本にまつわる話: 2011年4月アーカイブ

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 ▲震災直後の筑波大学中央図書館本館3階。 (筑波大学附属図書館撮影)

 

 3月11日、14時46分、マグニチュード9.0の大地震が東日本を襲った。気象庁が東北地方太平洋沖地震と命名名したこの地震は、その後大津波に姿を変え、倒壊した現場を再び破壊し、人を、車を、建物をさらっていった。地震と津波は福島第一原子力発電所の事故をも誘発し、近隣住民はいまだに避難生活をおくっている。政府は、4月1日、この地震による震災を東日本大震災と名づけた。

 4月20日現在の犠牲者・行方不明者は、警察庁発表で27817人とされ、被害総額は政府発表で16兆から25兆円とされる(ただし、原発事故被害額は含まれていない)。まさに戦後最大の大災害となった。亡くなった方々の冥福と被災地の一日も早い復興を祈らずにはいられない。

 被災地から遠いところに住んでいる私たちでさえ、瓦礫の山となっている現状に目を奪われて途方に暮れている。ここでは、人々の生活を第一に考えつつも、図書館で働く者として、図書館が受けた被害について目を向けてみようと思う。
 地震が起きると図書館の蔵書はどうなるのだろう。次の映像を見てほしい。

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 この映像はいわき市の図書館で利用者が撮影したもので、書架に並べられていた図書(数万冊と推察される)のほとんどが地震により床に散乱する様子が映されている。書架が倒壊を免れたのは、地震対策がとられていたからであろうと思われる。関東以北の大学図書館でも、書架が転倒したり建物に被害を受け、休館を余儀なくされた。震災の影響により、新学期の開始を延期した大学もある。

 合計150万冊(推計)が落下したという筑波大学附属図書館では、震災直後、暫定版ホームページとTwitterを立ち上げた。そのHPから、いくつか被災状況の画像を見てみよう(注1)。このブログの冒頭の画像は、震災後の3月14日、筑波大学中央図書館本館3階を写したものである。本が落ち、通路をふさいでいる。下の2枚の画像は、同大体育・芸術図書館を撮影したもの。けが人がでなかったことは、まさに不幸中の幸いであった。

  

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筑波大学体育・芸術図書館1階の吹き抜け。ガラスが散乱して危険な状態。 (筑波大学附属図書館撮影)

 

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筑波大学体育・芸術図書館1階の和雑誌バックナンバー。書架が完全に倒れている。 (筑波大学附属図書館撮影)

 

 筑波大学附属図書館では、これだけの被害に遭いながら、ただちにボランティアを募集して復旧作業にとりかかった。完全ではないものの3月29日には、サービスを再開している。同図書館が発信するTwitterのメッセージからは、危機に直面して力が倍増したかのような不思議な明るさを感じる。危機だからこそ図書館が必要だという信念が関係者を動かしていることがわかる。

(注1) ここで用いた画像は、筑波大学附属図書館のホームページから借用したものである。同図書館は、「筑波大学附属図書館」が撮影した写真であることを明記の上、元画像を大きく損なう加工を行なわない限りは、事前のご連絡なしでご利用頂いて結構です」としている。関係者の配慮に感謝の意を表する。

(瀬戸のスタッフ りんたろう)

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