★Bridge★: 2018年10月アーカイブ

★Bridge★No.44 持田 辰郎 先生

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学生と先生を繋ぐ連続企画★Bridge★、今回の先生は・・・


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法学部 持田 辰郎(もちだ たつろう)先生です。

 

持田先生は、「哲学史」「哲学と人間」「心身関係論」「日本語表現」などの科目を担当されています。

それでは、そんな持田先生の思いをご紹介★

 

 どんな思いをもって、授業に臨んでいらっしゃいますか? 

 

■なぜ哲学を研究しようと思ったのですか?

 

なんとなくかっこいいから!それだけです(笑)

卒業論文のテーマがデカルトだったので、そのまま研究を続けてきましたね。

 

■哲学の面白いところは?

 

良く言えば全く自由で、悪く言えば何の基準もない学問なので、極論「事実などというものはどうでもいいのだ」と平気で言えて、自分の頭さえあればいいと(笑)そういう意味では気楽かな。

 

■学生はどんな内容に興味を持ちますか?

 

僕が「これは面白いだろう」と思っている話は、意外と学生の食いつきが悪かったりして(笑)

かと思えば、僕が「こんなものは当たり前で、授業でやるほどでもないかな...でも一応話しておかないと」と思っていたものに感動してくれたり。学生、わかんない!(笑)

 

流れや説明の仕方をしっかり決めておくと、ダメみたいですね。なんだかしっくりいかない。緊張感がなくなるんだろうね。進行を意識するあまり、学生の顔を見なくなるのかな。言い方が悪いかもしれないけれど、なりゆきまかせに近い方が良い手ごたえのことが多いですね。

 

■何回かレポートを書いていると、学生は変わってきますか?

 

変わってきますね。

きちんと出席して、文章を書こうという意志のある学生は、俄然良くなります。

文章が書けなかったのが書けるようになったり、最初はプリントの中身や僕の言葉でしか書けなかったのがだんだん自分の言葉で書けるようになったり。

といいながら、全然変わらない学生もいますけれど(笑)

やっぱりしょっちゅうサボる学生は変わりませんね。

 

■学生に伝わったらいいと思う面白い点は?

 

みんなが当たり前だと思い込んでいることが、実はそうでもないんだよ、と分かってくれたらいいですね。大抵の話は"当たり前"じゃないんだよね。

色々なケースで話をして、別の考え方や方法があるとわかってくれたらいいですね。

もちろん授業で取り扱うのは一般的な話で、個人個人の生活には何の関係もないんだけど、色々な瞬間に「ああ、こんなこと別にこだわらなくてもいい」と思ってくれたらいいよね。

 

やっぱりみんな頭固い!高校までの教育ってスゴイ(笑)

「こういう風にすべきだ」でガチガチなんです。

1つが正しくて、それ以外は全部間違いみたいな。

 

僕は、「答えの出るものなんか、考えたってしょうがないでしょう?」ってよく言うんです。

学生はみんなそれを聞くと唖然としますね。

でも、答えがあるなら、聞けばいいじゃない。考える必要ない。

「テストなんて答えが用意されているんだから、それが解けたところで何の価値があるんだろうか?どういう価値ある?」ってきくと、学生は「えっ?」っていう顔をする。

 

みんな高校までの"答えのある教育(しかもマークシート!)"ができることが賢いと思いこんでいるんだよね。それには僕の方が唖然とするのだけれど。高校までの成績がふるわなかったから「私ダメだ」「僕はダメだ」と思っている学生が多いんじゃないかな。

色々な能力があることと、マークシートが上手く解答できることは意味が違うよね。

 

 

■どんな気持ちで学生と接していますか?

 

さっきも言ったけど、最近の学生は、みんな考え方が固いです。

高校までの偏差値教育の価値観に侵され過ぎている人が多い。

 

良い方も悪い方もどっちも良くないんですよ。

成績が良い人は、"たかが学校の勉強ができたくらいで"自分ができる人間のつもりになるし、

成績が悪い人は、"たかが学校の勉強ができなかったくらいで"自分はもうダメだと思いこむし。

学校はそういう評価をするところだから、僕も当然成績をつけるけれど、「こういうルールで、こういう成績をつけますよ」ということを明らかにしています。いうなればゲーム感覚で楽しんでほしいですね。

 

授業の最初に本日のテーマを示しておいて、授業の最後にレポートを書かせます。

毎回レポートを提出させ、合計点で評価します。    

毎回点数化してCCSで送るので、学生は自分が今何点かすぐにわかります。

 

■今、NGU生に伝えたいことは?

 

高校までの偏差値教育から脱しましょう!

今までうまくいかなかったから、第一希望の大学に落ちたから、自信がないという学生がいますが、「もうちょっと自信もてよ!」と言いたいですね。それが年々強くなってきていると思いますね。ちゃんと良いところあるんだから。

 

"一定の学力がある者を大量生産しましょう""周りに合せなさい"というのが、日本型教育というのですかね...学力レベルを一定水準で保つには必要なのかもしれないですが...そこはもうちょっとクールにかわして、自分で考えたわが道を行ければいいわけでしょう?

素直に周りに合わせて、その物差しと比較して落ち込んだり、あるいは物差しに合わせられなくて社会でやっていけないと感じてひきこもったり。

一人一人みんな違うんです。自分は自分だけれども、「どうしてもあわせなさいよ」と言われたときにだけ、「はいよ~、あわせてあげますよ~」という感じで、もっと気軽で柔軟な、余裕のある対応ができるといいよね。

 

 

それと、何もしない時間って大事なんです。

周りから見ているとぼーっとしているだけかもしれないですが、この時間は実はものすごーく大切なんです。

何もしていないように見えても、頭は働いているからね。

今日あった出来事や将来のこと、気になる問題なんかが無意識のうちにずーっと頭の中を回っているんです。そうやって考えていると、いざ判断する時に考えていた下地が効いてくるんです。

 

昔は自然とそういう時間があったんですが、今の学生には少ないですよね。

なぜか?スマートフォンですよ!

電車に乗っても、昔と違ってみんなスマホ見てますよね。

ずーっと刺激を受け続けている訳です。

そうなると、バックグラウンドで何かを考えられるような時間がほとんど無い。

 

人間は、外からの刺激を全部受け入れていたらとてもじゃないけれど耐えられないんです。色々な人がいますから、感覚が鈍い人もいれば、鋭い人もいて、刺激を敏感に受けとめてしまう人もいるんです。例えば、精神疾患の患者さんなんかは、極端に感覚がシャープで外からの刺激を受け入れすぎてしまうことが多いと言われています。そのため、うまくバランスがとれなくなるのかもしれません。

 

そういった点でいえば感覚の鈍い方が楽でしょうが、逆に言えば芸術やスポーツの世界なんかでは、感覚の鋭さがものをいうでしょう。だから、それ自体はどちらが良いというものではないのです。

 

ここでスマホの話に戻りましょう。

もとの性質が鈍かろうが鋭かろうが、スマホを使用すると、外からの刺激を強烈に受けて情報を増やしていますよね。だから、もともとは鈍かった人だって、ずっとスマホに触れていれば情報過多になって、心のバランスが崩れる可能性があるんですましてや、もとから感覚の鋭い人は刺激がさらに増えるので、良いわけがない。しかも、大量の刺激に幼いころから曝され続けて...要するに、世の中の刺激が強過ぎちゃう。大学でも、「たくさん情報に触れましょう、集めましょう」という雰囲気になっていますけれど、どうも話が違うな、と僕は思っています。

そういった意味では、授業の履修も、全てのコマを埋めてしまうのではなくて、ある程度空き時間の余裕を持った方がいいですよね。

 

ちょっと話がそれてしまうかもしれませんが、僕は、人生で一番大切なことは「どれだけ忘れるか」だと思っています。

必要なことは、必要な時に聞いて判断できればよくて、終わったら忘れてしまえばいいわけで。

紙に書いておけば覚えておく必要もないし、今は便利ですので他にも記憶媒体はいくらでもありますしね。

 

大事なのは判断力だと思うんです。

判断する過程で色々考えますので、そういった意味では思考力トレーニングのためにある程度の知識は必要かもしれません。

でも、そこで大事なことは覚えた知識の量ではなくて「考える力がついているか」ということなんです。

仕入れた知識の多くは、大概一生使わない(笑)

実はもうほとんど必要ないことが多いんですから。

 

 

何もしていない時に考えを巡らせていると、それが溜まって良いアイディアが生まれることがあります。

色々考えてしまって、眠れない夜を過ごすことはありませんか?

眠れないことに焦って睡眠薬を飲む人もいますけど、僕はあの時間こそとても大切だと思っています。

僕も、夜なかなか寝付けないことがありますが、その時考えたことを枕元においたメモに書き留めておくようにしています。昼間パソコンで書き直すと結構いいアイディアがあったりして、論文ができあがることもあります。全部じゃないですよ、9割方はダメなんですけどね(笑)でも1割あれば十分でしょう?やっぱり、他から刺激を受けずにピュアに頭が回転しているんだと思うんです。

 

何もしない時間が大切だということは、要するに、外からの刺激を止める時間を作ろうということですね。

 

 

 お薦め本 

 

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『 心の脳科学「わたし」は脳から生まれる

坂井克之著 中公新書

 

持田先生はこんな風に仰っていました。

 

「僕は哲学屋であって、心理学者や精神病理学者、脳科学者ではないのですが、この4つの分野は互いに互いを無視できないんです。この本はその中でも脳科学者の書いた本です。

簡単に言えば、脳と心の関係について「心とはなんだろうか」という話です。ただ、この本の著者は科学の限界をわきまえていますね。

脳の仕組って、わかっていないことが多いんです。分からない部分について、ああでもないこうでもないとみんなが考えているわけです。」

 

あなたも、人の心と脳の不思議にせまってみませんか?

 

 今日の一枚 

今日の一枚は、"先生の趣味"

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立山 真砂岳周辺にて

 

先生のご趣味は登山です。

この日は素晴らしい紅葉で、ライチョウに迎えられながら山を満喫した持田先生。

ですがなんと、この日は御嶽山の大噴火があった日だったのです。

翌日下山して新聞を読んだら、御嶽山の噴火の記事が目に飛び込んできて、大層驚かれたのだとか。

学生から「先生大丈夫ですか!?」という心配メールが届いて嬉しかったそうです。

 

 

 

気付かないうちに既存の常識にとらわれて、苦しくなっていませんか?

眠れぬ夜を過ごしていませんか?

そういう学生の皆さんは、是非持田先生の研究室の扉を叩いてみましょう!

自分の殻が破れるかも!?

加えて先生の素晴らしい山登りの写真を見たら、心洗われること間違いなしです!

 

 

次回の★Bridge★も、お楽しみに!

 

 

チョッパー子4年生中心の回

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