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2017年10月 5日

中期(延長)留学報告(パシフィック大学 長尾 光莉)

貴重な時間を与えられて

パシフィック大学での留学を終え、日本では味わえない体験をしました。特に大学での授業は、本当に感動しました。とにかく授業では、生徒たちが主体となって進行していきます。ある程度、担当の先生はその日にやることをあらかじめ決めていますが、それが全てではありません。その都度、生徒たちの様子や、生徒たちのやりたいことに合わせて、いろいろと予定を変えていきます。先生たちは、私たち生徒に、「とにかく発言してほしい」と伝えます。日本の講義のように、先生が一方的に話して、それを生徒がただ聞き続けるというのは決してありません。必ず生徒は、間違っていようが何だろうが、発言しなければなりません。留学が始まったばかりの頃は、間違えるのが恥ずかしくて、質問されても黙ってしまうのがほとんどでした。何とかアクションをしようと、「分かりません」という意味で首を傾げたり、首を横に振ったりしたことがありますが、それは先生には全く伝わらなくて、もし分からないなら、"I don't know."とはっきり言う必要がありました。別に分からないからと言って、「どうして話を聞いていないの?」と注意されることは決してなく、寧ろ「質問してくれた方が嬉しい」と言われました。

授業で出される課題も、ユニークなものが多かったです。例えば、ネイティブスピーカー(生徒でも先生でも)を捕まえて、先生から提示されたお題に従って、インタビューしてくるといったものや、英語で替え歌を作ってきなさいというものまでありました。替え歌については、私は"Little Star"を選んで替え歌を作りました。しかし、ただ替え歌を作ったわけではなく、教科書に出てくる内容に基づいて作らなければなりませんでした。その時、授業で勉強していた内容は、「あなたの国の問題点は何?」というもので、もちろん日本について考えました。日本は少子化問題を抱えているので、それを題材にして替え歌を作りました。それから、先生にcheckをしてもらって、OKが出たら次は歌う練習をしました。練習が十分にできたら、楽器担当の相手を見つけます。クラスメイトは、既にグループを作っていたので、そのクラスの先生を誘って、ギターを演奏してもらいました。とても楽しく歌を歌うことが出来ました。こういった面白い課題をやる事が、頻繁にありました。授業後も、積極的に先生に話しかけたり、質問するように心がけていました。授業に関係ない話でも、親身になって相談に乗ってくれたり、アドバイスをくれました。

 少しではありますが、"Japan Club"というクラブにも参加しました。そのクラブは、日本の文化を実際に体験するというものでした。着物の着付け方を教えたり、みんなで日本の映画を観たりしました。どの生徒も、日本に対して強い関心を持っていて、嬉しい気持ちになりました。私はそこで、日本語を勉強している女の子と出会いました。日本語を上手に話す子で、日々どれだけ勉強しているのかがうかがえました。積極的に日本語で話しかけてくれるので、本当に頑張っているのだなと感じられました。

寮での暮らしも良い経験になりました。私は、ルームメイトの女の子が一人いました。その子はとてもいい子で、留学中ずっと、その子と同じ部屋で住んでいました。性格も私と似ていて、すぐに仲良くなれました。大きなトラブルもけんかもありませんでしたし、伝えたいことは何でも伝えることが出来ました。どんなに些細なことでも、気になる事があれば何でも質問しました。そういう態度で接しているうちに、ルームメイトの方からも、いろいろ話しかけてくれるようになりました。週末には、二人で大学近くの映画館に行きました。ルームメイトだけでなく、家族とも仲良くなりました。初めてルームメイトと会ったとき、一緒に彼女の両親にも会いました。出会った瞬間、ハグをされました。少し驚きましたが、普通の挨拶らしいので、素直に受け入れました。ルームメイトも両親も、互いにハグしてキスしてと、スキンシップが多かったので、本当に仲がいいのだなと思いました。

週末には、大学から離れたポートランドに遊びに行きました。大学からは、電車とバスを使って約1時間30分かかりました。初めて一人で行ったときは、どのバスと電車に乗ればいいか迷ってしまいました。そんな時は、人見知りなどしていては解決できないので、知らない人に行き方を尋ねたりしました。バスに乗るときは、運転手の人に、「このバスはポートランド行きですか?」と、念のために確認もしました。どの人も、尋ねるたびに笑顔で答えてくれました。ポートランドのダウンタウンはとても賑やかな場所で、一日中楽しむことが出来ました。美味しいごはんを食べたり、洋服や日常品を買いに行ったりしました。クリスマスには、町の真ん中に大きなクリスマスツリーを見かけました。キラキラのイルミネーションに魅了されて、しばらく感動に浸っていました。

冬休みには、シカゴに住む友人宅で、三週間ほど滞在させてもらいました。とにかく大きなご実家でした。地上と地下を併せて三階建てで、地下室にはテレビとジムで見かけるような道具が置いてありました。家族揃って、温かく迎えてくれました。「今日からここはあなたの家なんだから、自由にくつろいでいいんだよ」と、言ってくれました。自由に冷蔵庫の飲み物を飲んでもいいし、台所に置いてあるフルーツも、自由に食べてもいいと言ってくれました。しかし、やはり人様の家ということに変わりはないので、完全にくつろぐということは難しいことでした。自分から、「あれがしたい、これがしたい。」とは、なかなか言えませんでした。

クリスマスは、そこで迎えました。家族みんなで、クリスアスツリーを買いに行きました。外はあちこち雪が降り積もっていて、寒かったです。クリスマスツリーは店の外に飾られていて、雪が付いていて冷たかったです。結構大きなサイズの物を購入し、家に飾りました。友達と二人で、ツリーの飾りつけをしました。ディナーには、おいしい料理を作ってもらい、ごちそうになりました。ディナーの後は、地下室でクリスマスにまつわる映画を観ました。Happy New Year も、そこで過ごさせていただきました。新年になる前のcountdownもしました。テレビ中継でcountがゼロになった瞬間、みんなでクラッカーを鳴らしました。そして、お互いの新年の抱負を発表したりもしました。不思議なことに、私たちの抱負は似たような内容で、「健康で幸せになること」でした。

去年の11月に、アメリカ大統領選挙がありました。結果はトランプ大統領になりましたが、パシフィック大学の人たちは、とても悲しんでいました。なぜなら、私が留学したパシフィック大学は、オレゴン州に位置するからです。アメリカは、州によって支持する政党がはっきり分かれているからです。オレゴン州はヒラリーさんを支持していたので、この結果は、アメリカの友達や先生たちやその家族を悲しませました。結果当日の夜、ルームメイトは泣いていました。外国の政治に関する事なので、なんて声をかけてあげればよいか分かりませんでした。私は選挙に関して、こんなに感情的になったことはありませんでした。こんなに感情的になるということは、それだけ政治に関して真剣に考えているということ、そして、自分たちの国のことをしっかり考えているということです。私は、日本でそのような光景は見たことはありませんでした。まだまだ、私は世間のことに関心を示していなかったと、改めて痛感しました。

帰国日が近づいてくるにつれて、帰りたくない気持ちが、日に日に大きくなっていきました。とうとう帰国当日を迎え、ルームメイトの家族が空港まで車で送ってくれました。空港に着くまでにも、車の中でオレゴン州についていろいろ教えてくれました。緑に囲まれて自然が多いオレゴン州は、農家も多く、ワインに使われるブドウを国内で一番輸出していると説明してくれました。

とにかく優しさにあふれた人たちばかりで、初めて勉強する環境のはずなのに、苦しいことは、ほとんどありませんでした。自分の主張したいことを、我慢する必要もありませんでした。例え人と違う意見を言ったとしても、それは一つのアイデアとして受け入れてくれました。国民性のせいかもしれませんが、ネイティブスピーカーの会話を聞いていても、決して相手の意見を否定する言葉は聞くことはありませんでした。"It's a good idea." "I agree with you." "I think so, too."など、相手の意見を肯定するフレーズをよく耳にしました。お互いを尊敬していなければ、決してできないことだと思いました。私はつい、自分の意見を強く主張してしまうことがあり、相手の意見を間違っていると決めつけてしまう時があります。こんな自分の性格を、とてもよく反省させられました。お互いを尊敬することは、互いを快適な気持ちにさせようと協力することでもあります。これを自然にできるアメリカは、本当に素晴らしい国だと感じました。

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