★Bridge★No.35 平野 孝行 先生

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学生と先生を繋ぐ連続企画★Bridge★、今回の先生は・・・

 

 

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リハビリテーション学部 平野 孝行(ひらの たかゆき)先生です。

 


平野先生は、「理学療法学概論」「理学療法学研究法演習」運動学」「基礎運動療法学」

「運動療法学A・同演習」「ヘルスプロモーション論」「地域リハビリテーション演習」など

の科目を担当されています。

  

それでは、先生の思いをご紹介★

 

 

 どんな思いをもって、授業(ゼミ)に臨んでいらっしゃいますか? 

 

 

リハビリテーション学部は「資格職(理学療法士)を育てる」学部ですので、学問というだけでなく、患者さんをイメージしながら学び、実際に臨床で患者さんたちと接する機会があります。

 学生には、自分のための学習ではなくて、「先々に見える患者さんのために学習していくんだ。」「そういう方たちの為に自分は何ができるのか。」、そういうことを思い描いていてほしいと思っています。

 

そこを踏まえ、人間的な部分も、この4年間で少しでも成長してくれたら、とも思っています。

 けれども、私があんまり思わなくても、4年生くらいになると学生たちには成長の跡がしっかりと見えてくるんですよ。

 

 

4年生になると学生は病院実習に行くんです。

3年間大学で勉強してきたことを、実習に行って知識整理して、実際に患者さんと接する経験をしてくる。そうすると、おのずと顔が理学療法士っぽくなって帰ってくるんですよ。

面白いもんだなと思いますね。1年生の頃におおちゃくだった子が、「ああ、こんなことを言うくらい成長したんだ。」というほど変わることがよくあります。


私たちの教育成果ではなくて、学生たちが大学で学んできたことを、最後に実習で患者様から学ばせてもらうと、こういう風にまとまっていくんだな、と。

 

 

たいていの学生は、卒業後病院へ勤めるものですから、次の年、あるいはまたその次の年に、学生が実習に行く際に卒業生のいる病院に顔を出すことがあります。そうすると、現場で教え子が患者さんを診ていることがあって、そんな様子が見られると「ああ、良かったなぁ!」と実感します。

同じ業種ですから、学会等で教え子に会うことがあって、「ああ、勉強しているね」と分かったりもしますね。


 

 

■先生が教えていらっしゃる事柄について教えてください。

 

私が教えているのは、「運動学」「運動療法学A」といった運動器疾患...一般的には整形外科の扱う疾患の理学療法治療をどう行っていくか、ということを教える科目が中心なんです。

 

私自身が、もともと整形外科の治療領域の研究や、臨床では病態と治療に関して研究してきましたから、そういう点では関連深い科目です。

 

最近では、学内外で、高齢者の運動器疾患...高齢になって全般的に運動器の機能が低下して、膝が悪くなったとか、バランス能力が悪くて転倒してしまうといったこと...の研究をしています。

 

これらの症状の研究のため、現場へ出て行って、高齢者の運動機能や体力を測定したり、筋肉の状態を検査して、どれくらい衰えていくのか、ということを計測したりします。また学内では、実習室で筋肉の強さを測ったり、運動していく中で筋肉をどうやって使ったらいいか、ということを測定研究しています。

 

 

■授業をされていて面白いところは?

 

1年次に「運動学」という、人が立ったり座ったりといった運動を行うのにどんなことが必要かを学ぶ科目があります。ここで基礎を習っておいて、3年生になると、それが障害されるとどういった不自由が起こるのか、それに対する治療はどういうものなのか学びます。

臨床に繋がる一番の基本を1年生で教えながら、3年生でそれをまとめていける。

そこが面白いところでしょうか。

 

あと、「ヘルスプロモーション論」という授業も受け持っていますが、ここでは、学生と一緒に現場に赴いて高齢者の体力を測ったり、認知症の計測をさせていただいきます。

結果をもとに、その方に合ったトレーニングや健康面のアドバイスをしていきますが、その過程で、基礎学習と同時に臨床も体験でき、具体的に地域の方を念頭において取り組むことができるので、面白いですね。

 

■実際に顔の見られる地域の方を診させて頂けると、学生の学びにも影響がありそうですね。

 

そうですね、学生たちも、目の前に顔の見られる方がいらっしゃると、意識が高くなりますし、真面目に取り組みます。

学内で学ぶだけよりも、責任感を持って、勉強して、必要なことをまとめてくる、ということをやってくれますね。

 

■何度も地域の方を診るのでしょうか?

 

2016年度は年1回でしたが、瀬戸市で高齢者の介護予防事業が計画されていて、2017年度はその事業の一部を委託してもらっています。

 

6月から12月ぐらいまで半年ほどかけて、月1回対象者にお会いしながら診させていただく、ということを学生と共にやっていこうと考えています。

 

スクールバスを利用して、半年で6回ほど対象者に瀬戸キャンパスに来ていただいて、体力測定をして、どうやって家庭で運動に取り組んでもらうかアドバイスをします。

 

この指導を通して、年度の最後に、最終的にどのくらい回復したか、あるいは回復しなくてもその方の機能が維持できたか、そういうことを見せていただけるんです。

 

6月~12月というと、春学期と秋学期をまたいでの経過観察になりますね。

 

そうなんです。

3年生科目に、春学期には「ヘルスプロモーション論」、秋学期は「地域リハビリテーション演習」があり、春学期は健康増進と介護予防、秋学期は地域の方のリハビリテーションと介護予防を考えていくということで、双方が繋がった内容になっています。この科目に関連して、3年生になった学生が年間を通して関わり学習を深めていきます。

 


2016年度までは、特に緑区をメインに活動してきました。

文科省の補助事業で、「なごやかモデル」という未来医療人の育成事業がありまして、名古屋市立大学と名古屋工業大学、そして名古屋学院大学が連携して取り組んでいるんです。それが名古屋市緑区をフィールドとして取り組んでいるものですから、さきほどの高齢者の体力測定を、緑区へ出向いて地域の活動として展開していたんですね。

せっかく緑区で活動できていましたから、今度は日頃お世話になっている瀬戸で、地域密着という形で貢献していけたらと思っています。

 


3年生の授業ということで、リハビリテーション学部生全員が体験できますね。

 

地域の方々と学生が継続して接する機会があることは、双方にメリットがありますので、2017年度を楽しみにしています。

 

本の上というか、机上の勉学だけでは、なかなか本当のところが身に着かない。

患者さんと接してこそ、学生一人一人にこの仕事の楽しさが伝わりますから、そういう機会ができるといい。面白い活動だと思います。

 

今、理学療法では、「ヘルスプロモーション」「地域リハビリテーション」に加えて、もう1つのキーワードとして「予防」があります。

今までは、患者さんになった方が...つまり病気になったり怪我をしたりして、具体的に症状が出てはじめて、理学療法やリハビリテーションの対象でした。

でも今は、もう少し悪くなる前から医療者が関わって、健康な状態をいかに長く維持できるか、ということが注目されているんです。


 

最近よく言われているのが、寿命ですね。

いわゆる「平均寿命」と、もう一つ「健康寿命」というものを聞いたことがあるかと思います。

「平均寿命」は、今生まれた子が何歳まで生きる事ができるか、ということですけれども、「健康寿命」というのは、健康でいられる年齢はどれくらいなのか、というものです。

今現在、「平均寿命」と「健康寿命」の年齢差・・・健康で人の手を借りずに生活できる期間と亡くなるまでの期間の差が、8年から10年くらいあるんです。

つまり、その期間は、何らかの医療の看護・介護が要りますよ、ということです。

 


■結構長いですね。

 

そうなんです。

そして、この期間に非常に多くの医療費がかかるものですから、国としては、医療保険でどう面倒を見ていくかということが課題なんです。

例えば、この「健康寿命」がもうちょっと長くて、あと2年長くなったとすると、その分医療費もかからないし、国の福祉費用もかからない。

ですから、「平均寿命」と「健康寿命」の差をいかに縮めていくか、ということに費用を掛けた方が、圧倒的に国の予算を圧縮できるんです。

 

 

このように、どうやって「健康寿命」を延ばしていくかということが国家戦略として言われているのですけれども、その中で、理学療法においては、倒れられた患者さんを診るのではなくて、「倒れない」「転ばない」方をどう増やしていくか、ということがポイントになってきています。

ですから、先ほどの「地域へ出向いていく」ということには、こういった観点もあるんです。

 

 

いかに医療者が地域へ入って、予防の段階から関わっていくか、それが日本の医療で今後求められることの1つになります。

それを考えると、少しでも在学中の経験が生きるといいですよね。一度経験しておけば、病院や地域へいった時にそのまま実践していけますから、今、極力経験させてから現場へ、という試みをしているところなんです。

 


■自分ではどうしようもなくなってから病院に行く、という方も多いと思いますので、予防段階から関われる場所があるということが広まればいいですね。

 

はい。国も、地域で医療福祉を管理をしていこうという方向性を打ち出していますから、地域の現場へ進んで出て行ける人材を育成しようとしているんです。

 

これからは病院や施設が中心ではなくて、医療者が地域へ入り、地域でどうやって周りの方の健康を維持していくのかを考えていく社会に向かっているんですね。

 

 


■そう考えると、学生が地域の方と接することは、Win-winの関係ができていて、とてもいいですね。

 

先々の話ですけれど...大学の中だけでこういった活動を行ってしまうと、授業とか教育の範囲内になってしまいますよね。でも、クリニックなどの医療施設ベースでやれば、もう少し、地域の健康管理というような部分も担っていけるのではないでしょうか。医学的な管理を含めた健康増進をやっていけると、クリニックとしても、もっと幅広い展開ができるでしょう。

 

今は、クリニックの病院機能にかかっている人だけが対象になってしまいますけれど、そういった学生の教育と協働することで、よりたくさんの人たちにクリニックを活用してもらえるようになると思うんです。

 

 


■地元に、ジムを併設した接骨院があって、専門トレーナーにアドバイスが受けられて、各種筋トレや運動に使用する機器は使い放題なんです。1回500円、院利用者は300円で利用できる施設で、接骨院を受診しなくてもワンコインで利用できるので、もっとこういった場所があるといいのにと思っていました。

 

ワンコインくらいだと、割と利用しやすいですからね。

「結果にコミットする」ってボディメイクの流行もありますしね(笑)

美容を考えていくと、ある程度医療や健康に結びつくことがあります。

色々なマシンを使うのもいいでしょうし、体作りは健康に繋がっていきますから。

医療と美容の境目がなくなってきているというか、高齢者だけでなく、もっと若い方から、健康維持に気持ちが向かうといいですね。

 

 


■患者目線の医療職について

 

病気をしてこと初めて分かる事もあります。

 以前入院した際に、看護婦さんのナースシューズの音ひとつでこんなに違いがあるんだということが分かりました。「なんでそんなにパタパタと歩くんだろう?」という人、穏やかに静かに歩く人、歩き方ひとつでこんなに違うんだな、と。カーテンの開け方でも、バッと開ける人、少しだけ覗いて中の人に配慮しながら開ける人、色々です。

 

これは患者になってみなくてはわからないですね。

患者さんはこうやって医療職を見ているんだな、と色々勉強になりました。

 



■平野ゼミはどんなゼミですか?

 

私のゼミ活動は、学内と地域の2本柱です。


学内では、運動器に関して興味のある事を自分で見つけて、疑問に思ったこと解決していきます。

過去の文献ではどこまで分かっていて、何がまだわかっていないのか、どうしたらそれが計測できるか、まず学生の興味にあったテーマを設定するんです。

 


もう一つが、地域の高齢者を対象とした研究活動です。

例えば、昨年度のゼミでは、地域の運動教室をやっていました。

その運動教室の効果を見ることがひとつ、もうひとつは先ほどの緑区での活動です。

 

緑区には「みどりっちのうた」というものがあるのですが、地域の方に、「これにあわせてできる体操、作れない?」とご相談いただきまして。学生が体操を作って、地域の自治会や催しで「みどりっちのうた」で体操してもらおうという話になったんです。

 

でも、版権や著作権の問題もありますので、緑区の区役所に「みどりっちのうた」を使用していいのか確認することから始めました。「みどりっちのうた」には、既に"踊り"があったんです。でも、学生が作成しようとしていたのは健康促進のための体操ですから、踊りとは違う別の位置づけということで、「みどりっちのうた」を使ってもよいと許可をいただいたんです。

 

その活動報告と、作った体操をやる時に活動量計を使って、身体負荷量がどれくらいか、心拍数や血圧がどれくらいか、平常時とどう違うか、といったこの体操の安全性と効果をゼミの研究として行いました。

 

データをとる時には、様々な計測器を車に積んで地域に赴くのですが、研究している学生以外のゼミ生も測定補助として手伝いに出掛けるんですよ。

 

 


■今、学生に伝えたいことは?

 

今、勉強が辛いかもしれないけれど、理学療法士になるためには必要なことです。

その先には自分たちを待っている患者さんがいて、責任を持って仕事をしなくてはいけないですが、現場に行ってこそ、この仕事の良さや、やりがいが分かります。

 

患者さんの喜んでくれる顔を見た時に、治療者として、あるいは職員としての嬉しさが待っていますので、今の辛さを乗り越えて頑張ってほしいと思います。

 

 

私たちリハビリテーション学部の教員は、もともとは研究者や教育者ではなく、医療者としてその道に進んだ者が多いんです。私も現場でずっと勤めていて、目の前の患者さんのことだけを考えて仕事ができて、自分の仕事で喜んでもらえることに幸せを感じたものでした

 


今は学生相手に教える立場になって、そういう喜びからは少し離れてしまったわけですが、1年間に関わった学生が70人いたとしたら、その学生たちが卒業して、1日に2030人の患者さんを診ていくことになります。今まで私が20人、30人の患者さんのためにしてきた役割を、今度は卒業生たちが担うようになりますから、卒業していく学生たちを通して、目の前には膨大な患者さんがいると思いながら、そこを楽しみに仕事をしています。

 

学生たちにも、はやく臨床にいって、患者さんたちと喜びを分かち合ってほしいですね。

 




■ 先生のお薦め本 

 

今回は、" 多読本 "のご紹介です!

お薦めbook.jpg

「銃・病原菌・鉄 : 一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎(上)(下)」

(草思社文庫)ジャレド・ダイアモンド著 ; 倉骨彰訳

 

 

 

お薦めポイントについて、先生はこんな風におっしゃっていました。

 

 

『リハビリテーションや医学の本ではありませんが、読んで面白かったので学生へもおすすめします。最近の本ではなく、少し前に話題になった本です。

 


高校までの歴史の捉え方として「日本史」「世界史」などのくくりがありますが、「人類史」という別の観点と理系寄りの科学的な見方も併せて新たな視点を経験できる良い本だと思いました。

 


上下巻に分かれ、ページもやや多めですが、章ごとに読めますから、区切って読んだり興味のある章から読んだりできます。 


現在の世界の区分けを理解でき、食料・環境・文明・力などから改めて人と世界を考えられます。

 

 


 

本学にも蔵書がありますので、是非手に取って読んでみて下さいね。

本学図書館蔵書リンクはコチラ↓

「銃・病原菌・鉄 : 一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎(上)」

「銃・病原菌・鉄 : 一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎(下)」

 




 今日の一枚 

 

今日の1枚は、 " 先生の趣味 " です!

 

収穫2016夏 (1).jpg 2016年夏の収穫↑

 

家庭菜園



先生のご趣味は家庭菜園!


上の写真にもある通り、色々な野菜を栽培されているそうです!

取材当時の冬(2016年~2017年)は、お庭には大根・エンドウ、家の中の窓際ではプチトマトを栽培中でした。


トマトは夏にしかできないのでは?と思われた方がいらっしゃるかもしれません。

ところが、冬でも家の中で栽培を続け、春になったらお庭に出すと、夏まで収穫ができるそうです。


他にもお家の中では、来る芽吹きの季節に向けて、大根菜、スティックブロッコリー、パプリカなどを芽出し中とのこと。





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昨年(2016年)は、たまたま籾が手に入り、プランターで稲作もなさったそうです!

家中のプランターを集めて栽培した稲は、立派!

でも先生、取材の時点では、収穫したお米をまだ召し上がっていないと仰っていました。


味はいかがだったのでしょうか?

自分で育てた収穫物が食べられるのは、家庭菜園の醍醐味ですよね!

次はどんな新しい野菜に挑戦されるのでしょうか。

 

 



 

平野先生は、とっても優しい話し方をされます。素敵な笑顔で優しく話されるので、聞いているこちらの心がとても温かくなりました。

理学療法士を目指している方はもちろんのこと、「相談してみたいことがある」「実は野菜を育てるのが好き・・・」という方も、一度先生の研究室を訪れてみてはいかがでしょうか。

 

 






 

次回の★Bridge★も、お楽しみに!

 



チョッパー子

 

 

 

このブログ記事について

このページは、教育学習センターが2017年5月 8日 00:00に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「★Bridge★No.34 肥田 朋子 先生」です。

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