭を持って、幸せに過ごせるはずだった人生が、戦争で全て簡単に断たれてしまうんです。簡単にこの道に進むべきではない、この道にいくべきではないんです。
この道に行かない為に歴史から学ぶ必要があるわけですが、それが僕たちの年代からは欠けていると思うんです。
憲法とか、法律の勉強って、過去の過ちを繰り返さないために、みんながトラブルを未然に防ぐためにはどうしたらいいかということを踏まえてルールが作られているので、ルールだけ見てもわからないんです。
なので、ルールを知るためには歴史、特に戦争の歴史を知ることが必要なんです。
いさかいとなると、どうしても相手のことにばかり目を向けがちですが、「戦争をする」と決めるのは、国の偉い人達です。戦争の体験を踏まえるなら、政治家の人達は、できるだけ世界と仲良くする方法を考えなくてはいけないんです。
これは、いいなりになるというのとは違います。
戦争は回避しなくてはいけない。
この本が、学生一人一人がそのことを考えるきっかけになったらいいと思います。』
■■■今日の一枚■■■
今回は、先生の大好きな広島カープの、赤いかばんです。
小学校の頃に、「赤ヘル打線」といって、広島カープの打線が凄く強かったのだそうです。
貧乏球団で、どんなすごい選手も他球団に比べると格段に給料は安いし、その給料も市民やファンに支えられてきた経緯があるけど、練習の虫が多くて強い!
そんな姿にあこがれて、それ以来のファンだそうです。
ちなみに、赤は、先生のお好きな色なのだとか♪
お話を伺って、平和で豊かな現代こそ、法律や憲法、そしてその根底にある歴史に目を向けて、忘れないようにしながら未来を考えないといけないな、と改めて感じました。
憲法や法律について、自分たちの生きる社会について、考えるヒントがほしい人は是非、榎澤先生の授業を履修してみてくださいね。
聖書にも、「悪から遠ざかり、善を行い、平和を願って、これを求めよ」とありました。(ペトロの手紙一 3章11節)また、その少し前の節では、「皆心を一つに、同情し合い、兄弟を愛し、憐れみ深く、謙虚になりなさい」とも書かれています。そのようにして、戦争のない世の中にしたいものですね。
次回の★Bridge★も、お楽しみに★
チョッパー子
オフィスアワー 一覧表を更新しました!
みなさんこんにちは!
オフィスアワー一覧表が、2014年度 秋学期版 になりました!
どんどん活用してくださいね♪
チョッパー子
NGU生のみなさん、こんにちは!
10月早々、驚きのニュースがあります。
このたび教育学習センターは、学生支援センター(S-platz)と統合され、
「学生支援課」
になりました!
10月~12月は、現在の教育学習センターと学生支援センターの場所のまま、
来年1月末には、現在建設中の新棟1階にお引越しして、本格稼働の予定です!
この統合によって、今まで「学習相談」は教育学習センター、「学生生活」は学生支援センターと分かれていた学生サポートが、学生支援課で受けられるようになります。
幅広い分野へのサポートが、一つ所で一挙に受けられるわけです。
ということは・・・
「どこへ行ったら助けてもらえるの?」から
「何か困ったら、まずは学生支援課!」へ
とっても分かりやすくて、便利になりますね★
「教育学習センター」「学生支援センター」の名称も残していますので、これまでと変わらず利用して下さい。
名古屋学院大学でのあなたの学びが、より実り多いものとなるよう、スタッフ一同、全力サポートしていきますので、よろしくお願いします!
チョッパー子